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ソシャゲの序盤で死ぬヒロインにTS転生したけど、とりあえず主人公くんをいじりたい  作者: あまぐりムリーパー
奈落の先の青空

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12/28

TS娘、仲直りする

 椎柴帆花の勧誘は一旦失敗、でもどうせ元々俺の死後に加入予定だから問題ないだろ。布石は打ったしな。


 何が墓参りかと思った、だよ。んなわけねーだろ。一人で行くだろそんなもん。


 ……あっ、俺が出てしまった。混ざりあってて気持ち悪い。


 ううん、チューニング、チューニング。


 あーあー、私は明上ユーリです。最近は渚くんの匂いもいい感じだなって思ってます。


 よし!


 どうもー、みんな待った?TS転生美少女、そのうち死ぬ系ソシャゲヒロインの明上ユーリだよっ!


 なんかハブられてたから追加キャラに絡みに行ったけど足蹴にされて、とぼとぼしながら帰った悲しい人です。優しくしてね。


 ついでに、通学路の猫ちゃんに手を振って逃げられてます。悲しい。


 希沙のメンケアうまくいったかなー、そこだけが気になるよね。でもまあ、大丈夫でしょ。私がいたら逆になんかやっちゃいそうだよね、うんうん。


 ……真面目な話をしますと、希沙とちょっと会いにくいよね。立ち直った後、私のせいで再燃して爆発!ってなったら嫌じゃん?


 うーむ、どうしたものか。どうしようもないんだけども。


 校舎に入るときって当然渚くんいるかなーっていつも思うけど今日は希沙いるかなーに変わっちゃうよね。


 空がどんよりしてる。月並みなことを言うなら、私の心を表してる空模様って感じ。どよーん。


「明上、おはー」

「はよー」


 クラスメイトに挨拶を返す。ふんっ、今の私はクラスメイトとも話せますからね。えっ、普通って?うるさいやい。


「明上って例の彼とはどうなん?」

「んー、渚くんのことか」

「そうそれ。いちゃついてるんしょ」

「反応が面白いからいじってるだけだよ」

「そーっすか。チーム崩壊するからほどほどにしな?」

「へいへい。そっちはどうなの?」

「そりゃあもうギクシャクよ。あたしらメンヘラだし?」

「確かに」

「いや、否定しろし」 


 なんて会話してるけども、友達でもないんだよなあ。ノリがいいからわりと会話できるんだよね。メンヘラ度が低い人たちはわりと話せるし。


 でも、渚くんいじってるの周囲に意外と見られてるんだ。渚くんの反応を楽しんでいいのは私だけだし、室内で我慢しようかな。





 なんてことを悩んでいたらすっかり放課後、チームの様子はどうなってるかなー。


「……ユーリ」

「えっ、はい」


 驚きすぎてなんか敬語出ちゃった。 急にかけられたらそうなるじゃんね。


「なんで敬語?」


 くすっ、と柔らかく笑ってる希沙が見えた。


 えっ、私にわざわざ会いに来たの?なんか、雰囲気が憑き物が落ちたような感じだ。うまく解決してたみたいだ。


「だって、急に話しかけてくるだもん」

「ごめん、ちょっと話したいなーって思ってたから」

「ふーん、チームの部屋行きながらでいい?」

「うん、いいよー」


 廊下を歩きながら、私たちの間には沈黙が落ちる。なんか、気まずいんだもん。


 ちらり、希沙の方を見る。目元がなんだか赤いような。


「……あはは、目元腫れてるからあんま見ないで」

「ごめん……」


 見てるのがバレちゃった。腫れてるって、泣いてたみたいな?

 渚くん、一体何したの???


「……ユーリ、八つ当たりしちゃってごめんね」

「ん?いいよ、別に。なんかわかんないけど、私が変なこと言っちゃったっぽいし?」


 いやまあ、何が悪かったのかはよくわかんないんですけども。


「いや、違うよ。私が勝手に同族かな、みたいな期待してただけ」

「まあでも、希沙の方が自然だよね。家族みんな死んじゃったら普通は病みますからねー」

「……言ってなくてもやっぱわかるんだ?」

「まあね」


 原作で履修済みだからね。


「……ユーリはさ、これからどうした方がいいと思う?」

「ん、何が?」

「私はさ、もうずっと空っぽなの。何もやりたいこととかない。もう、何したらいいかよくわかんないんだよね。……自棄になるのはやめたけど」

「うーん、でもそんなもんでしょ」


 物憂げだった希沙が、こちらを向いた。


「……そんなもんかな」

「カースシーカーだとか深禍だとかで感覚バグってるって。みんなそんなにやりたいこととか決まってないよ。だって、俺たちまだガキだぜ?なんつってさ」

「変なの。……でも、そっか」


 希沙の頬が緩んで、軽く笑みを浮かべた。


 うん、本当に思うんだよね。私たちはまだガキだからさ、そういう悩み自体は普通だもんね。


 いやその、背景を考えるとそんなことはないのですが。そういう子っていっぱいいるしさ。みんなで探していきたいじゃん、みたいなね。


「これから見つけていけばいいじゃん。そういうもんでしょ」

「そうかも。……じゃあさ、一緒に見つけてよ。生きる意味とかそういうの」

「重すぎでしょ。せめてチームで見つけるとかにしない?」

「それで許してあげる」


 ぺろっ、と希沙は舌を出した。かわいい。


 今までの無理に明るいキャラを演じてたのはやめたみたいだ。そっちの方がいいよ、かわいいし。


 それにしても危ない。一緒に見つけるだと私がすぐに退場してしまうため、とんでもないことになってしまうところだった……。


 ふと、外を見る。ざーざー、と雨が降りだしていた。だるいなあ。


 チームの部屋に行くとすでに怜菜と渚くんがいた。


「どうもー、昨日ハブられてた明上ユーリです」

「ごめんって」


 怜菜と渚くん、二人とも呆気に取られてる。チャンス!


「なーぎーさーくーん!」

「うわっ!?」

「いきなり飛び付くのはやめなさい」

「へぶっ!!」


 渚くんに飛び付いたところを怜菜に打ち落とされた。痛い。床ってひんやりするなあ。


「あ、あの明上さん大丈夫……?」

「ごめん、渚くんを見つけると飛び付きたくなる習性でさ」

「どんな習性!?」

「明上ユーリはいつもこんなものでしょう」


 ちなみにカースシーカーは丈夫なので、飛び付きキャンセルで床にぶつかっても無事です、ぶい。


「んで、私がいなくなってる間にチームまとまったってことでいい?」


 ゆっくりと起き上がる。

 三人の様子を見ると、みんな小さく頷いた。 


「よーし、じゃあそろそろみんなコネクトリンクして出撃できるってことだね!希沙ももう、するでしょ?」

「うん」

「怜菜もっ!」

「………………………………そう、ね?」

「え、めっちゃ嫌そうじゃん」

「……はは」


 ちょっと、怜菜さあ。渚くんがかわいそうじゃん!苦笑してるよ!


 ってかまだダメなんかい。確かに、怜菜と渚くんの関係の進展とかはまだなさそうだけども。


 シンプルに、男に触れるのがダメなんだろうな。


「はあ……コネクトリンク全員できてからが本番なのに」

「んー、それってそんな急ぐことなの?」

「急ぐことなの。コネクトリンクってのは、回復とか強化のために繋がるものだけじゃなくって、こう感覚みたいなのも共有するからコネクターが指示しやすくなるの!」

「……明上さんってそういう事情に詳しいんだね」


 あ、やば。これなんか語りすぎちゃったかな。


 コネクトリンクって、副次的な効果が結構あるみたいで、カースシーカーの周囲を確認できるようになることもあるんだけど、こういうのって回数重ねないとできるようにならないんだよなあ。


 だから、早めに済ませておきたいよね。


「まあまあ、とりあえず怜菜がコネクトリンクしてくれるようになろう、おー!」

「勢いでごり押しすぎよ」

「んー、でも私も怜菜もできるようになった方がいいよ?」

「うぐっ……その、努力は……したい、わね……?」


 希沙、ナイス援護!仕方ないから一応やるか……ぐらいの気持ちにはなってくれてるらしい。


「うーん、渚くんに怜菜を落としてもらうしかないか」

「いきなり何を言ってるの??」

「明上ユーリ、ふざけたこと言わないでもらえるかしら」


 二人に、とても猛反発されてしまった。


 そういえば、希沙は渚くんに落とされたのかな。ちらっと、希沙の様子を見る。普通そうだからわかんないな。


 ふっ、渚くん大好き勢はまだ私だけですか。


 それはともかく、なんとか怜菜が渚くんとコネクトリンクしても大丈夫にならないかなーとその日は試したが、怜菜の変な反応を見るだけで終わってしまった。


 そういえば、私がいなくなるまでの出撃回数なんてせいぜい2、3回ぐらいだから怜菜がそれを克服することは見れないかもなあ。


 今日はまだ、雨が止みそうにない。せめて折り畳み傘を持っておけばよかった。濡れて帰るか。


 帰るときに、ぼさぼさの茶髪とすれ違ったような気がするがたぶん気のせいか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


[アーカイブ]


 コネクトリンクの副次的な効果として、コネクターがカースシーカーの感覚がある程度共有できるようになります。この効果が強力になると、カースシーカーの周囲のものまでわかると言われていますが、真偽は不明です。


 それ以外にも、コネクターはカースシーカーの記憶などを一部読み取れることも可能ですが、これはある程度コネクトリンクの深度が必要です。

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