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口元を三日月にしたリアムが、
へたり込んでいるシェリルに合わせるように
自分もその場にしゃがみ込み、首を傾げる。
「………リアム、様………?」
「ん?
………あぁ、痛かった?
我慢できなくてチカラ使っちゃったけど
ちょっと力の加減間違えちゃったかも。
………でも仕方ないよね?
自分のものに勝手に触られたんだから。」
「!」
「手の次はほっぺたかぁ………
シェリルは隙がありすぎるみたいだから
もうちょっと厳しくしつけなきゃいけないかなぁ。」
「っ………ちがっ。」
「………とにかくここから出ようか?
まだパーティーも終わってないし。
………そういえば、
あなたも戻られた方がいいのでは?外交官殿。」
申し訳程度に微笑んでゼインにそう告げると、
リアムはシェリルを抱き上げる。
「………この子はダメですよ?」
「!」
漆黒の瞳にさらなる闇をうつしながら
リアムが冷たい声で告げる。
一瞬その言葉に怯んだ様子を見せたゼインも、
すぐにパッと表情を変え、
"なんのことでしょう?"とリアムに微笑みかける。
「………それでは失礼しますね、外交官殿。」
何も言わず、黙ったままのゼインをその場に残し
リアムは扉に向かって歩き出す。
………あの男、
手を無くしてやった方がいいかもしれない。
そんな物騒なことを考えていたリアムは、
自分の腕の中で小さくなっていたシェリルが
もそもそと動くのを感じ、視線を下へと移す。
自分が与えた痛みが引いていないのか、
彼女はまだ少し、苦悶の表情を浮かべていた。
「………痛い?体調も悪かったんだよね?
なんで言ってくれなかったの?」
「………それ、は。」
「それなのに俺のそばから離れたの?なんで?」
「なんでって………!
そっ、それより!ちゃんと謝ってください!
骨が折れたかと思うくらい痛かったんですから!」
「あ〜ぁ、ごめんね?痛かったよね?
あとでいっぱい撫でてあげ…………。」
「撫でないで!触らないで!悪化しそうで怖い!」
「………ひど。」
ぎゃあぎゃあ騒ぐシェリルと、
そんな彼女を愛おしそうに見つめるリアムの後ろ姿を、
ゼインは唇を噛み締めながら睨みつける。
………ダメ?
元々その子は僕のものだったのに?
勝手に横から奪っていったのはお前なのに?
ステンドグラスから漏れる白銀の光は、
ゼインの歪んだ顔と感情を、煌々と照らしていた。




