第6節『つかの間の帰省』
どうも、もんたです。
ほんわか回。
「お金?いらないわよ。」
「そうはいっても…。一応ちゃんとした依頼だし。」
「ん~。でも、マルクもわかってるでしょう?ここじゃお金使わないもの。」
「そうだけどさ。ほら、たまにくる行商の人は…物々交換か。」
「ええ。勿論お金も払ったりするけど、彼らはどちらかと言えば私たちの薬か毛皮とか爪の素材とかが欲しいみたいだしね。」
「その割には地下の貯蔵庫あんまり減ってないような…」
かあさんは小さく息を吐くと足元のグリムにちらっと目を向けた。
きちんと清潔化の魔法をかけたので一緒にいれるようになったらしい。
綺麗になったかどうかはアドラーがチェックするんだって。
「そりゃ、グランたちが毎日狩りに行ってくるんだもの。ごはんだから当然と言えば当然なんだけど。野鳥とか素材の取れない魔物ならいいのよ。たまに私の分も獲ってきてくれるくらいだし。。でも流石にバサラベアやらブレイドディアやら持ってこられるとね…。素材が溜まるばっかり。」
「あー…三匹だったのに今はもう大所帯だもんね。」
「その分寂しくなくて済むからいいのだけれど。あとはマルクがこまめに帰ってきてくれれば。手紙位よこしなさいな。」
「あはは…ごめんね。なんかタイミングのがしちゃって…」
「シャンドラ様からの手紙に書いてあったわね。…大丈夫だったの?」
甕に出来た薬を薬瓶に詰める作業を一旦やめて、かあさんは眦を少し下げて言う。
ギルドのあの事件の話だろう。
「うん。僕もイマイチよくわからないんだけど…」
「そう…。ドラコニア様に伺ってみるか…」
「え?」
「いいえ。何でもないわ。明日街に戻るんですっけ?」
「うん。もう少しゆっくりしてたいけど学校が始まっちゃうから。どうせ次は年越しのお休みがあるんだけどね。
「そうだったわね。そのお休みは街にいるのかしら?」
「え?小屋に戻ってこようかなとは思ってるけど?」
「あら。そうなの?それなら次は荷車かなにか持ってきてくれないかしら。溜まった毛皮とか革細工とか街で売ってきてほしいのよ。お金は全部マルクのものにしちゃっても構わないから。」
「え?でもかあさんも口座があるんでしょ?なんでか僕のギルドの口座に大金が振り込まれたけど…」
「あぁ、あれはマルクとグランたちの倒したバサラベアの毛皮の売上だから気にしないで。それとさっきもいったけれどお金いくらあっても使わないもの。だったらマルクの生活の足しにして頂戴。使わないっていうなら教会に寄付するのでもいいから。」
「そういうことなら…わかった。シャンドラさんにも相談してみるよ。」
「ええ。お願いね。そういえば!」
「うわ!?突然大きい声だしてどうしたの?」
「ソラリア様とはどうなの?」
「!?どどど、どうって!?」
「あらぁ?その反応は何かしら?」
片づけをアドラーとイズマに任せた母さんは机に肘をついてニヤニヤと僕を見る。
「どこまで進んだのかしら?」
「な、なんでもないよ!なんにもないし!」
「半年も年頃の女の子と一緒にいるのに?」
「関係ないよ!相手は領主様のこどもなんだから。」
「それこそ関係ないわ。人の好き嫌いは選べないんだから。マルクはソラリア様のこと好きなの?」
「!!??」
爆弾発言に思わず手に持っていた木製のスプーンを落としてしまう。
返事の代わりに乾いた音が部屋に響いた。
「なるほどね…」
「ちょ、ちょっと!!何がなるほどなの!?」
「何でもないわぁ。さぁて晩御飯はなににしようかしら~。」
「かあさん!待って、ちょっと!!」
「ふふふっ。」
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あっという間に帰る日の朝。
いつも通り魔力操作訓練の日課を終わらせて、かあさんと減った分の薬を多少補給した。
とはいっても小屋生活してれば基本使うことはない。
体調が悪い時やちょっと怪我をした時に使うくらいだろうか。
それでも軽い怪我や病気なら森で採れる薬草を塗るなり、お茶にして飲むなりすればいいだけなので結局使わないんだけど。
行商人に売るくらいかな?
その後片付けもおわり、帰りの支度を進めていると、案外大荷物になっていた。
シャンドラさん依頼の薬に冒険者ギルドに納品する薬草、それに道中倒した魔物の素材もある。
ゴブリンやフォレストウルフの素材だからそんなに場所は取らないけどね。
結局持ってきた籠だけでは入りきらずに地下の倉庫にあった大きめの背負子を使うことにした。
背負ってみたけどそこそこ重くて動きにくかったから帰りは魔物にあわないように少し気を付けないといけないかな。
「忘れ物はないかしら?」
「うん。大丈夫だよ。お土産ももらったし。」
背負っていた背負子をよいしょと下ろしながら笑うと、かあさんも笑みをもらした。
「そうね。色々と入れておいてなんだけど重くない?大変なら小屋においておけばいいんだから…」
「これくらい平気だよ。魔法で軽くすることもできるし。」
「あら。そういえばずいぶん器用に使えるようになったわよね。私より上手なんじゃないの?」
「まさか。まだまだへたっぴだよ。毎日一生懸命練習中。かあさんに勝つなんてまだまだ先だね。」
「継続は力なり、って言うのよ。私もずっと訓練してきたんだから簡単に抜かされたら泣いちゃうわ。…マルク。」
「なに?」
温かい手が優しく僕の頭をなでた。
「行ってらっしゃい。」
「…うん。行ってきます!」
「またいつでも帰ってらっしゃいね。」
「うん!」
お読みいただきありがとうございます。
ちょっとお話進まないですが、もう少し進めると色々動かしてまいりますので。
年末はなんとか更新頻度上げます。
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