第11話 悪役豚貴族は事の顛末を聞く
「では、報告をさせていただいてよろしいでしょうか?」
「ああ、頼む」
セバスの言葉に俺は頷いた。
俺が気絶している間に何が起こったのか知る必要がある。
真面目な彼の報告であれば、信用できるだろう。
「今回、メイドのジェラ、ヴィー、アイファ、ディアの4名は私の一存で解雇しました」
「それは大丈夫なのか?」
いきなりの解雇の説明に思わず質問してしまう。
セバスの一存で4名の使用人を一気に辞めさせてもいいのだろうか?
そんな俺の疑問に彼は少し呆れたような視線を向けてくる。
「ポール様はお忘れのようですが、私はこれでも執事長という立場です。問題を起こした使用人に解雇を告げるぐらいならば、私の一存で問題ありません」
「それならいいか」
使用人を束ねる立場であれば、大丈夫だろう。
クビを告げられた4名も従わざるを得ないはずだ。
「でも、良いのか? あんな奴らでも辞めさせたら仕事が回らなくなる可能性もあるだろ」
今度は違う心配事が出てきた。
仕事をこなす上で個人の能力も大事ではあるが、同時に人数も大事である。
どれだけ優秀な人物でも、一人で大量の仕事を捌くことはできない。
今までうまく回してきた仕事が一気に4名を辞めさせたことで回らなくなる心配がでてきたわけだ。
「その点は問題ありません。あの者たちの代わりはいくらでも居ますので。それよりも残す方が問題になります」
「そうなのか?」
理由が分からず、首を傾げてしまう。
何が問題なのだろうか?
フィエラに対する差別があることだろうか?
「雇用主のご家族に対して暴力を振るうなど、使用人としてあってはならない行動です」
「ああ、そのことか」
説明を受け、すぐに理解した。
たしかにかなりの問題行動を起こしていたな。
クビになってもおかしくはないか。
「ふざけていますか?」
「いや、そんなつもりはないよ」
なぜかセバスに睨み付けられる。
思わず否定してしまったが、なぜ怒られたのかわからなかった。
そんな俺の様子に気づいたのか、彼は大きくため息をついた。
「はぁ。現状、ポール様はこの屋敷で腫れ物のように扱われています」
「それは仕方がない話だな」
共有しているポールの記憶から状況はある程度理解している。
彼はヴァイス侯爵家の一員ではあるが、その立場は非常に危うい物である。
実の父親、継母、義理の弟、腹違いの妹の4人と折り合いが悪い。
当然、ほとんどの使用人たちは当主である父親の派閥に入っているわけだ。
「ですが、ヴァイス侯爵令息という立場は変わりません。使用人程度が鬱憤を晴らすために暴力を振るって良い相手ではありません」
「そりゃそうだな」
説明はもっともである。
俺は嘗められていることを受け入れていたが、本来そんなことはあってはならない。
もう少ししっかりと対応すべきだったのかもしれない。
だが、気になることもある。
「セバスは俺のことを嫌いだと思っていたけどな」
思ったことを口にしてしまう。
正直、彼がここまで丁寧に説明してくれたことに疑問を感じる。
転生したその日に敵意を向けられたことを覚えている。
共有しているポールの記憶でも、彼から優しい言葉をかけられた記憶もない。
「もちろん嫌いですよ」
「はっきり言うんだな」
自覚しているとはいえ、真正面から言われるのはショックが大きい。
オブラートに包むなど考えてはくれないのだろうか?
いや、そんなことができないほどシンプルな答えか。
「ですが、評価を改めようとは思っています」
「え?」
「改善しようと努力しているのを認めないほど、私は狭量のつもりはないですよ」
セバスは少し優しい笑みを浮かべる。
普段とのギャップに驚いてしまった。
どうやら彼は俺のことを少し見直してくれたようだ。
元に戻らないように、このまま努力を続けないといけないな。
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。
★5でも★1でもつけていただけると幸いです。




