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グズっと鼻をすすりながらシェリルは、
自分の腕を凝視する。
……ついさっきまで、確かに薄くなっていたはずなのに。
今はもう、浮かび上がった当初と同じ濃さに戻っている。
一体どういうことなのかまったく理解ができず、
自分の体にあるそのアザに、薄気味悪さすら感じる。
「………なんで。」
声を絞り出すようにつぶやいたシェリルは、
ふと見たリアムの表情が
安堵のものに変わっていることに気づく。
………そんなに嬉しいの?リアム様。
泣きじゃくる自分を見て慌てふためいてに謝ってきた彼と、
再び濃くなったアザを見て安堵の表情を浮かべる彼は
本当に同じ人物なのだろうかと思うほど、
その表情は別モノだった。
「………つまり、
俺がそばにいて触れるとアザは濃くなって、
あの男が触れると薄くなるんだね………。」
「!」
「なら、あれがシェリルに触れなければ………。」
ほかにも思うところがあるのか、
そう言ってリアムは黙ってしまう。
………アザの濃さは元に戻った、ならば。
そう思ってシェリルはリアムの腕の中から抜け出し、
スルスルとベットの端へと移動する。
「………シェリル?」
「リアム様、あの変なチカラ使ってみてください。」
「………チカラ?………あぁ、これ?」
膝立ちの状態になっているシェリルにそう言われ、
リアムは人差し指を立てる。
いつもなら自分がこの動作をすると怯えるシェリルも、
今はこちらを見ながらうんうんと頷いているのを見て
リアムは不思議に思いつつ指をくいっと自分の方に曲げる。
………すると。
「ぅわっ!」
その動きにつられるように、
シェリルはリアムの方に向かって前のめりになる。
どうやらこのチカラも無くなってはいない。
アザの濃さが戻った今、
どうやらこのチカラもそのまま健在のようだ。
「このチカラも無くなってませんね!」
前のめりの格好のまま顔を上げリアムを見ると、
彼はあの"へにゃり"とした笑顔を浮かべていた。
その笑顔を見た瞬間、シェリルの心臓がドクンと跳ねる。
…………な、なに?
バクバクと早打ちを始める心臓につられるかのように
自分の頬が赤くなっていくのがわかる。
わたし、リアム様のこの顔に弱い………?
「………またその顔でそのポーズ。」
「へっ?」
「………でもまぁ。」
シーツの上をずり這いしながら、
リアムは四つん這いの格好になっているシェリルに近づき、
「………カワイイからいっか。そのおねだりポーズ。」
「?!」
再びあの"へにゃり"顔でそう言われ、
シェリルはヘナヘナとその場に崩れ落ちる。
………その顔は反則、心臓がもたない。
顔をシーツにうずめ身悶えているシェリルを
自分の言葉に恥ずかしがっていると勘違いしたリアムは、
ニコニコしながらシェリルの頭を撫でたのだった。




