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………足が痛い。
足というか、太腿が痛い。しかも熱い。
陽の光を浴びてキラキラと輝く湖を見ながら、
シェリルは眉間に皺を寄せて痛みに堪える。
いっそこの湖に足を突っ込んだら、
太腿に感じる熱もとれて気持ちいいかも………
そんなことを考えているシェリルの後ろでは、
「…………どうしてこういう時に限って、
ジュード様は同行されてないんだ?」
「………仕方ないだろう、あの方は筆頭補佐官だ。
殿下がご不在の間は
彼が職務を取り仕切らなくてはならんし、
まさかシェリル様がご一緒なのに
あんなに不機嫌になるとは予想していなかった。」
「………何したのかなぁ、殿下。」
と、護衛や付き添いの者たちがヒソヒソと話をしている。
ちなみに噂の本人であるリアムは、
シェリルからすこーし距離を置いて彼女を観察中だ。
「シェリル様ぁ………
そろそろ殿下のこと許してあげたらいかがですか?」
「…………ねぇ。もし自分が。」
「えっ?」
「痛い思いして、恥ずかしい思いまでして頑張ったのに、
それに対して謝罪も労いの言葉もなくても、
………あなたは許せる?」
「え?え?」
「申し訳ないけどわたしは許せないし、
なんなら王室に対して不敬罪で捕まるかもしれない。」
「え?え?何したんですか?捕まるんですか?」
隣にいる侍女たちは
自分がリアムに平手打ちを食らわせたことは知らない。
だがたとえそのせいで不敬罪に問われたとしても、
自分だって怪我をさせられたのだから喧嘩両成敗だ。
なんならこっちのがひどいことをされている。
「………とにかく。
私どもは少し離れた場所におりますから、
リアム様と仲直りなさってください!」
そう言って侍女が用意してくれたサンドイッチを
ずいっと押し付けてくる。
「ちょっ、行かないで………!」
「このままだと、
国に帰ってもリアム様が仕事もせず
ずーっと不機嫌なまま過ごされても困るのです。
………何があったか知りませんが、
きちんと話し合って解決なさってください!」
よろしいですね?と念押しして、
侍女たちは他の者達と共にその場から去っていく。
押し付けられたサンドイッチを胸に、
シェリルは顔をしかめつつその姿を見送る。
「……………………。」
………どうしろって言うの。
わたしから話しかけろと?
さっきチラッとリアム様の方を見たけど、
この世のすべてを恨んでるみたいな目してたんだけど。
気まずくて自分から話しかけられず、
湖を見ながら悩むシェリルに
「……………シェリル。」
「!」
リアムがいつもより少し沈んだ声で、そっと声をかけた。




