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第9話 悪役豚貴族は使用人から嘗められる


「だ、大丈夫ですか?」

「ああ、気にするな」


 心配そうにフィエラが話しかけてくる。

 彼女を安心させるために笑顔を浮かべた。

 といっても、殴られた痛みで少しぎこちなくなったが・・・・・・


「あら、ポール様。一体、どうされたのでしょうか?」


 強気メイドが丁寧を装って話しかけてくる。

 だが、本心から敬意をもっているわけではない。

 本来ならまず俺を殴ったことを謝罪すべきだろうが、彼女はその素振りをまったく見せない。

 完全になめきっている。

 それは周囲のメイド達も同じである。


「たまたま近くを通ってな。一体、何をしているんだ?」

「仕事のできない新人に教育をしています」

「これが教育? ただの虐めに見えるがな」


 いけしゃあしゃあと話す強気メイドに俺は真っ向から伝える。

 相手の言い訳を受け入れるつもりはなかった。


「それをポール様が言うんですか? あなたが今までやってきたことですよ」

「・・・・・・そうだな」


 この指摘は否定できなかった。

 以前までのポールは専属の使用人に無茶な命令を出し、失敗すれば徹底的に虐めていた。

 そのせいで多くの使用人たちが辞めてしまった。

 そういう意味では彼女を批判する権利はないのだろうな。


「どいていただけますか? まだ教育の途中ですので」

「それは無理だな。流石にこの状況を見逃すほど、俺も屑じゃない」


 ここで俺が立ち去れば、再びフィエラに危害が及ぶだろう。

 味方になってくれた彼女を見捨てるのは絶対にしたくない。

 だが、この状況を打開できる手段は思いつかないけど・・・・・・


「あんたは屑でしょ、この豚っ!」

(バキッ)

「ぐっ」


 左頬に再び強い衝撃が加わり、思わず声が漏れる。

 やはり殴られるのは痛い。

 いくら贅肉が守っているとはいえ、まだまだ子供の身体である。

 成人女性に本気で殴られれば、かなりのダメージになる。


「ポール様っ!」


 殴られている俺を見て、フィエラが悲鳴を上げる。

 自分の代わりに俺が殴られている姿を見れば、そんな反応になるだろう。


「ちょっと・・・・・・」

「流石にやりすぎじゃ・・・・・・」


 強気メイドの行動に他のメイド達も若干引いた様子だった。

 いくら嫌われているとはいえ、流石に雇用主の家族を殴るのはやりすぎだと思ったのだろう。

 普通に考えれば、クビになる可能性が高いだろう。


「もう一発殴ってるんだから、どれだけやっても変わらないわよ」


 強気メイドは嗜虐的な笑みを浮かべる。

 人を虐めることに快感を得るタイプのようだ。


「どうせ家族すら見捨てている屑よ? こいつを殺したって問題ないわ」


 殴ることを楽しんでいるせいか、とんでもないことを言っている。

 だが、おそらくそれは事実なのだろう。

 ポールが死んだって、家族は誰も悲しんでくれないだろう。

 まだ会ったことはないが、悲しい気持ちになってしまう。


「ポール様っ⁉」


 ボコボコに殴られる俺を見て、フィエラが泣き叫ぶ。

 彼女のために割って入ったが、結局悲しませてしまった。

 もっとスマートに助けてあげたかったが、今の俺にはこれが限界である。

 徐々に視界が暗くなっていく。


「お前たち、何をしているっ!」


 突然、男性の怒鳴り声が聞こえてきた。

 どこか聞き覚えがある声だったが、誰だかわからなかった。

 意識を手放して、俺はその場に崩れ落ちた。







屑な性格のせいで完全に暴走しています。

普通の使用人なら雇い主の家族に手を挙げないですよね。


作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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