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嗚咽をあげながら涙を流し、
目を真っ赤にさせたシェリルに睨まながら言われた言葉は
思った以上にリアムの心を抉った。
そしてそれ以上にシェリルの泣き顔は、
リアムを慌てふためかせるには抜群の効果を発揮し、
自分の下で泣きじゃくっているシェリルの腕を掴み
起きあがらせると、そのままぎゅっと抱きしめて
なんとか泣き止ませようとする。
「………ごめん、ごめんね?シェリル。
俺が悪かったから泣かないで、泣きやんで。」
「………ぃやだ、くっつかなっ、ぃで。」
ひっく、と止まらない嗚咽と共に
弱々しい力で抵抗するシェリルを、
リアムは抱きしめたまま離そうとしない。
今ここで離したら、きっとこの子はもう二度と、
自分の元に戻ってくることはない。
そんな予感がして、リアムは腕に力を込める。
「………お願い、泣きやんで。もうしないから。」
「…………………。」
「シェリルの腕のアザは俺とつながってる証だし、
それが無くなったらシェリル、
どっか行っちゃうんじゃないかって思って。」
ごめんと謝りながら髪を撫でるリアムの手が、
心なしか少し震えているような気がする。
シェリルは顔を上げ、
不安げな表情を浮かべるリアムを見ながら、
ポツリポツリと話しだした。
「…………リアム、さま。」
「!」
「………腕のアザ、ほんとに何もしてなくて。
わたしも、さっき薄くなってるのに気づいて………
けど、ひとつだけ、心当たりはあって。」
「………心当たり?」
「さっきまで、
アイリーン様に会わせたい人がいるって言われて、
その人に、会ってたんだけど………。」
まだ少し出てしまう嗚咽をなんとか堪えながら、
シェリルはさっきあった出来事をリアムに伝える。
ゼインという人物にあったことも。
パーティーの日にその人とぶつかっていたことも。
「………さっき、手を掴まれたとき、
変な感じがして………
だからそれとアザが薄くなったことは
なにか関係あるのかもと思って。」
「…………どっちの手?」
こっち、とシェリルが差し出した手をリアムは掴んで、
「リ、リアム様?」
ゴシゴシと自分の服の袖で拭い始める。
「あの男が触ったとか気に食わないんだけど。」
「…………………。」
この人、ほんとに私のことが好きなのね。と、
惚気ではなく少し狂気のようなものを感じ
シェリルはなぜか落ち着くことができた。
変わった人を相手にすると、
心が冷静になれるのかもしれない。
「もしかしてだから
まったく関係ないかもしれない、け、ど………?」
そう言って自分の腕を見たシェリルは
「………リアム様、………アザ、戻ってる。」
ポカンとした顔でリアムに言ったのだった。




