第15節『パーティー開始』
どうも、もんたです。
お待たせしました。
それでは、どうぞ。
部屋へやってきた使用人さんに案内されたのは執務室だった。
こんな時に仕事を?と思ったけど、どうやらシャンドラさんたちは全員執務室にいるらしい。
かあさんのようなお客さんが来たときは応接室を使うべきなんだけど、今回は早めに着いてしまった爵位の比較的高い貴族の待合室として使っているみたい。
まだまだ寒い時期だし、会場になるホールは広いせいで暖房効きにくく肌寒い。
「失礼いたします。オルガ様、マルク様をお連れしました。」
「ありがとう。通してくれ。」
中に入るといつもの軽い服装とは違い、いかにも貴族といったシャンドラさんたちがいた。
三人とも僕とは真逆の白を基調とした服で、控えめに銀糸や金糸でできた刺繍が手の込んだものだと教えてくれる。
そしてその三人の横に僕とほぼ同じデザインの深紺のロングコートを着てのんびりと白い髭を撫でている人が一人。
「なんでじいちゃんが…?」
「ほっほっほ!その驚いた顔も数年ぶりじゃのぉ。ほれシャン坊、言った通りじゃったろう。」
「えぇ。この前と今日と驚いてもらいましたがこれほどではありませんでしたね。マルク君、黙っていて悪かった。詳しい話は後だ、さぁ座って。オルガ様もどうぞ。セバス、二人にお茶を。」
「かしこまりました。」
「それではお言葉に甘えて。」
「え?びっくりしてるの僕だけ?母さん知ってたの?」
「えぇ。だって一緒に来たもの。それにこのことを知ってたのはシャンドラ様と私たちだけだから屋敷の皆さんも驚きだったはずよ。」
母さんすごくうれしそうな笑い顔ですね…?
考えのまとまらない頭のまま母さんについて席に座る。
丸いテーブルにはシャンドラさん、マリアンヌさん、ソラリアさんの順で座っていて僕はソラリアさんの隣。
母さんは座って少し話していたけど、衣装の準備が出来たとかですぐ出て行ってしまった。
じいちゃんはそのままの格好で出るそうだ。
王様の前にも今日の格好で出たとか言ってるしきっと大丈夫なんだろう。
シャンドラさんもマリアンヌさんもじいちゃんを質問攻めしているけど、話の内容が政治とかの話で全然わかんない。
邪魔しないように静かにお茶を飲んでいると横からつんつんと袖を引っ張られた。
「ね、ねぇ、マルク。」
「ん?どうしたの?」
「ドレス…似合ってるかしら…?」
「も、勿論だよ。じいちゃんがいたのにびっくりしてなんにも言えなかったけど、とっても、その、綺麗だなって思ったんだ。」
「えへへ…。嬉しいわ、ありがとう。マルクもとっても似合ってるわ。ドラコニア様とお揃い…なのかしら?」
「そう?普段こんなにいい服を着ないから大丈夫か不安だよ。そうそう!僕もさっき見てそういえばこれじいちゃんのコートに似てたんだなって思ったんだ。この服を依頼したのは母さんだから二人で話して決めたのかも。マリーさんは大丈夫なの?そろそろ出産だって聞いたけど…」
「そうだったのね。ドラコニア様が現れた時はびっくりしたけど、マルクのおじい様だって聞いてもっとびっくりしたわ!お母様は今日は顔見せだけですぐにお部屋に戻るって。だから私が代わりに頑張らなくちゃ。」
ぐっと気合を入れるようにこぶしをつくる様子が可愛くてついクスリと笑ってしまった。
僕が笑ったのがお気に召さなかったのか頬を膨らましてご機嫌ナナメだ。
なんとか挽回しようと話してるとふと視界の端にあの日の夜のようにニヤニヤとしたシャンドラさんが目に映った。
「…どうしてそんなにじっと見てるんですか、シャンドラさん。」
「いや、なに。恋人のご機嫌取りをする様子が初々しくてついね。それに沢山かまってもらえて嬉しい顔を我慢している娘の様子も。ね、マリー。」
「もっとぐいぐい行くのよマルク君!ソラリアは押せば通るわ!」
「も、もう!!!お父様もお母様もやめてください!!そんなんじゃありません!」
「あら?二人は恋人じゃないっていうの?マルク君はこんなにソラリアのことを大切にしてくれてるっていうのに…」
「ちがっ!?マ、マルク、違うのよ!あなたのことは私も大切に思ってるし、それに、こっ、恋人だって思ってるもの!!ほんとよ!?ほんとなんだから!」
慌てて立ち上がって弁明してくれるのは良いけど、それはマリーさんの思うつぼで…
さっきよりもにやけ顔が強くなってもう笑うのを我慢してるくらいだ。
これにソラリアが気づいたらもっと騒いじゃうだろうから言わないでおこう。
「わ、わかってるよ。大丈夫だから落ち着いて。せっかくのドレスに皺がついちゃうよ。」
「そっ、そうね。ごめんなさい。きちんとしておかなくちゃ。お、お母様も変なこと言わないでください!」
「うふふふ。ごちそ――んんっ。ごめんねソラリア。ママ嬉しくって!」
「も、もうその手には乗りません!」
「あら残念。ねぇあなた、ソラリアがまた一歩大人になっちゃったわ。」
「良いことじゃないか。僕の目には逆にマリーが子どもっぽくなってる気がするけどね。まぁ家族仲良いのは一番いいことさ。そうだろう?マルク君。」
「え?あ、はい。そうだと思います。」
「他人事みたいないい方だけど、君だってソラリアと恋人である時点で家族のようなものさ。これからもよろしく頼むよ。」
「もちろんです!頑張ります!」
「いい返事だ。セバス、そろそろ時間かな?」
「はい。ご準備よろしければ会場へ向かいたく。」
いつの間にかシャンドラさんの後ろに控えていたセバスさんが静かに答える。
…え?
ほんとにいつ入ってきたんだろう。
僕らにお茶を入れた後、かあさんと一緒に部屋を出たはずなのに。
ドアの音もそうだしそもそも全く人の気配すらしなかったんだけど。
母さんはまだ着替え中らしいので後から参加するじいちゃんと一緒に執務室でまだ待機らしい。
麻や綿で出来たシンプルな服装しか見たことないけど、どんな感じになるんだろう。
セバスさんとメイドさんに連れられてシャンドラさんたちと一緒に屋敷の横に併設されてる会場へ向かう。
パーティーやイベント専用に建てられた建物は二階建てのワンフロア吹き抜けと脇に小部屋がいくつかあるだけのシンプルな構造だけど、柱の一本一本に細やかな彫刻があったり豪華な照明がついてたりと領主がパーティーを開くのに十分。
僕が街に来てから何度か使ってるけど結構な人数が入るんだよね。
今日は結局60人ほどが参加してるみたいだけど、半年前のソラリアの入学祝いパーティーの時は150人いかないくらいが入ってたはずだ。
「問題なければそのまま入りますが、よろしいでしょうか?」
「うん。みんなは大丈夫かな?…よし。いこうか。」
「かしこまりました。扉を。」
「――フリオニール領領主、フリオニール・シャンドラ侯爵様とそのご家族様がご到着となります!皆様正面扉にご注目くださいませ!!」
お読みいただきありがとうございました。
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世間はコロナコロナと大騒ぎですね…
みなさん体調は大丈夫ですか?
自分が感染元にならないよう、また人からもらわないようにご注意を。
家でまったり小説を読んでいましょう。
それと、ニュースでも話題になりましたが、
志村けんさんがコロナウイルスに感染後、肺炎でお亡くなりになりました。
僕は世代の関係上、生でドリフターズを見たことは有りませんでしたが、
それでも様々なテレビで拝見していました…
ご冥福をお祈り申し上げます。




