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にっこりと笑うアイリーンとは反対に、
シェリルは引き攣った笑いを浮かべる。
なぜだか苦手意識を持ってしまうゼインが、
これからはこの城に出入りすることになる。
それはすなわち、自分とも会う機会があるということだ。
「こちらと自国を行き来することになるかと思いますが、
お会いした際にはぜひ声をかけてくださいね。
シェリル様のような可愛らしい方なら、
こちらはいつでも大歓迎ですから。」
「は、はぁ………?」
「気にしないでちょうだいね、シェリル様。
ゼインは仕事は出来るんだけど、
女性関係はちょっとだらしなくて。」
「そう…………。」
"そうでしょうね"と答えてしまいそうになるのを
なんとかすんでのところで飲み込み、
シェリルはフフフと笑って誤魔化す。
………自分の勘は間違っていなかった。
この男、やっぱり女性慣れしたプレイボーイだ。
「そんなことないんですけどね。」
「嘘ばっかり言って………
そろそろアナタ、一人の女性に絞ったら?
このままだといつか後ろから刺されるわよ?」
「そんなことをするような女性とは付き合わないから。
お互い"大人の関係"だって割り切ってるよ。」
「…………………。」
すごいな、プレイボーイって。
一人の女性だけじゃ満足できないんだろうか。
………あれ、ということは。
ふとシェリルは、自分の婚約者であるリアムも
世間ではプレイボーイと呼ばれていることを思い出し、
彼も"大人の関係"とやらを女性と築いていたのかと
頭の中で考える。
…………リアム様も。
「………でもまぁそうだね。
僕もこちらのリアム王子みたいに、
可愛い婚約者でも出来れば落ち着くかもね。」
「ゼイン!!」
「………大丈夫です、アイリーン様。
リアム様がこれまで
どのような女性関係をもたれていたとしても、
わたしには関係のないことですから。」
そう言って、シェリルは微笑む。
………本当はなんだかムカムカするのだが、
それを言ったところで
リアムの過去の女性関係が消えてなくなるわけではない。
婚約者としてこれからもやっていくのであれば、
自分がグッと堪えてその事を飲み込むしかないのだ。
「シェリル様………。」
「すみません、アイリーン様。
わたし、ちょっと用事を思い出したものですから
今日はこれで失礼しますね。」
そう言ってシェリルは、部屋を出ようと立ち上がる。
このままここで二人と話をしていても、
きっと会話が頭の中に入ってこない。
………今日はもうさっさと屋敷に帰ろう。
そう思ったシェリルの手を、パッとゼインが掴んだ。
「?!」
その瞬間、
シェリルの体に味わったことのない不思議な感覚が走る。
突然手を掴まれて驚いたのは確かだが、
気持ち悪さや嫌悪感とも違うその感覚。
むしろ体が、この感覚を求めているような………。
「………大丈夫ですか?シェリル様。」
「!!」
掴まれていた手をパッと振り払い、
シェリルはジッとゼインを見つめる。
………この人、この感覚、なんなの?
戸惑いながらもシェリルは二人に向かって頭を下げ、
急いで部屋から飛び出したのだった。




