8
「詰んだ………
私の人生終わった………!!」
屋敷へと向かう馬車の中で、
シェリルは頭を抱えながら涙声でつぶやく。
友人のジネットから聞いた古い言い伝えが
まさか本当にあった話で、
しかも自分が、その女の人の立場になるなんて。
「しかも相手はあのリアム殿下…………
たしかに詰んだかもね、姉さん。」
「うあぁぁぁ…………!!」
自分の腕に浮かび上がったアザは、
監禁され、鎖に繋がれた女性と同じ立場の証だと、
あのあとリアム殿下がニタリと笑いながら教えてくれた。
そして、その鎖を握る人間の血を継いだのが自分だと、
これまた極上の笑みを浮かべながら告げてきた。
「なんで………
だっておかしいでしょ?!
なんで現代になってまで鎖で繋ぐの?
その時の二人はとっくに天に召されてるよ?
後世のうちらにまで受け継がせる必要ある?!」
「まぁ一種の呪いみたいなもんだろ………
監禁されていた女性の後釜には鎖のアザが、
鎖を握っていた男性の後釜は、
そのアザを持つ女性を追い求め、監禁するっていう。」
「やめて!!監禁とか言わないで!!」
「………でもこのままだと
姉さんはリアム殿下の手籠めにされちゃうわけだ。」
「あ、あんたねぇっ?!
血のつながった姉がそんなことになってもいいの?!」
「そんなこと言われても、
あの殿下が相手じゃ…………。」
諦めるしかないかもね、とレンが首を横に振る。
………なんでこんなことになったの?
自分の腕を見ながらシェリルは言葉を失う。
ただ普通に生きてきただけなのに。
鎖に繋がれた人生を送らなきゃいけないほど
悪いことなんてしてないのに………!!
「とにかく父さんと母さんにも伝えて、
これからどうするか相談するべきだよ。」
「…………………。」
どうするかなんて考えなくても決まってる。
…………逃げるしかない。どこか遠くへ。
シェリルは唇をぎゅっと結び、涙をこらえる。
鎖に繋がれた人生なんて送るものか………
わたしの残りの人生、監禁生活だなんて信じない!!
そう心で叫び、ひとり脱走計画を立てるのだった。




