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一度は離れたはずの手を再び掴まれ、
シェリルはリアムの胸元へと引き寄せられる。
先ほどまでとはまるで別人のような
甘ったるい空気を纏ったリアムは、
すりすりとシェリルの髪に頬ずりする。
「………そっか。
シェリルも俺のそばにいたいって思ってたんだ?」
「っ………あ、あのそれはっ。」
「嘘とか言わないよね?
あんな熱烈に言ってくれるなんて感動なんだけど。」
「ね、熱烈?!」
「………頑張って立派な王子妃にならないと
俺に捨てられちゃうとでも思ってたの?」
「!!」
「伝わってなかったかなぁ。俺の気持ち。
こんなにシェリルのこと愛してるのに。」
「あっ、愛っ………。」
「もっと言葉でも態度でも行動でも示さないと
鈍感なシェリルには伝わらないのかなぁ。
………捨てたりなんか、絶対しないのに。」
耳元でそう囁かれたシェリルは、
恥ずかしさからリアムの胸元に顔をうずめ、
しがみつくように彼の上着を両手で掴む。
その動作だけでも自分を喜ばせるには十分なのに、
本人はまったくの無自覚だからタチが悪い。と、
リアムはシェリルを抱きしめながら思う。
「………けど、
頑張らなくていいっていうのは本音だよ。」
「!」
「シェリルのことだから
無理しすぎると逆に顔に出ちゃうだろうし、
今のシェリルは十分王子妃としてやっていけるよ?」
シェリルの顔を覗き込みながらそう言うと、
フルフルと首を小さく横に振られてしまう。
どうして?と尋ねれば、
「…………今のままじゃ、
リアム様に迷惑かけちゃうから。」
と、モゴモゴとした声で返される。
………意外と頑固なんだよね。とリアムは思いつつ、
「シェリル。………こっち見て?」
くすっぐったいような、甘ったるい声で名前をよばれ、
シェリルはおそるおそる顔を上げる。
自分でも知らないうちに
こんなにもリアムのそばにいることを望んでいたのだと、
自分自身の気持ちに戸惑いを隠せずにいる。
だがそれと同時に、
リアムにくっついているのを心地よく感じてしまう。
「………シェリルのすることで、
俺が迷惑だなんて感じることは一つもないよ?
………それよりも、
シェリルが悩んで、苦しんで、
それを隠される方がよっぽどツラい。」
「!」
「王子妃は"オマケ"なんだよ?
シェリルが俺のモノだって周りに見せつける為の。
……….だから、俺の前だけにして?
ほかの人間に、俺が知らない顔見せないで。」
すがるような声で気持ちを伝えるリアムに、
シェリルはズルいと思ってしまう。
そんな声でお願いされたら、嫌だなんて言えなくなるのに。
「…………リアム様は、わたしに甘すぎるんです。」
「!」
「王子妃として頑張るのはやめません。
………でも、苦しくなって嫌になったら、
リアム様に甘やかしてもらうことにします。」
はにかんだ笑顔でそう伝えると、
リアムは目を細め、嬉しそうに笑いながら
「ぜひそうしてもらえる?」
そう言って、シェリルのこめかみにキスを落とした。




