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「それでは、
シェリル殿は我々の国のことを?」
「えぇ、そうなんです!
このパーティーに皆さんが出席されると聞いて
自分なりにいろいろ調べてみたんです。」
リアムと別れ人混みの中に入り込んだシェリルは、
しばらくキョロキョロと辺りを見回していたが、
お目当てを見つけると自分から近づいた。
シェリルが探していたのは父ではなく、
このパーティーに招かれている隣国の客人だ。
隣国からの客人たちは、
胸元に白いバラの形をしたブローチをつけていると
事前に弟のレンから聞いていたシェリルは、
それを目印に隣国の人間を探し出し、見定めた。
男性ばかりのグループに話しかけるのは
万が一リアムにバレた時に
めんどくさい事になりそうだと避け、
男性と女性が数人で集まっているのを見つけると、
「すみません、
隣国からいらっしゃった方々ですか?」
と、声をかけた。
事前に隣国についてシェリルは、
話題のタネになりそうな名物や特産品、
栽培されている農作物の種類のほか、
隣国で保管されている有名な絵画などについて
ある程度勉強しておいた。
そしてそのことについて詳しく教えてくれないか?と
隣国の者に声をかけようと決めていたのだ。
本当は、そこまで隣国のことに興味はない。
だが話しかけるキッカケにするには、
自国のことを教えてもらうのが一番いいと思ったのだ。
「ではその貴重な絵画を見に、
他国からもたくさんの人が来られてるのですね?」
「そうなんです!
うちでしか保管されていないものや、
年に一度しかお披露目されないものもあるんですよ。」
「ぜひシェリル様もお越しください!
ここからなら馬車でもお越しいただけますよ。」
「途中の宿で一泊しないといけませんけど、
そこの料理やサービスも充実していますし。」
「……でもそうなると、
リアム様に許可をいただいて、
通行証を発行してもらわないと………。」
「え?大丈夫なんじゃないですか?」
「通行証は17歳になっていれば、
誰にでも発行されると聞きましたけど。
まぁこちらの国の方か、
我が国のどちらかの者に限り、でしょうけど。」
「!」
「しかも誰か一人がもっていれば、
二人まではその一枚で通行が可能なはずですよ。」
「………そうなんですね。」
つまり、
通行証を持ってる隣国の知人を作れば、
わたしは通行証を持っていなくても隣国に行ける。
もしくは、
自分の国で隣国への通行証を持っている人に頼めば………
「でもシェリル様なら、
この国の王太子の書状さえあれば顔パスでは?」
「それもそうですわね!
シェリル様はリアム殿下の婚約者様ですし。
護衛の方に付き添ってもらえばいいのでは?」
「………その手もアリですね。」
うーんと考え始めるシェリルを
隣国の者たちが不思議そうに見つめる。
まずは手始めに自分の周りの人間から
あたってみようかと思案しているところに、
「まぁ!こんなところにいらしたのね。」
………聞き覚えのある、女性の声がした。




