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体調もすっかり良くなり、
動いても体に疲れを感じなくなってきた頃。
シェリルはファルツォーネの屋敷に
ある人物を招待していた。
「顔色もいいし、
体調は落ち着いたみたいね?シェリル。」
「うん、おかげさまで。
喉の痛みも無くなって食事も普通にできるし、
ゆっくり休めたから動き回っても平気になったよ。」
「そう。それなら良かったわ。」
自分の向かいに座り、紅茶を飲んでいるのは、
シェリルの親友であるジネットだ。
自分が倒れたことを、
ずっと心配していると弟のレンからは聞いていた。
リアムの婚約者になってから顔を合わせる機会も減り、
心配までかけてしまったことを申し訳なく思う。
「…………それで?
"お願い"ってなんなの?
私に出来ることなら叶えてあげるわ。」
「!
そう、そのことなんだけど…………!」
療養のため屋敷に帰ることが決まった時、
シェリルは真っ先にジネットの顔を思い浮かべた。
彼女の家は代々続く商人の血筋で、
現在も各国で手広く商売をしている。
それならば、シェリルが飲んだあのお茶のことも、
ジネットの家ならば詳しく調べてもらえるのではないかと
シェリルは踏んだのだ。
アイリーンに聞いても良かったのだが、
変に勘繰られても困るし、あんなことがあったばかりだ。
彼女もあのお茶についてはしばらく触れたくないだろう。
「ちょっと、調べてもらいたいモノがあって。」
「?」
「テリントで流行ってるお茶のことなんだけど。
甘い香りのする、淡いピンク色のお茶のこと。」
「…………"テリント"?
そこって、現王妃の故郷じゃないの?
それにお茶って………まさかそれ。」
「うん………
それを飲んで、わたし大量出血したんだけど。
ただちょっと気になることがあって………
それを飲む前に、なんか違和感みたいのがあったの。
見たことも飲んだこともないはずなんだけど、
自分でもよくわからないんだけど、
苦手意識みたいなものが働いたんだよね…………。」
あの時感じた違和感は、勘違いなんかじゃない。
直感が"飲むな"と言っているような、
体が拒絶しているような感覚。
「アイリーン様は故郷で流行ってるって言ってたんだけど、
わたしはテリントに行ったことはないし。
城の誰かに聞けば詳しく教えてくれるかもしれないけど
あんなことがあったばかりだから、
きっと教えてもらえないと思うんだよね。」
「まぁそうでしょうね。
それにまた変なことに首をツッコむなって
怒られるのが関の山なんじゃないかしら?」
「…………間違いなく。
でもあのお茶のことはどうしても詳しく知りたくて。
だからもし可能ならジネットに調べてもらって、
何か自分がピンとくるものがあれば、と思って。」
「………匂いや色に特徴があるモノみたいだし、
原産国がわかってるなら調べて取り寄せるのは簡単よ。
…………それに。」
「?」
「………ちょうど今テリントに、"アレ"が行ってるわ。」
そう言ってジネットがニヤリと笑うのを、
シェリルは不思議そうな表情で見つめるしかなかった。




