46
「やっぱりあるんですね、王子妃教育。」
王城に呼び出され、王太子であるバルドから
王子妃教育を受けて欲しいと告げられたシェリルは
とくに驚いた様子も嫌がる様子も見せず、ただそう答えた。
「まぁ覚悟はしていたんですけど…………。」
「シェリル様なら大丈夫よ。
ご令嬢としての教養も学んできたでしょうし
基本的なマナーも身につけられてるもの。」
その場にいるアイリーンに微笑みながら言われ、
一般的なものだけですけどね、と苦笑いする。
「ではさっそくだが、
3日後より登城してもらえるか?
教育を担当する者もこちらで手配しておいた。」
「………わかりました。」
優しい先生がいいんだけど………
シェリルは自分の教育担当となる人物を想像し
気の合わない人だったらどうしようかと考える。
できれば外交関係とか、歴史に詳しい人がいいな………
もしそうじゃなくても、自分で先生を探そうかなぁなどと
シェリルは頭の中で考えを巡らせていた。
「ところでシェリル様!
このあと少しお時間をいただけないかしら?」
「?………わたしは大丈夫ですが。」
「実は会わせたい者がいるんですの!
向こうもぜひシェリル様にお会いしたいと言って。」
「………リーナ、本当にシェリルに会わせるつもりか?」
アイリーンを愛称の"リーナ"で呼ぶ王太子の顔は、
なんだか少し不安そうな顔をしている。
そんな恐ろしい人物と自分を会わせようとしているのかと、
シェリルもつられて少し不安な気持ちになる。
「リアムがいないところで会わせるのは………。」
「大丈夫ですわ。
もし何かあれば私が説明しますし。」
「いや、何かあったら困るんだが…………。」
「リアム様だってそこまで心の狭い方ではないでしょう?
それにあの者がどこの誰なのか、
リアム様にはちゃんと説明してありますし。」
「………今日シェリルに会わせることは?」
「言ってませんわ。」
「そこが一番問題なんだ………!!」
額を手で覆い、
はぁぁとため息をついたバルドを横目にアイリーンは
「それでは行きましょう、シェリル様。」
そう言って立ち上がるとシェリルの手を引き、
その場から立ち去ったのだった。




