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リアムが冷めた目で会議に出席していた頃、
シェリルは図書館でひとり、本読むことに没頭していた。
もちろん、
護衛の者が少し離れた場所に待機しているので
完璧なひとりではないのだが。
シェリルがリアムと共にやってきたこの国は、
鉱山で採れる資源を主な収入源としている。
金や銀などの金属資源、宝石なども採取していると
ここに来る前にヴィー先生との授業で教えてもらった。
それもあってか図書館には、
様々な鉱物の本が数多く並んでいた。
そういえばリアム様も、今日の会議はその鉱物、
特に宝石に関しての輸出量について話し合うと
船の中で少しだけ教えてくれたっけ。
"………シェリルも欲しい?宝石。"
そうリアムに聞かれたが、
残念ながらシェリルは宝石に興味はない。
いろんな色に輝くその様は綺麗だとは思うが、
自分を飾るアクセサリーとして欲しいと思ったことはない。
………いろんな色。
………あのステンドグラスのように。
あの夜、
聖堂のステンドグラスは月の光に照らされて、
神秘的な光景をその場に作り出していた。
その光景を、似たような場面を、
シェリルは自分も見たことがあるような気がした。
あの夢のせいだろうか?
夢の中で、月の光の下で祈りを捧げていた彼女は、
自分が受け継いだという囚われの彼女に違いない。
ほかに愛する人がいたのに、
その人ではない人間に捕らわれ、鎖で繋がれた女性。
彼女がステンドグラスの下で永遠を誓い合ったのは
自分を鎖でつないだ男ではない。
………もしその彼も、この現代にいるのだとすれば。
きっとその人物こそがゼインなのだろう。
だって彼は言ったから。
………自分こそが"運命の人"だと。
あの日から、
シェリルはゼインのことを考える日が増えていた。
リアムに抱きしめられながら、
本当はこの人じゃなくて、
彼に抱きしめられていたのかもしれないと。
自分の髪を撫でるのも、頬に触れるのも、
本当はこの人じゃなくて…………。
そんな考えは一瞬で消えてしまうのだが、
顔に出やすい自分のことだ、リアムは気づいているだろう。
だがそのことをリアムは指摘してこない。そのかわりに、
自分に触れる度に彼は、黒い闇を瞳に宿すようになった。
………わたしはリアム様のことが好きだ。
直接口に出して伝えたことはないが、
そばにいたいと思うのは彼だけだし、
触れられると安心することが増えたのも事実だ。
………だからあの感情は、彼女がそう"思わせている"のだ。
読んでいた本を静かに閉じて、シェリルは考える。
このことはリアムに伝えるべきだろう。
だからあんなに甘やかしてくれなくても大丈夫だと。
………ちゃんとそばにいると。
そう決意してシェリルは、
近くにいた護衛に図書館を出ることを伝える。
きっと大丈夫。わたしはわたしだ。
捕らわれの彼女の感情ではなく、
ちゃんと自分の感情を彼に伝えればいいだけだ。
そう決意したシェリルは気づいていない。
囚われの彼女は、………自分でもあることを。




