わき道ーその10-3
どうも、もんたです。
今回の小話はこちらで最後。次回以降本編です。
それでは、どうぞ。
それからさらに二日ほど。
ドラコニア様の容態も良くなり1人で歩けるようになった。
一見、問題ないように見えるものの怪我をする前と圧倒的に変わる点が一つ…
「ドラコニア様、具合はいかがですか?」
「うむ。薬と食事のおかげでずいぶんよくなった。通常通り暮らす分には問題なかろう。」
「そうですか。何かお身体の具合で気になることはありませんか?」
「ん?そうじゃのう…。強いて言うなら左腕が少し動かしづらいと思うことがあるかの。」
「一番ひどい怪我をされていましたから…。他には何かございますか?」
「それくらいじゃな。…魔力が回復しきっていないのは自分でわかるし、こちらも時間が経てば勝手に回復するじゃろ。」
「やはり、そうですか…」
「こればかりは仕方がない。」
「えぇ…」
「「…」」
ドラコニア様はふぅと息を吐くとテーブルに出しておいたお茶を口に含み軽く身じろぎをした。
「今回の件じゃが、龍が関わっておる。」
「龍が…?それはまた新たな龍ということでしょうか。」
「いや、そうではない。わしの中の龍じゃ。」
「聖龍様、ですか。」
「うむ。…半年ほど前じゃったか。マルクが街にでてすぐ位に起きた事件があったじゃろ。」
「!なるほど…」
「あれは正直わしの失態じゃった。あの影響を考えずに竜の魔法を教えてしまった。その尻ぬぐいをした結果、といったところか。」
「尻ぬぐい…?」
私が良くわからずに首を傾げていると、ドラコニア様は苦笑いをしながら話をつづけた。
「簡単じゃよ。ヤツを呼び出してお仕置きしたんじゃ。…手痛い反撃をくらったが。わしも流石に歳じゃの。」
「手痛いどころではありませんでしたよ…。というか、龍と戦われたということですか?」
「そうじゃ。色々と安全策はとっておったのが功を奏したのう。」
「はぁ…。ちなみにお伺いしても?」
「たいしたことではないぞ?召喚魔法で上位精霊を呼び出し、眷属を呼び出し、物量をかけた。元々ヤツもずっと封印状態だったこともあって弱ってはおったしのう。」
「いつの間に封印を?」
「祠の封を取って身体に宿らせた後、山籠もりをしていた時にな。実はあの時も戦ってはおったが、強力な助っ人がおったのでな。今回の方がよっぽど苦労したわい。」
「その助っ人とやらのことは聞かないほうがよさそうですね…」
「いや、特に内緒にしているわけではない。昔街に住んでいた時にちょくちょく遊びに来る赤髪の婆がおったじゃろ?」
「ふふふ、またそうやって。毎度毎度怒られていたではありませんか。」
「ピチピチの乙女だ!じゃったか?何を言っておるのかさっぱりじゃ。わしと大きく歳は変わらんぞ?」
「女性は色々と複雑なのです。人だろうとそうでなかろうと。…ですがあの方はそんなにも腕利きのかただったのですか?街に住んでいた数年の間に何度かお会いしましたが。」
「腕利きも何も、あの婆は龍じゃ。」
「…は?」
おもわぬ発言に思わずカップを落としてしまった。
…お掃除中のイズマがキャッチしてくれたおかげでカップは無事だったが、綺麗な緑色の身体に紅茶が混じってなんとも言えない色になってしまった。
イズマ自身は美味しいと言いながら身体を揺らしているけれど。
カップをテーブルに戻すといたずらが成功したと言いたげにドラコニア様はにこにことしていた。
「ドラコニア様のように元は人間で、龍の力を取り込んだのではなく…?」
「そう。あの婆はあんななりで数百年は生きた龍じゃ。【竜の尾根】の北端、いわゆる背骨と呼ばれる先を棲み処としている赫龍≪グランテオ≫それがヤツの正式な名。人として過ごすときは名前をコロコロ変えとるせいでよくわからん。」
「そうでしたね…。初めはエレン、次に会った時はミレーヌ、でしたか?あの頃は人に興味がなかったので全く気にしていませんでした。そういう人間もいるのだなぁ、としか…」
「あの後からじゃったかのう。お主が人の街で暮らすのに抵抗がなくなったのは。…まぁそれは良い。今回もグランテオを呼べばもっと楽ではあったが、あくまでこれはわしとマルクの問題じゃからの。流石に家の問題によそ様は巻き込めん。」
「そうですね。…結果はどうなったのです?」
「ダメだったらわしはここにおらんぞ。…冗談じゃそんな悲しい顔をせんでくれ。エンペルは今またわしの体内で眠っておる。魔力量が落ちているのは龍の魔力が目減りしてることも理由の一つ。こやつが起きれば元に戻る。何より、此度の暴走はわしのせいというのもあってな…」
「ドラコニア様が、ですか?」
「うむ。」
ドラコニア様は少々伸びすぎたあごひげをさすりながらカップのお茶を飲み干した。
お代わりを注ぐと、広がる匂いに口元を緩ませる。
「本来、龍種というのは穏やかなことが多いが、もちろん例外はある。聖龍もそうじゃ。聖属性を司る聖龍は癒すという力が最も強いが、次に強いのは制する、正すという力じゃった。これはわしの身体に馴染んでやっとわかったことではある。マルクの事件で働いたのはこちらの方だったというわけじゃ。悪を正す、といったところか。本来であれば宿主であるわしが適度に解消する必要があったがここ数十年は良くも悪くも落ち着いた暮らしをしておった。その間に溜まった欲がマルクの感情に引き寄せられた。マルクも一部とはいえ竜の魔法が使えることも合わさって暴走したというのが推論じゃ。」
「なるほど…。今後も起きうるのでしょうか。」
「可能性はないとは言えんが、ほぼないじゃろう。今回わしの説教で随分と力を使っておる。それだけで当分もつのに合わせて、こまめに魔物を倒すなり海に撃ち込むなりして発散させていけばいい話じゃ。ただのぉ…」
「何か難しいことが?」
「難しい、というよりも読めないというのが正しい。感情の高ぶりに関してはわしが制御出来ることではないのでな。」
「あぁ…。そればかりはどうしようもありませんね。人間は我々のように長命な種族と違って喜怒哀楽が激しく出ます。それがうらやましく思うこともありますが、今回はその特徴が裏目に出る、ということですか。」
「その通り。マルク自体は落ち着いた子じゃし、大きな問題がなければ大丈夫だとは思うが…。今回の件と今後の危険性も含めて一度ゆっくり話す必要があるじゃろう。」
「その際はシャンドラ様もご一緒いただいた方が良いのではないでしょうか。」
「む?」
「今マルクはシャンドラ様にお世話になっています。これからどういう生き方をするかは分かりませんが、現状味方と言える人物を増やしておくことも良いのではないでしょうか。」
「確かにの…。アレの息子ならば問題なかろうな。事実、前回の件もうまく収めたようじゃし?」
フンと鼻息を鳴らしたのは気にくわないところがあったからでしょう。
マルクの一件に合わせて掃除をしたと言ってましたし。
ドラコニア様からしたら、かわいい孫であり弟子がいいように使われたように見えたのでしょうね。
…そう考えると確かに面白くないかしら。
「そういう、色々なことを利用していく強かさが人間には必要だとも仰ってましたよ。」
「誰がじゃ?」
「…ドラコニア様ですよ。」
「…わし?」
「はい。」
「…そうか。」
シャンドラより年越しのパーティーへの招待状を受け取るのはこの少し後のお話…
お読みいただきありがとうございます。
次回、驚きの展開に…!!??
(と銘打っておけばきっとPVがのびる)
などとふざけておきます(;・∀・)
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