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「………王子妃教育は終わった?シェリル。」
少し垂れ目の瞳を細め、
微笑みながらそう聞いてくるリアムに
シェリルは"はい!"と答えて微笑み返す。
頭を撫でられ、さっき不機嫌そうに見えたのは
勘違いだったのかと思ったシェリルの耳に、
「………そこの気色悪い大男に、変なことされなかった?」
と、やはり不機嫌そうな声が聞こえた。
「………やぁねぇ。
変な言いがかりつけるのやめてくれる?」
「………変なのはアンタの言動でしょ?」
リアムも背が高い方だが、ヴィンセントはさらに高い。
そんな大男二人に挟まれるようにして立つシェリルは
下から見上げるように睨み合う二人を見つめる。
………この二人、きっと子供の頃からこうなんだろうな。
「………終わったならサッサと帰ったら?」
「言われなくても帰るわよ。
………あぁでも、
もう少しシェリルちゃんと話していこうかしらぁ?
明日からの授業について。」
「えっ?明日からのことで何か………。」
「それとも、
………アンタの性格の悪さでも教えてあげようかしら。」
「それ、王子妃教育に必要?
明日からの授業でアンタの性格の悪さが
シェリルにバレるのを心配した方がいいんじゃない?」
「…………………。」
どちらかが一言なにか言えば、
もう片方がそれに乗っかって嫌味を言う。
………子供の喧嘩と同じだわ、これ。
そう思ってシェリルは、ジリっと二人から距離をとり、
自分は巻き込まれないようにその場から離れようと
後退りを始める。………が、
隣に立っていたヴィンセントにポンっと腰を押され、
後ろに下がるのを止められてしまう。
「どこに行くのー?シェリルちゃん。
帰り道はそっちじゃないでしょう?」
「あ、あぁ〜………部屋に忘れ物したかもしれなくて。」
「………ねぇ、シェリルに触らないでくれる?」
「ちょっと腰に触れたぐらいで怒るなんて
心の狭い男は嫌われるわよぉ?
しかもこれから毎日シェリルちゃんは
私と"二人っきり"で勉強するようになるのにねぇ?」
「………アンタ、教育係やめてもらえる?」
「ざんねーん!
私はバルドに依頼されてきたんだもの、
アンタに私を解雇する権利はないのよ。
それにシェリルちゃんも私を嫌がったりしてないし。」
ねー?とこちらを見て言うヴィンセントに
シェリルは"そ、そうですね"と若干戸惑いながら頷く。
………このままだと
いつまでたってもこの嫌味合戦は終わらない。
そう思いシェリルは、まずヴィンセントの方を向き、
「ヴ、ヴィー先生!
明日からよろしくお願いしますね!?
授業とっても楽しみにしてます!
………リアム様!
どうしたんですか?迎えに来てくれたんですか?!
じゃあ行きましょう!ほらっ!」
早口で捲し立てるように告げると、
リアムはシェリルの腕を掴みヴィンセントに頭を下げる。
「それじゃあ失礼しますね!ヴィー先生!」
「え、えぇ。………また明日ね。」
あっけにとられたヴィンセントをその場に残し、
シェリルはリアムの腕を引っ張って歩き出す。
「………今日は積極的だね?シェリル。」
「なにワケのわからないこと言ってるんですか。」
キッとリアムを睨み、シェリルは大きなため息をついた。




