第12話 悪役豚貴族は許可を得る
「そろそろ良いですかな?」
「ん?」
いきなり誰かが会話に入ってきた。
図書室の管理人のリブラだった。
どうして彼がここにいるのだろうか?
「無茶をされましたな」
「そのつもりはないんだけどな・・・・・・すまない」
自分では無茶をしたつもりはないので本心を口にしたのだが、セバスとフィエラの鋭い視線に謝罪をしてしまう。
気絶をしたので、十分無茶はしているのだろう。
「これに懲りたら、もう少し賢く立ち回るようにするのですな」
「・・・・・・善処する」
言われても仕方がないので、受け入れざるを得ない。
しかし、あの状況では他の立ち回り方が思い浮かばなかった。
もっと上手く立ち回るためには選択肢を増やすために色々と改善しないといけないだろう。
「ですが、今回の一件で得られたものもあるようですな」
「どういうことだ?」
言葉の意味が分からず、首を傾げてしまう。
セバスからの評価が多少上がったことだろうか?
疑問に思う俺にリブラはさらに説明する。
「ポール様の図書室出禁を解除しましょう」
「良いのか?」
予想外の提案に驚きを隠せなかった。
非常にありがたい話ではあるが、断られたその日に出入りを許可されるとは思わなかった。
一体、どういう心境の変化だろうか?
「今のポール様であれば、以前のように本を無碍に扱うことはしないでしょう」
「そのつもりはないが、どうしてそんな判断に?」
そう思われた理由がわからなかった。
彼に対して何かしただろうか?
「その身を賭してメイドを守ろうとした──以前のポール様では考えられない行動でした。どうやら考えを改められたのは事実のようですね」
「まあ、そうだな」
「ならば、本の扱い方も以前とは違うだろうと判断させていただきました。大事に扱っていただけますね?」
「もちろんだ」
リブラの質問に俺はまっすぐに答える。
自分の所有物ならまだしも、他人が管理している物を乱雑に扱うのは駄目である。
まあ、自分の所有物も大事に扱った方が良いだろうが・・・・・・
「良い返事ですな。この調子ならば、他の者たちも認めてくれるじゃろう」
「ありがとう」
素直に感謝の言葉を継げる。
難しいことだろうが、不可能ではないわけだ。
地道に頑張っていくことにする。
「じゃが、ポール様にはまずやってもらうことがあります」
「何だ?」
リブラが真剣な表情になる。
一体、何をやらされるのだろうか?
また土下座することになる可能性もあるか。
警戒する俺を見て、彼の表情は少し和らぐ。
「そう警戒しなくて大丈夫じゃよ。やるのは休む事じゃよ」
「・・・・・・すぐにでも本を読みたいんだけど?」
生き残るために少しでも早く知識が欲しい。
しかし、リブラはそれを許してくれないようだ。
「自分の身体を大事にしない者に本を読む資格はありません。また出禁にしましょうか?」
「・・・・・・わかったよ。しっかり休むよ」
「よろしい」
言っていることはもっともなので、従わざるを得なかった。
俺が受け入れると、リブラは優しい笑みを浮かべる。
やはり年の功には敵わないな。
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