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「……………!!」
パチっと目を開けたシェリルは、
まだ夢の中にいるのかと錯覚を起こす。
周りは暗く、
自分の体が気だるさで重たく、呼吸も少し苦しい。
だがぼんやりと目に映った見慣れた天井が、
ここは現実の世界だということを教えてくれた。
「……………………?」
ふと手に温かさを感じて、視線を天井から下に移すと、
「…………ァム………さま。」
ふわふわのホワイトブロンドが目に映る。
どうやらシェリルの手を握ったまま、
彼は布団に突っ伏して眠っているらしい。
…………心配かけちゃったかな。
外が暗いってことは、倒れてから数時間は経ってるはず。
きっと執務中で忙しかったはずなのに。
夕食、一緒にとろうって約束してたのに。
ごめんね、リアム様。今起きるから…………。
そう思ったものの、
気だるさで体を起こすことは出来そうにない。
それならと、なんとか自分の手に力を込めてみる。
「……………!」
バッと顔を上げ、
目を見開いて自分の姿を確かめるリアムと目が合う。
驚きと、安堵が混じったような、
普段のリアムからは想像できないその表情に、
シェリルは力ない笑みを浮かべる。
…………この人はちゃんと、感情を持ってる。
でもそれを他の人に見せないというのなら、
自分だけが知る"特別"なのだと、少し嬉しくなった。
「…………ごめ、………なさ、い。」
喉に血が流れてしまったせいか、
まだハッキリと言葉を発することは出来ないが、
心配をかけてしまったことをとにかく謝らねばと
途切れ途切れになりながら謝罪の言葉を口にする。
「……………名前。」
「?」
「…………俺の名前、呼んで?………いつもみたいに。」
「…………、
………リアム、さま?」
そう口にした瞬間、
リアムが今にも泣き出しそうな表情を見せる。
「……………リアム、様。」
………泣かないで、そんな顔しないで?
握られた手に力を入れて、
シェリルは少しだけ微笑んでみせる。
「…………あとで一緒に、ご飯食べましょうね………?」
「!…………ん、いいよ?
シェリルの好きな物、なんでも用意してあげる。」
「………ふふっ。………楽しみです。」
ふわっと、再び襲いかかってきた睡魔に、
シェリルは抗うことが出来ずにそっと瞼を閉じる。
顔色も体温も、元に戻りつつある彼女に安堵しながら、
リアムは再び眠りにつこうとしているシェリルの髪を
そっと撫で、ようやく笑みをこぼす。
「…………おやすみ、シェリル。」
そう声をかけると、彼女は静かな寝息をたて始める。
…………ちゃんと生きてる、そばにいる。
…………でももし、
この愛しい子が"いなくなる"ようなことがあれば。
シェリルを見つめる漆黒の瞳に、
なにかを決意したような、淀んだ黒さが宿る。
「…………………………。」
ずっと一緒にいる。
ひとりになんかしない、………なりたくない。
そう心の中でつぶやいて、リアムは口を歪ませた。




