第10節『やりがい』
どうも、もんたです。
おまたせしました。
それではどうぞ!
「効き目…ですか?」
効き目って言われても普通に売られてる回復薬と変わらないしな…
答え方に困っていると、シャンドラさんが助けてくれた。
「この場合は品質と聞いた方がいいかな?品質が良ければ効き目も良いし。」
「それなら。えっと、回復薬と強壮薬は1回で10本作れるとしたら半分くらいは高品質なものが精製できるようになりました。風邪薬とか解熱用の薬はあんまり品質にこだわってないので分からないですけど、悪くはないと思います。」
「そうなの?マルク君ならどんどん品質を良くしていそうだけれど…ねぇ、あなた?」
「僕もそう思うね。通常の薬は難しいのかい?」
「そんなことないです。甕を使ったり魔法を使ったりして調合するよりも磨り潰したり煮出したりすることが多いので、魔法薬よりも作り方は簡単です。簡単なぶん当然品質も上げやすいですけど、通常の薬は品質を上げすぎると効果が強くなりすぎたりして逆に体に毒だと母さんから教わったので…」
「なるほど。言われてみればそうだね。」
「はい。効き目が良すぎるといけないというのは納得の理由でございます。言ってしまえば抑えて通常の品質で作成しているというのもすごい話ですが。」
「確かに。…どうだろうセバス。話を聞いた限りだと問題ないように思うよ。」
「私もです。まぁ、強いて言うのであれば急な話ではあるので既存の仕入れ先からクレームが来るかもしれませんが…」
「それはそうだね。でも極端な話、命にかかわる問題だ。少しでもいいものを用意しておきたいというのは当然の気持ちだろうから納得してもらうしかないね。さて。」
シャンドラさんは満足そうに頷くと僕の顔をまじまじとみた。
僕は何の話をしてるのかイマイチわかってないんだけど…?
「少し話が散らばってしまったけれど、結論を言おう。今当家で緊急時用に備えている薬がある。これは王都に本店をもつとある商会を経由して薬師から購入しているんだけど、これをマルク君が作った薬に少しずつ変えていきたいってことなんだ。薬師として高名な人物ではあるんだけど、正直マルク君の方が身近だし信頼できるし、良ければお願いしたいんだがどうだろうか。」
「ええ!?それって、シャンドラさんたちが使う薬を僕が作るってことですよね?」
「そうだね。僕はもちろん、マリーもソラリアも使うし、場合によってはセバス達含む使用人も使う。それに領内で病気が広がったり戦争なんかで怪我人がたくさん出たときなんかも使うことになるだろう。」
「うわ…」
「ふふふ。なんだか困った顔だね。」
楽しそうに笑うシャンドラさんの隣で、マリアンヌさんが呆れた様子で大きくため息をついた。
「あなた、今の言い方だとマルク君びっくりしちゃうわよ。」
「ん?そうかな?わかりやすく伝えたつもりだったんだけど…」
「配慮が足りないわ。ねぇ、マルク君。」
「は、はい。」
マリアンヌさんは姿勢をただしてにっこりとほほ笑む。
「まぁ、とはいってもどう言い換えても荷が重いと感じるのは変わらない気もするのよね。」
「えっ…」
「そりゃそうよね?知ってる人とはいっても相手は仮にも領主だし、その人が使うかもしれない薬を作ってって言われたらびっくりするし僕で大丈夫かなって思うわよね?」
「は、はい。」
マリーさんの横で「仮じゃなくてちゃんと領主だよ~。」とシャンドラさんがつぶやく。
マリーさんはチラリとも目を向けず話をつづけた。
「でも、こうも考えられないかしら。この提案によってマルク君の作る薬がもっと多くの人を癒すことに繋がるってことよ!」
「もっと多くの人…?」
「そう。屋敷にいる人間はもちろんマルク君のお薬にお世話になることになると思うわ。わたしも出産迫っているし、きっとマルク君の薬を使うことになるわね。それにさっきこの人が言ったように領民も使うことになるでしょう。戦争なんてそう簡単には起きないけど、魔物とか盗賊とかに襲われてしまって怪我人が出ることはたまにあるわ。小さい傷なら訓練なんかですぐ出来ちゃうからなおさらね。うちで使う薬をマルク君のものにすればそういう人たちはみんなマルク君の薬を使うことになるの。」
「僕の薬を。」
「そう。マルク君の薬でお年寄りが元気に歩けるようになったり、子どもたちが病気から治ったり。兵士たちは怪我を治してまた訓練して、領民たちを守ってくれるわ。マルク君が作った薬がみんなを支えて、助けてくれるの。そう考えたら頑張ろう!ってならないかしら?」
「なります!」
「そうよねそうよね!そのうちマルク君の噂も広がるわ。そしたら街で薬屋さんを開いてもいいんじゃないかしら。もっともお店をやるかどうかはマルク君がやりたければって話だから無理強いはしないわよ?」
「いいんですか!?僕、学園を卒業したら自分のお店をやりたいって思ってたんです!」
「それならなおさらね!でも学園に通いながらでもいいんじゃないかしら?」
「え?でも授業が…」
「マルク君ってどうなの?あなた。」
「え?言わないとダメ?この流れで?」
「言わなきゃわからないわ。」
「それもそうなんだけどね……。一応、学園からの評価はとっても良いよ。元々受けるはずだったコースはもう合格だって言われちゃってるし。ソラリアの従者として付き添ってもらっているのが今の状況だもんな…」
思っていたより悩んでるようでシャンドラさんも黙り込んでしまった。
マリアンヌさんは横でお店をやってもらおう!とずっと語りかけている。
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