女子会再び
「ということで、女子会をしよう!」
なぜか、私の部屋で希沙、怜菜、帆花が集まっていた。
前の女子会のリベンジをするらしい。今日はもうコネクトリンクはし終わったので、渚くんがいなくても問題ないんだけど、ハブられててちょっと可哀想。
なぜかまた、希沙に抱き締められてるし。まあいいけど。
なんか、人と触れ合ってると落ち着くんだよね。最近、たまにふと寂しくなって誰かと触れ合いたくなる。変なやつになっちゃった。
なんか、心がむき出しになってしまったというか、そういう感じ。
みんなに私の全部をさらけ出したからかな。
……いや、スキル使えなくてヒールで頭痛とか消せてないせいもあるかも。
スキル使うとすぐにアバドン化進行しかねないから止められてるの、めんどくさいな。
そういえば、悪夢は見なくなった。あれを見てたときの方が、もうちょっとちゃんと振る舞えてたのも不思議だ。
もう、バラバラになって人形を持ってる妹とか、腕を失くして這いつくばってる悠里とか見なくても済むんだ。
カースシーカーのことはメンヘラってよく言ってたけど、これ私が一番メンヘラじゃない?
なんか、やだな。
……中学の頃は男だぞって意識でやってて、それ以降はそんなことを考えてる暇もなかった。
でも、今の私はどうだろう。
悠里に背中を押されて、渚くんに手を引っ張られて助けられた私は、なんかもうしっかりと女の子になってしまったのかもしれない。
口調はよく乱れるけど。
「どうしたの、蒼空ちゃん」
希沙はあれから、蒼空ちゃんって呼んでくる。まあいいんだけど、なんでちゃん付け。
「なんでもない」
「ふーん、そう?」
「明上蒼空、最近はちゃんと食べてるかしら」
「うん」
怜菜は元から世話焼きだったけど、もっと酷くなった。ことあるごとに私の部屋に来ては家事をして去っていく。家政婦?
部屋の端でスマホをいじってる帆花とは、別に関係性は変わってない。いや、あれスマホじゃなくて配られてる端末か。学校関係の連絡でもしてるのかな。
帆花はちゃんとチームに入ったけど、こいつ上手くやれてんのかな。お前だけなんか、冷たい空気になってない?気のせいか。
「なんかその、蒼空ちゃん。ごめんね」
「えっ、何が?」
「なんかさ、ユーリの時にこの人私と同じ立場っぽいのに普通っぽく振る舞ってるなあって最初思ってたけど、そうでもなかったから」
「別にいいよ。隠してたし」
「その事勘違いして、荒れちゃったし」
「それは希沙が悪いと思う」
「あはは、正直だなあ」
わしゃわしゃ、と撫でられる。子供みたいな扱いだけど、なんか悪い気はしない。
「髪伸びたね」
「そう?」
アバドン化の影響で銀髪になってしまった私は、なんか髪の伸びが早くなってきた。確かに、ちょっと鬱陶しいかもしれない。
「シュシュとか買う?」
そういえば、希沙とたまたまショッピングモールで会った日にそんな話をしてたっけ。
「今度、希沙に選んでもらおうかな」
「いいよ」
なんて話をしてるうちに、怜菜が料理を作り終わったみたいだ。
希沙の抱き締めから解放されて、座らされてる。なんか、少し寂しい気持ちだ。
何かあると、誰かとくっついてないと怖くなるこの気持ちはなんとかならないんだろうか。
なんか自然に料理してるせいで疑問に思わなかったけど、いつの間に。
「作り置きもしておいたわ」
「……なんか怜菜が母親みたいになってる」
怜菜以外母親もういないんだけどね。
「そう。じゃあ、抱っこでもしてあげようかしら」
「うん、して」
冗談めかして怜菜が言うので乗っかってみると、固まってしまった。抱っこされるのも悪くないかなと思ったのに。
「明上、あんたそんな甘えたがりだっけ?」
端末をいじるのをやめて、帆花が訝しげにこちらを見た。
「じゃあ帆花でいいよ」
「は?」
端末が帆花の手元からするりと抜けて落ちた。
なんなんだよ、こいつら。固まってしまったので、帆花の足の上に座った。
「早く抱きしめて」
「……は?」
ダメだ、は?しか言わない。
我慢ができない。くるり、と反対に向いてこっちから帆花に抱きついた。やっぱり、安心する。
「はっ、明上?」
「ん」
「ん、じゃなくてこれは何?」
「こうすると安心するから」
「帆花ー、諦めて抱きしめてあげたら?」
「そうよ」
「なんなのあんたら?」
帆花が困惑してておもしろい。怜菜と希沙の援護も来てるし。
帆花とは別に仲良しじゃないし、友達でもない。でも、同じあの地獄を生き延びた仲間だから、今後は仲良くしたい。
……性格的には厳しいか。
それにしても、あのボサボサだった帆花がすぐに立ち直ったのは意外だったな。
聞けば、私が死にたがってそうで腹が立つから、何かあってもそれを防げるようにすぐにリハビリ感覚で訓練してたらしい。
なんかその、ごめんって気持ち。
「はあ、しょうがないわね。なんか調子狂うわ」
私の背中に腕が回された。
「もうちょっと、ぎゅってしてくれない?」
「……あんた、ギャップやばすぎ」
「いいから」
「はいはい」
抱きしめる力が少し強くなった。ちょうどいい。
心に刺さったトゲが少しなくなってくれたような気がした。
その後、正気に戻った私は自分のわけのわからない行動に対して羞恥で震えてたのに、怜菜も抱き締めたいと言い出したのを了承してしまって、柔らかい感触に包まれた。
いや、柔らかすぎ。こういうところに変に反応するところは、まだ男が残ってるんだろうか。
なんか、複雑だ。




