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その後もヴィンセントとの言語の授業を続き、
今日はここまでね。と言われるまで
シェリルは熱心に話を聞き続けた。
自分が興味のあることだからかもしれないが、
ヴィンセントとの時間はあっという間に過ぎていった。
「シェリルちゃんはこの後まっすぐ屋敷に帰るの?」
「あ、いえ。
今日は弟と一緒に帰る約束をしているので………
たまには外で夕食をとろうって話になってて。」
「弟さんと?
一緒に帰るってことは、ここにいるの?」
「はい。
リアム様のところで補佐官見習いとして勤めてるんです。」
「へぇ、そうだったの………
姉弟揃ってあのクソガキのそばにいるなんて
苦労が多いわねぇ、あなた達。」
「?」
かわいそうに。と哀れみの目を向けるヴィンセントに
ではまた次の授業で!と別れを告げ、
シェリルはレンの仕事が終わるまでそこで待っていようと、
とある場所へと向かうことにする。
「今日習った言語を復習するなら、
この本がいいってヴィー先生が言ってたっけ。」
先ほど別れたばかりのヴィンセントからもらったメモには
本の題名が二つほど書かれている。
習ったことを忘れないうちにオススメされたその本を
読んでみたいと思ったシェリルは、レンを待つ間、
早速書庫に行って探してみようと思ったのだ。
本来ならば誰か付き添いの者を頼んだ方がいいのだが、
今はまだお昼を過ぎたばかりで日も明るい。
物騒なことが王城の中で起きるワケもないだろうと
シェリルは一人で書庫に向かうことにした。
迷うこともなく書庫へは後少し、というところまで来た時、
シェリルはふと目の前に現れた曲がり角を見て
あのパーティーの夜に
同じような曲がり角でぶつかったことを思い出す。
………あの人には、出来るだけ会わないようにしないと。
ただでさえリアムにも口酸っぱく言われているのだ、
"あの男とは絶対に二人っきりになっちゃダメだよ?"と。
その理由は先日、
突然一時的に腕のアザが薄くなってしまったことにある。
その原因が自分がゼインに触れられたせいだと
リアムは推測したようで、今後触れさせるのはもちろん、
顔を合わすことすら本当は許可したくないと
冷たい目をしながらシェリルに言ったが、
相手は次期王妃になるアイリーンの幼なじみであり、
今後外交官として付き合っていくことになる人物。
そうなれば当然、城に出入りする機会は増え、
自分と顔を合わせることも少なからずあるだろう。
そうなった時、絶対に二人っきりになるなと
リアムは何度も念を押してきた。………恐ろしいほどに。
リアムのしつこすぎる念押しを思い出しながら
曲がり角に差し掛かったときだった。
「…………!」
突然腕に違和感をかんじ、嫌な予感がしたシェリルは
曲がり方から少しだけ顔を覗かせ、その先の廊下を伺う。
………そこには、やはりといった人物が
こちらに向かって誰かと一緒に歩いてくるのが見えた。
マズい……!このままだと鉢合わせに………!
そう思ったシェリルは、全力で来た道を戻ることにした。




