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第21話 バンドごっこ

冬休みが近づき、

街にはクリスマスの飾りがあふれていた。


その日、俺たち三人は天宮さんの家に集まっていた。

目的は――“人生初のバンドごっこ”をやってみること!


「じゃーん! わたし、タンバリン持ってきた!」

凛が自信満々にカバンからタンバリンを取り出す。


「私は、カスタネット! 音楽って小学校以来かも……」

天宮さんも可愛らしいカスタネットをぱちんと鳴らしてみせる。


俺は父のギターを抱えて、

「まだ全然弾けないけど、みんなでやるのが楽しいから」と笑った。


「曲はどうする?」

天宮さんが目を輝かせて聞く。


「簡単な童謡とかから始めようよ。

“きらきら星”ならギターのコードもシンプルだし」

凛がスマホで楽譜を調べて提案する。


三人で円になって座り、

ぎこちなくリズムを合わせ始める。


「せーのっ!」


タンバリン、カスタネット、ギター。

最初は音もバラバラで、

なかなか曲にならなかった。


「全然合わないね!」

天宮さんが苦笑する。


「むしろそのズレが面白い!」

凛が笑う。


何度もやり直すうちに、

少しずつ音が合い始めた。


「せーの、きーらーきーらーひーかーるー……」


気がつけば、みんな大声で歌っていた。


◇ ◇ ◇


休憩中、テーブルにはホットココアとクッキー。


「音楽ってさ、

上手い下手より“誰とやるか”が大事なんだなって思った」

俺が言うと、天宮さんがうなずく。


「うん、うまくできなくても楽しい。

三人でやるからこそ、特別な思い出になる気がする」


凛がタンバリンを指ではじきながら、ぽつりとつぶやく。


「こうやって何か作ったり表現したりするの、

今はすごく大好き。

舞台も音楽も、やってみて初めて分かる“楽しさ”だね」


窓の外では、

冷たい冬の風が木の葉を揺らしている。


だけど、

この部屋の中は笑い声と音楽であふれていた。


◇ ◇ ◇


少し休憩してから、また楽器を持って円になった。


「次は、オリジナルの曲とか作ってみたいな」

凛が急に言い出す。


「え、作詞作曲!? すごいチャレンジじゃん!」

天宮さんが目を丸くする。


「やってみないと分かんないし、みんなで“即興ソング”とかどう?」


「いいね、それ!じゃあ、テーマ決めよう」

俺が乗っかる。


三人であれこれ言いながら

「冬」「友だち」「ドキドキ」といったキーワードを出し合う。


「“冬の魔法”とかどう?」

天宮さんが提案し、

「それ、素敵!」と凛がはしゃぐ。


ギターで簡単なコード進行を弾きながら、

即興でメロディを口ずさんでみる。


「冬の魔法で 君とつながる~

白い息で笑い合えたね~」


タンバリンがシャラリと鳴り、

カスタネットがリズムを刻む。


だんだん曲らしくなってきて、

三人で大声でサビを歌う。


「冬の魔法を信じてる

君がいれば寒くないよ――」


思わず、天宮さんも凛も手を叩いて笑った。


「これ、すごく楽しいね!」

「もしかして、来年の文化祭で披露できたりして!」

「いやいや、さすがにそれは……でも、思い出にはなるよな」


◇ ◇ ◇


夕方になり、

窓の外が薄暗くなってきたころ、

みんなでココアを飲みながら語り合った。


「将来の夢とか、変わった?」

天宮さんがふいに聞く。


「うーん、私はやっぱり“舞台に立つ人”かな」

凛が迷いなく答える。


「私は……今はまだ“誰かの隣で一緒に何かを作る人”って感じ」

天宮さんが少し照れくさそうに笑う。


「俺は、今日みたいに“好きな人たちと何かを作る日常”が、

ずっと続けばいいなって思った」

そう答えると、二人が顔を見合わせて小さくうなずいた。


「じゃあ、来年の冬も三人で“冬の魔法ソング”やろうよ!」

凛が提案する。


「うん、絶対!」

「約束だよ!」


三人で小指を絡めて、

“秘密の約束”を交わした。


◇ ◇ ◇


夜、帰り道。


駅まで三人で歩きながら、

胸の奥に、ほんのりとした温かさが広がっていく。


“未来への音色”が、静かに、

でも確かに、心に刻まれていた。


◇ ◇ ◇


家に帰ると、

グループLINEにメッセージが届く。


【凛】

「今日の録音、送っとくね!笑」


【天宮さん】

「本当に楽しかった!

これからもたくさん思い出作ろうね」


【俺】

「次の練習までにギターうまくなるように頑張る!」


新しい夢、新しい約束。

三人の物語は、

これからも続いていく。

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