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ひとり聖堂へと先に入ったシェリルは、
差し込む光を受けて神秘的に輝くステンドグラスを
ただじっと、静かに見つめていた。
………きれいだとは思う。
だけどそれよりも、自分の中に広がるこの感情は
寂しさに近いような気がする。
「………………………。」
ステンドグラスから漏れる色とりどりの光は、
シェリルの心になぜか、暗い影をおとす。
自分の周りを彩る光は、どれも明るく綺麗な色なのに
自分の心の中に広がるのは、暗く黒い光だ。
………その光に、
自分の意識がふいに、飲み込まれる。
"……………ずっと一緒だよ。"
"……………ずっと一緒にいようね。"
「………っ、………シェリル!」
「?!」
心の中に映し出された光景と響いた声。………それと、
後ろから自分を呼ぶ声に驚き、シェリルはハッと我に返る。
ほんの一瞬、
自分の意識がほかの"何か"に乗っ取られたような、
そんな不思議な感覚から現実へと戻ったシェリルは
静かに後ろへと振り返る。
「………なんですか?リアム様。
そんな大きな声で呼ばなくても、
ちゃんと聞こえてますよ?」
「………何度も呼んだのに?」
「………すみません。
ステンドグラスに見惚れてて………。」
………嘘は言っていない。確かに見惚れていた。
"今"は太陽の光を浴びて輝くステンドグラスが、
"月の光で輝いていた"時を。
………自分であり、自分ではない誰かが見ていた光に。
「………とにかく座って?
もうすぐ二人が入場してくるはずだから。」
「……………わかりました。」
そう言ってシェリルは、リアムの隣に座る。
いつもなら何ともないこの状況に、今は違和感を感じる。
………ここじゃない、
自分がいるべきなのはこの人の隣じゃない。
………ちゃんといるの、隣にいたかったはずの人が。
その人が誰なのか、ちゃんとわかってる。
その人を探すために、シェリルは視線を彷徨わせる。
………まるで誰かに、そうするよう命令されたように。
でもそれは叶わなかった。見つけられなかった。
シェリルの視界を遮るように
式の主役である二人が、聖堂の扉から入場してきた。




