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謁見の間で国王夫妻への挨拶を終え、
シェリルはリアムと連れ立ってその場を辞する。
このあと彼は各国の外交官との会議に出席するらしく、
夜の宴席まで自分とは別行動をとることになる。
「それではリアム様、また後で………。」
「………シェリルは?このあとは図書館?」
「………そのつもりです。」
先ほど国王夫妻に挨拶をした際、
夜の宴席が始まるまで
王城内を探索してもいいとの許しをもらった。
もちろん許可された場所だけだが、
その中の一つに王城内に併設された図書館があった。
「国には無い本もあるでしょうし、
ヴィー先生への"みやげ話"にもなりますから。」
そのためにもこの場からさっさと離れたいシェリルは、
ニッコリ笑って
"あなたも早く、会議に行かれたらどうですか?"と、
無言の圧をかけてみるが、なぜか彼は動こうとしない。
「………どうしたんですか?
早く会議室に向かわれた方がいいですよ?」
「………ねぇ、
いってらっしゃいのキ………。」「しません。」
リアムのお願いを最後まで聞かずにキッパリとお断りして、
シェリルはくるりと体を回転させる。
………最近多いんだよなぁ、こういうの。
ベタベタベタベタ………やたらくっつきたがるし
隙あらば髪に頬ずりするし、膝枕は要求してくるし、
屋敷に帰るって言えば不機嫌になるし。
………あの日からリアム様"も"おかしい。
「シェリル。」
「!………まだ何か…………。」
体を少しだけ後ろに向けて、
まだおかしなことを言うつもりかと睨むシェリルに、
リアムは薄く笑みを浮かべて"忠告"する。
「…………ちゃんと帰って来てね?」
「…………っ。…………わかってます!」
熱を出したあの日から、
リアムはシェリルが自分のそばを離れる時には必ず、
"帰ってくるんだよ?"と言うようになった。
それはまるで、
シェリルが自分から"離れたい"と思っていることに
気づいているかのように。
………あの日からおかしくなったのは彼だけじゃない。
自分もだ。
背中にリアムの視線を感じながら、
シェリルはその場から逃げるように立ち去る。
………気づかれていませんように。
あなたからまた、逃げたくなっていることに。




