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パーティーを追い出されたのでしばらく冒険はお休み  作者: 散散満
伝令人、鉱山へ

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92:魔女同道

2026/09/21 誤変換修正

「そろそろ次のアマバね。ちょっと大きい村だから食事も楽しみね、お兄ちゃん」


 魔法学校のあるヤダイを出発し南回り街道を進んで5日目、ウジョウの村を出たあたりでコーリーが左腕に絡みながら話しかけてくる。いつものように面倒ごとを避けるための兄妹設定を人目のないところでも適用してくるのは長期間になるとけっこう疲れてくる。


「辺境街道と交わっている場所だからな。人通りも多いし物の通過も多いからいい店になりやすいんだ」


 アマバは大きいと言っても農業主体の村ではあるが、中心部に食堂兼宿屋が数軒あるというのは村としてはかなり大きいと言えるだろう。そして競争があるとレベルは上がっていくというのは常道だ。


「このあたりだと野菜の料理が多いのよね。どんな料理があるのかしら」


「今の時期だと芋をメインにした煮込みらしいぞ。なんでも二軒の店がこちらこそが本道だと具材や味付けの違いで争っているとか」


 このへんは前回ここを通ったときに聞いていた情報だ。学校へ通い魔法を習う合間にも伝令人(メッセンジャー)の仕事をしていたので数週間前にも立ち寄っている。どうやら住人たちも巻き込んで派閥ができる争いになっているようだが、娯楽の少ない農村での祭り的な一面もあるのだろう。


「そういうことならどっちも食べていきたいわよね。ここで二泊していく?」


「行きと帰りで別の宿にすればいいだろう」


 そんな話をしながらしばらく歩いているとアマバに到着する。村とはいえど街道沿いの宿場でもあり村を囲う板塀も立っていて門があるが門番はいない。多くの村がそうであるように日没には当番が門を閉め、夜明けにまた開けるのだろう。


「じゃあまずは冒険者ギルドに顔出していくぞ。一応は仕事中だからな」


「うん、そちらは任せたわ。それじゃわたしは宿を取っておくから」


 コーリーはヒラヒラと手を振りつつ離れていき、俺は冒険者ギルドに向かう。村ではよくあるようにここも役場と兼用であり、ギルド職員も村の役人と兼任だ。


「こんちわー。臨時便の伝令人です。ドウチまで行くけど何かついではありますか」


 今回のドワーフの里行きは、名目上はコーリーが伝令人の俺にドワーフの里まで手紙を送る臨時便ということになっている。当初の約束では俺が魔法を習うことについて便宜を図るというだけであって研究のためドワーフの里までというのは契約外なのだ。


「ああ、依頼の便はないけどウチの本部行き定期便の担当が体調崩しててね。隣りのウオンで代理で持って行ってくれるよう頼んでくれるかい」


 村の役人兼ギルド職員がそう言いながら連絡板を出す。どうやらギルド間の定期連絡以外の荷物はないようだ。


「わかった。預かっておこう」


 俺はそう言って連絡板を受け取る。なおギルド間の公式連絡は便乗するなら無償となるので俺の儲けにはならないが、こう言う仕事を請けるのは伝令人としての優遇を受ける条件でもある。連絡板を仕舞い込んだ俺が建物から出ると扉の外にはすでにコーリーが待っていた。


「お兄ちゃんお疲れさま。ちょっと時間かかってたわね」


「ついでの仕事が入ったから軽く引き継ぎをな。じゃあ宿で飯食って休むか」


「うん、お兄ちゃんと二人部屋だけどいいよね」


 まあそのぐらいは想定内だ。


「ああ、じゃあ飯くって休むか」


 その日の夕食は芋を中心に根菜と薬味系の葉野菜、芋の加工品と牛肉を甘辛い汁で煮たシンプルな料理だった。なお二人部屋でも大きな寝台一つの部屋であったのは想定外であった。


◆――◆――◆


「あなたが外に出てくるなんて珍しいですね。いいかげん引きこもるのにも飽きたんですか?」


 アマバを出て南回り街道からオコナの山道に入って4日、ウトクの村にはコーリーを知る人物がいた。いや、人(ヒューマン)ではなくエルフだったが。


「飽きたわけじゃないけどちょっと興味深いことがあってね。ハロルドがいたらちょっと武器作ってもらおうかと思って。ベレニスはあいつが元気にしてるか知ってるかしら」


 コーリーは村長夫人のベレニスの古い知り合いだったようだ。確かに長命のエルフだったら老化抑制魔法を使っているコーリーの古い知り合いだとしても不思議ではない。


「ハロルド……また懐かしい名前ね。そうね、もうずっと会ってはいないけど元気だったって話は伝わってきてるわよ。ドウチに行く人はだいたい行き帰りにここも通るから噂は入ってくるし」


 ベレニスはそう言いながら俺の方をちらりと見た。確かに俺も以前にここを通ってドウチに行った時は往復ともここで宿を取り、情報を欲しがっている村長と会食したりしている。俺はハロルドという名に心当たりはないが商人たちも出入りしているそうだしドウチの情報もそこそこ入っているのだろう。


「そうなんだ。あいつまだ腕は鈍っていないでしょうね」


「それは大丈夫よ。最近もあいつが打ったって武器が出てきてたし。ちょっと見せてもらったけどいい出来だったわよ」


「ならいいんだけど。で、あいつはどうしてるかはわかる?」


 コーリーに問いかけられたベレニスはちょっと遠くを見て考える。


「あいつはそうねえ……うん、実際に会って見るのが早いと思うわよ。あなたたちならたぶん出会えると思うから」


 ベレニスはそう言うとちょっと間を置いて続けた。


「……その方が面白そうだし」

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