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パーティーを追い出されたのでしばらく冒険はお休み  作者: 散散満
伝令人、田舎へ

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76/82

75:情勢不穏

2026/04/19 脱字修正

「なんだか嫌な気配が増えてるな」


 オクシから王都への帰路、いつものように薄く遠くまで飛ばした『気配感知』に街道脇に潜んだ人間らしい存在が何度も引っかかってくる。


「地方へいくほどに治安は悪くなるが、それにしてもちょっと多くないか?」


 まあ単独行(ソロ)伝令人(メッセンジャー)は貴重品は扱わないしギルドの優遇制度のお陰で当人の手持ちも少なく襲っても旨味が少ないというのは知られているので賊にしても見逃すほうが多いし、実際ここまでもある程度近づいて伝令人の目印である腕のバンダナが確認できる程度まで来たら離れていく奴らがほとんどだったし、ちょっとしつこい奴らもわざとらしくそちらを見てやると立ち去っていった。そんな雰囲気は南回り街道と交差するアマバの手前まで続いていた。


「一度拠点(オトヤ)へ寄っていこうかな。オクシの土産も渡しておきたいし」


 街道の交差点であるアマバに着いて経路をちょっと検討する。オクシで土産は貴族の別邸が多いからか少々高級な感じの果物が多かったので干し果物(ドライフルーツ)を何種類か購入している。3日分ほど遠回りになるがもともと日程的には予備日も数日含めて設定してあり、往路では休日を入れなかったし復路もここアマバまで急ぎ目に通過しているので余裕は十分だ。俺は南回り街道へと進路を変えた。


◆ーー◆ーー◆


一月(ひとつき)もほっとくなんてどういうことよ」


 土産物を持ってオトヤの冒険者ギルドに顔を出すと腐れ縁のウーラに詰め寄られた。


「毎度言ってるが別に付き合ってるわけじゃないぞ。それに今日は土産を置きに来ただけでまだ仕事の途中だからな。明日の朝には王都へ向けて出発するぞ」


「えー、ゆっくりしていけないのー。ねぇ、王都行きの仕事って入ってない?」


 俺の言葉を聞いたウーラが伝令人代表のダンに尋ねる。


「急ぎの仕事は入ってないが定期便から一個出してやる。一緒に行ってこい」


 なんか余計な気を回されたが面倒を押し付けられた気もする。


「まあ仕事なら仕方ない。あと馬を借りられないか。こっちに回り道したから少し時間を縮めたい」


「ああ、一頭なら空いてるが、どうする?」


 少々悩んだが結局馬を借りてウーラを後ろに乗せて王都セイア地区まで到着したのはオクシを出てから15日後であった。今回の依頼は返信を直接届けるのではなくギルドに預ければ終了となるので支部に出向き、先にウーラが単発仕事の報告を済ませたあとで俺が受付で手続きを始める。


「はい、カルム・カールトン様からの返信確かにお預かりしました。こちらが依頼完了の報酬になります」


 受付嬢から報酬を受け取って金額を確認していると隣のカウンターで依頼手続きをしていた使用人風の年配の男性が話しかけてきた。


「失礼、今『カルム・カールトン』と聞こえたがオクシのカルム・カールトンで間違いないかね?」


 俺が言葉に詰まると受付嬢の方からフォローしてきた。


「フェリックス様、ちょうどいいところにいらっしゃいました。たしかに今お受け取りしたのがカルム・カールトン様からの返信になります。いつものようにお屋敷にお届けもできますが、今お持ち帰りになりますか?」


「ああ、受け取っていこう。それで君が返信を持ってきてくれた伝令人だね。向こうの様子はどうだったかな。道中に危険などなかったかな」


「そうですね、ちょっと治安が悪くなってた感じはありましたがおおむね問題なかったと思います」


「なるほど。ところで今ちょうど次の連絡を依頼したところだが、君が受けてくれないかな。報酬は少し安いが今回は返信不要だ。条件は悪くないだろう」


 金額を確認するとたしかに相場よりは多少高めだ。


「わかりました。そういうことなんでその依頼は俺が受けて構わないかな」


 フェリックスに返事をしてから受付嬢に確認する。


「あ、はい。いまは長距離対応できる方が他にいらっしゃらないのでチャックさんが受けていただけるならありがたいです」


「では決まりだな。よろしく頼むよ」


 フェリックスはそう言って返信を受け取って去っていき、俺はまたオクシを目指して出発した。


◆ーー◆ーー◆


「そういうことならそのまま馬に乗っていくか? あっちで二、三日ゆっくりしてくるかと思ったんで予定は空いてるぞ」


 オトヤで馬を返そうとしたらダンが提案してくれた。


「ちょいと物騒な雰囲気があったからな。ウーラを貸してくれたら途中のアマバでウーラに馬で帰ってもらってそこから徒歩にしようかと思うが」


「うん、まあいいだろう。ウーラにもまた適当な仕事振ってやる」


◆ーー◆ーー◆


「じゃああたしは帰るけど浮気するんじゃないわよ」


 アマバでウーラと別れたあとのオクシまではさらに隠れている人間の雰囲気を感じるようになった。特にオクシ手前にはかなりの人数が潜んでいるが不思議とこちらには寄ってこない。


「確かにお受け取りしました。早かったですね」


 カールトン家別邸の住込み侍女のジゼルに今回の手紙を渡す。


「では今回は返信不要ということでしたので」


 そう言って去ろうとしたところジゼルに引き止められた。


「あの、よろしかったら仕事の相談に乗っていただけませんか。今回の手紙はおそらく本家からの呼び出しです。一年ほど前から当主のダーネル様の健康状態が良くないということで密に連絡を取っていましたがいよいよ相続問題の話し合いが必要になったのでしょう。カルム様も直接出向かねばならないのですがこちらには護衛を頼める人材が不足していまして。チャックさんはそれなりに腕が立つとおっしゃられてましたよね。お願いできませんか」


 たしかに前回来たときにそんな話をしていた。


「まあ自分も帰り道になるし構わないですが、仕事としてなら一応ギルドを通してください。書類の雛形はありますので明日にでもギルドで正式に依頼していただければ」

「チャックってば一緒に住んでるのに冷たいんだから」


「マユにサラたちのパーティーと一緒に借りた共同住宅だろうが。あいつらが探索に出てること多いから俺達がつかってる割合が多いだけで」


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