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「………なんですの?あなた。
今はあなたのような方が口を挟むところでは。」
「いいよ、なに?伝えたいことって。」
「!!
あ、ありがとうございます!」
そう言って頭を下げる男性のそばには
彼と同じ隣国の客人であろう男女が数名立っており、
リアムに向かって同じく頭を下げている。
「さ、先ほどそちらのご令嬢が
シェリル様のことを、そのっ………
何の取り柄もないご令嬢だとおっしゃいましたが
それは間違っていると思います!!
あの方は私たちの国について勉強し、
とても詳しくお話されていましたから。」
「栽培されている農作物のことも、
甘いチョコレート菓子が人気なことも、
我が国で保管されている
絵画のことも知ってらっしゃいました。」
「第二王子の婚約者に選ばれるような方ですから、
本来ならば私どものようなただの客人と
話をされるような方じゃないはずなのに
とても気さくにお話してくださったんです。」
「とっても可愛らしい笑顔で、
身振り手振りで必死に伝えようとする姿は
本当に愛らしかったですわ。」
「………ですからシェリル様は、
そちらのご令嬢がおっしゃられたような
何の取り柄もないただのご令嬢なんかではありません。」
「男性たちを虜にさせるのが上手だと
先ほどおっしゃられていましたけど、
あの可愛らしい容姿なら当然ではないですか?
あの綺麗な翡翠色の瞳で見つめられて、
同じ女性である私ですらドキドキしましたもの!」
矢継ぎ早にシェリルについて語る隣国の者達の言葉を
周りにいる者達も静かに聞き入っていた。
聡明さも、博識の広さも、
社交の場での立ち回りや人への接し方、そして容姿も、
シェリルにはちゃんとすべて備わっているのだと。
「すぐに私たちが否定すべきでした。
………ですが、
私たちはこの国の人間ではありませんし
ましてや婚約という大事なお話のようでしたから、
口を挟んではいけないと思いまして………。」
そう言って隣国の客人たちは
申し訳なさそうにリアムを見つめる。
「………十分、今否定してくれたから。」
「!」
そう言って隣国の客人たちに微笑んだリアムは、
自分の隣で不服そうな顔をしているフィオナに
「………キミは、
隣国で流行ってるチョコレート菓子の名前を知ってる?」
突然そう問いかけた。
シェリルよりも博識ならば答えられるだろう、と。
「きょ、興味ありませんもの!知りませんわ!」
「じゃあ栽培されてる農作物は?
………保管されてる絵画の題名は?」
「っ………!!」
「きっと他のことも、
シェリルは勉強したんじゃないかなぁ?
今日のこのパーティーには
隣国の客人が来ることを知っていたし。
キミも公爵家の人間なら聞いてたんじゃないの?
仮にも俺の婚約者になろうと思ってたなら、
少しは外交に関わることも知っておかないと。」
さっきまでの勢いはどこへ行ったのか、
恥ずかしさから顔を赤くするフィオナを見て、
リアムは呆れたような視線を送る。
「悪いけど、
キミと婚約することは絶対にないよ。死んでも。」
冷たく言い放ち、リアムはその場から離れる。
自分はもうリアムの婚約者ではないと
勘違いしたままのシェリルを迎えに行くために。




