家
あの後、他のメイドたちがレインバーグ伯爵を呼びに行った。
数分後には伯爵が来て娘..........セシリアの顔を見ると泣きながら抱きしめていた。
私でも分かるくらいに愛されていた。
愛を知らない私でさえも..........。
それ程までに、伯爵は泣いていた。
その姿を見た私は不躾にも羨ましいと思ってしまった...........。
前世の私には家族と言う者はいなかったのだろう。
そのせいで、今世の家族を見ても何も思わなかった。
私にも家族がいて愛してくれたら私も変われたのだろうか?
何か未来は変えれたのであろうか?
そう思い日が何度かあった。
けど、その度に私は過去の事だと切り捨ててきた。
..........筈だった。なのに、セシリアの家族を見てしまった私は羨ましいと感じてしまった。
そんな私は自分自身をとてつもなく醜く感じる。
だが、この嫌悪は今に始まった事ではない。
だから、気にしない。
それが私だから...........。
「すみません。お恥ずかしいところをお見せしました。」
「いえ、お気になさらず。」
「では、改めて名乗らせていただきます。セシリアの父親のセルテシア・レインバーグと申します。それで、良かったら名前をお聞かせ願えませんか?娘を助けてくださった御礼がしたいのです。」
「御礼なんて.........!僕はそんなたいそうな事は何もしていませんし............。」
「じゃあ、僕から名乗るね〜?僕はバイスって言うんだ〜!」
「ちょ、バイス君!?なんで名乗っているんだい!?」
「別に名前だけじゃん〜!名乗るだけなら問題はないでしょ〜?」
「ま、まあ、確かに.........。名乗るだけなら..........。僕はギールと言います。」
最後にみんなは私の方を見た。
これは、隠しておくのは良くないわよね。
セシリアは受け入れてくれるかな?
受け入れられなくても別に問題はない筈だけど...........。
でも、友達に嫌われるのは..........私でも悲しい。
「私の名前はアイシア・フォン・フリージアと申します。今まで黙っていて申し訳ございませんでした。」
そう言いながら私はいつもの子供らしい笑みではなく皇女らしい笑顔をみんなに向けて言った。
みんなは、驚いて固まってしまった。
あ、そういえば、髪の色を変えていたわ。
私は銀髪を瞳と同じ藤色の瞳で変えていた。
魔法解除。
「ほ、本当にフリージアの第一皇女殿下........!」
「黙っていて本当に申し訳ございませんでした。」
「い、いえ!私も気づかずに皇女殿下に失礼な態度を........!本当に申し訳ございません!」
「いえ、それならレインバーグ伯爵が謝るのはおかしいです。私は敢えて隠しておりました。だから、レインバーグ伯爵が気づかないのも仕方のない事です。なので、謝らないでください。」
「は、はい.........。」
私はセシリアの方を向いた。
..........固まっていた。
「セシリア、大丈夫?」
「.......あ、うん........じゃなくて、はい!」
「...........私はセシリアの友達ではなくなったの?」
「え!?い、いえ!そ、そんな事ない!........です。」
「それなら、敬語はやめてほしいわ。友達に敬語を使うなんておかしいもの。」
「え?で、ですが.........で、殿下は第一皇女様ですし..........。」
「みんなはそんな事言わないわよ?私は名ばかりの皇女だからね。セシリアも知ってるでしょう?私の噂.........。みんなは私を心の中で蔑んでいるわ。セシリアのように本当に敬意は払ってないのよ。」
「じゃ、じゃあ、どうして私なの?私もアイちゃんのこと蔑むかもしれないんだよ?」
「.........私は絶対に裏切らない友達が欲しかったの。そして..........。セシリアは絶対に私を裏切らないと思ったからよ。それとも、セシリアも私を裏切るのかしら?」
「ち、違うよ!私は絶対に裏切らないから!」
「........ふふ、良かったわ。それじゃあ、私は帰るわね。」
少し意地悪しすぎたわね。
私がああ言ったら必ずセシリアは乗ってくる。
こう言う事をしたから裏切られたのに............。
次はもっと上手く友達をつくらなくてはね。
今度こそ失敗しないようにしないと。
「お、皇女殿下!わ、私の馬車でお送り致します。」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。伯爵はどうかセシリアと一緒にいてあげてください。伯爵も心配していたのでしょう?なら、家族で一緒に過ごしてあげてください。それでは、私はこれで失礼します。」
今、馬車に乗ると抑えられなくなりそうだし。
みんなには、知られたくない。
まあ、レイラにはバレちゃったんだけど..........。
「そういえば、バイスはついてきてるけど家は何処にあるの?」
「僕?僕の家はないよ〜?だから、あの人たちに捕まえられてたんだ〜。」
半分嘘ね。
けど、家がないのは本当みたいね。
バイスが何者か知らないけどうちに来たそうにしてるし別に誘っても問題ないわよね?
「私の家に来る?人は全然いないから住み心地も良いと思うし..........。嫌なら来なくても良いのだけど..........。」
「うん!行く!お姉ちゃんの家に行きたい!」
「そう。分かったわ。後でレイラに頼んでおかないとね..........。」
「それじゃあ、僕は失礼するね。本当は送りたいんだけど僕も宿に行かないと女将さんが心配してしまうからね。」
「分かりました。では、またお会いしましょう。」
「あぁ。もし、困った事があったら頼ってね。僕の宿はあそこを曲がったすぐにあるから。」
「はい。ありがとうございます。」
そう言って、ギールさんは宿のある方向に帰って行った。
私も城についたけど.........。
絶対に怒られるわ。
「いえ、きっと、大丈夫、よね?バレてないはずよ!」
「お姉ちゃんまさか、秘密で城から飛びだしたの〜?」
「仕方ないじゃない。言ったら絶対に反対されるのだもの。」
「秘密で出てきた方が心配するし怒られるんじゃない〜?」
「うっ、そ、そうよね..........。バレてないと良いのだけど........。」
「もう〜、お姉ちゃん入ろうよ〜?」
「た、ただ今帰りました。」
「お邪魔しま〜す!」
暗い.........。
レイラは寝たのかしら?
なら、バレてないわよね。
「姫様〜?一体、何処に行っていたのですか〜?」
「ひっ!れ、レイラ!?な、何でまだ起きてるの?」
「姫様が心配で寝れる訳ありません!」
「で、でも、どうして私がいないって分かったの?」
「アレン様が教えてくださいました。」
「え!?あ、アレンが!?」
「あ、アイア〜!大丈夫だった!?怪我はしてない!?」
「え、ええ、大丈夫よ。怪我もしてないわ。」
「姫さん心配したっすよ。アレンさんなんて人を殺しそうな.........イテテテテッ!す、すみませんっす!な、なので、早く手を離してくださいっすよ!」
「お前、何を余計な事をアイアに伝えてるんだ?」
「す、すいません!」
「すいませんじゃないんだよ!」
また、始まったわね。
まあ、すぐに終わりから助かるのだけど..........。
「げ、精霊がいるのかよ。」
「ん?どうかしたの?」
「ううん〜。何でもないよ〜?」
「バイスってかわいいわよね。」
「..........ん〜?どうしたの〜?急に〜?」
「.........何でもないわ。レイラ、これからここに住む事になったバイスよ。部屋を用意してあげて。それから、後で部屋に来て。」
「........分かりました。」
「ありがとう。」
「姫さん、大丈夫っすか?顔色が悪いっすけど?」
「はい、大丈夫ですよ。師匠は相変わらず真っ赤よね。」
「そうっすね〜。一応、炎の精霊っすからね。」
「.........精霊は他の人の属性が分かったりするのかしら?」
「まあ、大体は分かりますよ〜。でも、オレらより魔力量が多い奴は分かりませんけどね。」
「そんな人いるの?」
「いますよ。姫さんはオレらより魔力量が多いので属性は分かりませんよ。まあ、姫さんは氷でしょうけどね。」
「.........違うわ。私は水よ。氷ではないわ。」
「え?だって、フリージアは氷の属性しか.........。」
混乱するわよね。
私もよく分からないのよね。
ゲームではアイシアは氷と水だったのに今は水しか使えなかった。
けど、私が記憶を取り戻してからは全属性を使えるようになった。
勿論、氷もだ。
本当な不思議ね。
「気にしてないから大丈夫よ。私はもう寝るわね。おやすみなさい。」
私は逃げるように自分の部屋に駆け込んでレイラが来るのを待った。
今回も読んで頂きありがとうございます!
次回も楽しみに!




