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その鎖、まぼろしです。  作者: クロネコ
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パーティーから一夜が明けた朝、

シェリルは自分を拘束している人物の腕から

なんとか抜け出そうともがいていた。


「お、起きて………リアム様………!!」


自分を腕の中に閉じ込めたまま、

一向に起きる気配を見せないリアムに何度も声をかける。

しかしリアムは小さな声で"んー"と言うだけで、

まったく起きようとはしない。


「もう朝です!早く起きて!仕事に遅刻しますよ!」


………この人、こんなに朝に弱いのか。

閉じ込められた腕の中からリアムを見上げ、

なんとも厄介なその体質にため息をつく。

だがいつまでもこのままでいるわけにもいかない、

シェリルは言葉でダメなら行動で起こすしかないと

体をモソモソと動かし、自分の手をリアムの頬に当てる。


「…………ん。」

「………起きて、リアム様。」


軽く頬を撫でると、リアムはうっすらと目を開ける。

そしてそのまま視線をシェリルに向けると、


「…………ん、………起きた。」


そうつぶやいて、シェリルをぎゅっと抱きしめる。

抱き枕がわりにされているのではないかと思ったが、

このチャンスを逃すわけにはいかない。


「じゃあ早くベットから出ないと………

 リアム様、今日も公務があるんですよね?」

「…………行かない。」

「なにワガママ言ってるんですか………。」


頬に当てられたままのシェリルの手に

リアムはスリスリと頬ずりしながら目を開ける。


「………シェリルは?帰る?」

「………そうですね、屋敷に戻ります。」


昨日の騒ぎのことを、きっと母も気にしているはずだ。

大体のことは父から聞いているだろうが、

直接自分の口から説明しないと

母の機嫌をさらに損ねることになりそうだ。


「………ね、シェリル。………まだ?」

「?」

「さっきから俺待ってるんだけど………。」

「?

 ………なにをですか?」


"待ってる"と言われ、

何か来るのを待っているのかと不思議に思ったシェリルは

小さく首を動かして辺りを確認する。


「もしかして誰か来るんですか?!

 ならなおさら早く起きないと………!」

「…………誰も来ないし、

 シェリル"から"のを待ってるんだけど。

 ………してくれたらちゃんと起きて仕事する。」

「だ、だからなにを………?」


リアムの待っているモノがまったくわからず、

眉間に皺を寄せ悩むシェリルを見下ろしながら


「……………おはようのキスは?」


リアムはそう言って、ねだるように顔を近づけた。





「リアム様がこの時間からいる………?!」

「びっくりですよねー。いつもならまだ寝てるか、

 起こしに行った人が

 ボロボロになって帰ってくる頃なのに。」


リアムの補佐官であるジュードと

補佐官見習いとして勤めているレンが、

いつもならまだいないはずのリアムを見て驚く。


「………しかもなぜ上機嫌なんだ?

 いつもは不機嫌MAXでここに来るのに。」

「………さぁ、なにか良い事があったんじゃないですか。」


………"姉さんと"

その言葉をレンは飲み込んで、

業務に取り掛かるため机に向かったのだった。



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