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「プレイって………
意外と遊び慣れてるの?シェリル。」
「え?」
特に深い意味もなく口から出たその言葉は、
どうやらリアムの何かを刺激したらしい。
………その言葉は最近、
友人であるジネットが貸してくれた恋愛小説の中に
頻繁に出てきていた言葉で、
どうやら無意識のうちに使ってしまったらしい。
ご令嬢たちに大人気だというその小説、
実のところかなり過激な官能小説だったのだ。
「ほかにどんな"プレイ"があるの?」
「へっ?」
「今のは食べさせてあげるプレイでしょ?
やってみたいのがあるなら付き合ってあげるけど
痛いのはシェリルがかわいそうだもんね。」
「………あの、なに言ってる………。」
「それより………
誰とどんなことしたのか教えてくれる?」
「………誰と、って。」
小説の中の女主人公はかなり過激で、
何人もの男性を手玉に取り、お金を貢がせ、
快楽を求めて夜の街に消えていく……そんな感じだった。
なぜこんな内容の小説が巷で大人気なのか
シェリルにはよくわからなかったが、
どうやらその小説に出てくる男たちが全員男前で、
しかも主人公にベタ惚れになってしまうとこがいいらしい。
………でもあんな過激な"プレイ"とやらを
世の中の恋人たちはみんなやっているのだろうか?
それとも出来ないからこそせめて小説の中だけでも!!
と、思っている女性が多かったりするのだろうか。
「………それは、好きな人とじゃないですか?」
わたしは経験ないですし、
この先もすることはないと思いますけど。
むしろアナタの方が経験豊富じゃないですか?
じとーっとした目でリアムを見れば、
ニッコリ微笑んでこちらを見ている。
「じゃあ俺たちは手始めに、縛りプレイからやってみる?」
「なんでですか?!
というか怖いので、そろそろ降ろしてもらえますか?!」
「縛りプレイ、やるなら降ろす。」
「やるわけないです。」
結局シェリルがリアムの膝から降ろされたのは、
二人のことが心配で様子を見にきた王太子が
「おっと、失礼。」と部屋に来てからだった。
「シェリル嬢、
リアムとはうまくやれそうか?」
「なにをですか?婚約者としてですか?
それならやっぱり………!」
わたしには無理です!と宣言しようとした瞬間、
体をグイッと後ろに引っ張られ、倒れそうになる。
誰かに押されたわけでもなく、腕を引かれたわけでもない。
………これは。
ぽすっと自分の背中を受け止めたリアムを
シェリルは力一杯にらみつける。
「なんだ?ずいぶん仲良くなったみたいだな。」
そう言って嬉しそうな表情をする王太子を尻目に、
リアムがシェリルの耳元でささやく。
「………縛りプレイなら、これもその一種だよね。」
「!!」
リアムはクスクス笑って
顔を真っ赤にしたシェリルの頭を撫でたのだった。




