第1節『学園生活』
どうも、もんたです。
長らくお待たせしました。
本日より第三章、スタートです。
それではどうぞ。
学園に入学して、半年と少しが経った。
1年は12の月まであって、僕たちが入学したのが5の月の真ん中あたり。
今が11の月の終わりにさしかかったところだ。
暖かかった日差しは鳴りを潜めて、たまに吹く風が身体を震わせるようになった。
これから3の月の中頃くらいまでは寒い時期が続く。
大森林もさすがにこの時期は生き物や植物が減っていって、1の月辺りは冒険者は休業期間になりがちみたいだ。
今日もいつも通りの時間に目が覚め、伸びをした後カーテンを開ける。
トーカの街ではそこまで珍しくないガラスで出来た窓を開くと、冷たい風が一気に部屋に吹き込んできた。
「う~…。やっぱり朝は冷えるな。」
寒い寒いと思いつつも、麻のシャツといつもの長ズボンを履いて、部屋を出る。
あと1時間もすれば鐘が鳴って、みんな起き始めるんだけど、この時間はとっても静かだ。
昼間とはうってかわって静かな廊下をそろそろと歩いていく。
そうそう、学園では結局寮に暮らすことになった。
ソラリアさんのお付きだし、屋敷から通うことになると思ってたんだけど…
「わたしも学生ですし、みなさんと一緒に寮で過ごします!」
とシャンドラさんたちに言ったことがきっかけに。
流石に領主の子どもとなると反対されるだろうな、と思ってたのに、案外シャンドラさんもマリーさんも乗り気でとんとん拍子に話が進んだ。
トーカの街に家のある学生は家から通うことが出来て、遠方から来てる子用に寮が用意されている。
他の分校にはあったりなかったりするとライオネルさんが言っていた。
そういう街には下宿用の安い宿がいくつかあって、学生優先に泊まれるようにしてあるんだとか。
トーカ分校の学生寮は、もちろんトーカの街に住んでいる学生も寮を使うことが出来るんだけど、部屋の空き次第では断られることもあるらしい。
今回は部屋に余りもあったからということで無事、ソラリアさんは寮生活を始めることができた。
…こんなこというと変かもしれないけど、本当に余りがあったんだろうか。
シャンドラさんのことだから無茶してないか不安になる。
あ、ちなみに言うまでもなく、僕はソラリアさんの隣の部屋。
男女別の寮なので、本当なら僕も男子寮に行くべきなんだろうけど、領主の娘の従者ということもあって特別扱いになったみたい。
入寮した時の周りの視線は忘れられないな…
ソラリアさんのいる寮は当然女子寮。
そんな女子寮にいる男子は僕ともう一人だけだ。
ソラリアさんと僕の部屋がある3階は貴族の子女のみ使用可能な階層で、初めの頃一度兵士さんに通報されたこともあった。
兵士さんが僕のことを知っていたのとソラリアさんが説明してくれたのでなんとかなったからよかったけどさ…
裏口に回って日課の魔法の訓練。
綺麗に手入れされている花壇を背にベンチに座って集中する。
魔法の訓練と言っても、当然小屋やお屋敷にいた時のようにするわけにはいかないので、ちょこっとしたものがほとんどになる。
例えば水の玉をたくさん浮かべて動かしたり、氷の玉にしてぶつけ合ってみたり。
僕が使える魔法は水、土、風の3属性で、水と土魔法を合わせて氷属性の魔法を使ってる。
土魔法は周りを汚してしまうし、風属性は目に見えにくいので訓練しにくい。
結果としてどうしても水魔法がメインの訓練になるので、良くも悪くも熟練度?みたいなのは上がってるよなと思う。
(わたしのおかげよ!!)
感謝してるよ、デフィー。
(ふふっ。)
訓練を終えたあと、シャワーで軽く汗を流して制服に着替え、僕の銀髪に近いグレーの長袖に腕を通し、ボタンを留める。
ズボンも同じ色で学年ごとに横に一本線のラインが入ってる。
僕らは黄色。あとは確か緑と赤と青があったっけ。
身だしなみを整え、向かい側の部屋をノック。
「ソラリア様、マルクです。」
「はい、起きてますよ。入っても大丈夫です。」
「失礼します。」
身分認証用のボタンに魔力を流すとガチャリと鍵が開く。
これも学園長先生の作った魔道具らしく、位の高い人の使う部屋には必ず設置しているとか。
本当なら学生寮には設置していないんだけど、ソラリアさんの部屋ということで急遽取り付けられた。
ついでということで僕の部屋にもついてるけど、お金のかかってるものなんてない。
強いて言えばお金を入れてる木箱くらいかな?
部屋の中では僕と同じように制服に身を包んだソラリアさんが髪を梳かしていた。
「おはようございます、ソラリア様。」
「聞こえませんね?」
「…」
「もう一度、お願いします。」
鏡越しにニヤニヤをこらえているソラリアさんが見える。
ちょっと頬が赤いのは化粧なのかなんなのか。
はぁ…
「おはよう、ソラリア。」
「ふふ、はい。おはよう、マルク。」
時折すれ違う学生たちに挨拶を返しながら今日もご機嫌なソラリアさんと一緒に教室へ向かう。
女子学生寮から教室への道なので基本的に女の子しかいないんだけど、ちょこちょこ僕のようにお付きの男の子もいて、彼らとはよく挨拶したり空いた時間に話したりする。
僕みたいに寮に住まないのかと聞いたら部屋が余ってないから無理だと言ってた。
じゃあ僕も男子寮でよかったのに…
お付きの男の子たちはみんな貴族の子なので、どちらかというと平民の僕は遠慮しがち。
たまにバックスとかと一緒に話すのが気を遣わなくていいし楽なんだけどなぁ。
教室に着いた後は、ソラリアさんと一緒に貴族コースの授業を受ける。
元々は冒険者コースのはずだったんだけど…
最初は当初の予定通り冒険者コースと魔術師コースで薬師向けの授業を受けていた。
しかし、ここで問題がおきちゃった。
薬師になりたい人向けの授業の講師がなんと薬師ギルドのイダさんだった。
しかもただの受付の人だと思ってたのに、イダさんは薬師ギルドトーカ支部の副支部長補佐で、実質のナンバー3の偉い人だった。
お互いに目を合わせて「あれ?」と言ったのが懐かしい。
その後、イダさんが呆れつつ授業の内容を話してくれたんだけど、全部かあさんに習った内容だった。
あとでシャンドラさんに相談したら笑われた。
「初心者向けの授業にベテランがでてどうするの?」
だってさ。
まぁ確かにかあさんから5年ほど薬師としていろいろ教わったけど…
他にもやり方があるんじゃないかって気になってたんだけど、どうやらかあさんのやり方が一番らしい。
シャンドラさんとセバスさんに結構な勢いで止められた。
これまで通りかあさんのやり方で薬作ります。
そんな一騒動があり、薬師用のコースは取らなくていいようになった。
いままでののようにギルドの依頼をこなしていけば、ランクアップと同様に卒業用の単位までくれるらしい。
ラッキー、ってことなんだろうか。
その場で決めちゃったイダさんは後で怒られたりしないかな。
薬は作っていきたいし、できれば卒業したら自分で作った薬を自分で売ったりして行きたいからそのためにもなるということで、セバスさんから結局は説得された。
お読みいただきありがとうございます。
本作も第三章という区切りに入りまして、うれしい限りです。
今後も皆さんに「面白いなぁ」「続き気になるなぁ」と思ってもらえるような作品になるように頑張っていきます。
また、合わせて初めてですが、賞に応募してみました。
まぁ選ばれたらいいなぁ程度ですが…(;'∀')
引き続きよろしくお願いいたします。m(__)m




