特別SS
どうも、もんたです。
遅くなってしまい申し訳ありません。
※タイトル通り本編には関係ありません。
それでは、どうぞ。
「そういえば、今日ハロウィンだったわね。」
「はろうぃん?」
かあさんは作ったばかりの薬を薬瓶に詰めながら、突然話し始めた。
「それなんなの?えっと、はろ…?」
「ハロウィン、よ。この国ではその風習はないんだけど。」
「ふぅん?何かしたりするの?」
「ハロウィンっていうのは収穫のお祝いのお祭りなのよ。この時期位に大体の野菜や果物の収穫が終わってしまって、寒い冬が始まるでしょ?その時期を頑張って乗り切ろうって思いを込めて、収穫した農作物を使った盛大なお祭りになるってこと。カボンの実をくり抜いたあと、表面に顔を掘って、その中に蝋燭をたててランタンにして飾ったり。勿論、くり抜いた中身はお菓子やご飯にして食べて捨てたりなんかしないんだから。」
「そんなお祭りがあるんだね!楽しそうだけど、なんでこの国にはないの?」
「この国の生誕祭っていうのかしら?建国の記念のお祭りが11の月にあるのよ。そっちで国を挙げたお祭りになるからないみたいね。」
「どっちもやればいいのに。」
「そんなにお祭りしたら疲れちゃうわよ。何事ものんびりがいいんだから。マルク、そっちの瓶を取ってくれる?」
「のんびりがいいのは賛成。こっちの高い瓶でいいの?」
「そうよ。ありがとう。これが終わったらご飯にしましょう。」
「うん。じゃあ片付け終わらせるね。アドラー、イズマ、手伝ってね。」
上機嫌に鼻歌を歌ってるかあさんを横目に、同じように嬉しそうなスライム2匹と一緒に片づけを始めた。
「さて、晩御飯は豪勢にいきましょう。マルク、地下室から鹿肉を取ってきてちょうだい。デフィーは料理手伝ってね。あ、マルク、鹿肉と一緒に狼たち用のクマ肉を――「がうっ!!」あら?」
「どうしたんだろ?」
台所の裏戸を開けると口元にべったりと血をつけたグランがお座りをしていた。
隣には小屋に来た頃よりも少し大きくなったグリムが同じようにちょこんと座っている。
「うわっ!?…怪我はないのか。狩りにでも行ってきたの?」
グランは肯定するように首を縦に振るとついてこいと言わんばかりに立ちあがって僕の上着を引っ張った。
「狩りの成果をってことかな?どこにあるの?」
興奮してるグリムを腕に抱えてグランについていくと、シロがバサラベアの死体の横で寝そべっていた。
バサラベアは身体のあちこちに切り傷がはいっていた。
サイズも僕が初めて3匹と出会ったときのものと同じくらいの大きさ。
結構倒すの大変だったんじゃないかな。
グランたちは全然怪我しているように見えないので、恐らく魔法でしっかりと仕留めたんだろう。
グランたちに比べてシロは少し疲れてるみたいだし、きっととどめはシロだったのかな?
母さんとデフィーに一言だけ入れて、しっぽをフリフリする3匹のために解体を始める。
血抜きが完璧にできてるわけじゃないので、水魔法を使って血抜きと冷却を兼ねて洗浄する。
この時期に獲れる熊や鹿といった動物は木の実を多く食べているので、多少血抜きが雑でも美味しく食べられる。
とはいっても魔物はなんでも食べちゃうせいでどうしたって臭みが出るは仕方ない。
幸い森では臭み取り用の香草がたくさん採取できるし、かあさんに任せればなんとかなる…と思う。
しっかりと洗ったらかわはぎ。
仰向けに転がし、中心からナイフを入れていく。
手足の部分は肩や肘の関節あたりに切り込みを入れて少しずつ剥いでいく。
もし表面が綺麗なら皮だけでも高値で売れるんだろうけど、魔法で結構傷ついてるから安くなっちゃいそうだな。
でも熊類は内臓からとれる脂や内臓自体が高く売れるし、薬の材料にもなったりするので嬉しい収穫。
皮をはぎ終わったところでデフィーが様子を見に来たので皮を預ける。
皮のなめし作業は後日になるので凍らせて地下倉庫に入れておいてもらう。
そういえばこの前仕留めたフォレストディアの皮、処理しないといけないや。
今度やろう。
皮をはぎ終わって生々しくなったバサラベアに向かいなおり一息入れた後、お尻の部分からおなかにかけて切り込みを入れ、内臓を全部取り出していく。
今回はラッキーなことに心臓の横に魔石がくっついていた。
魔石は僕の握りこぶしよりも大きいサイズで今までに見た中でも大きいほう。
そのままでも利用方法はあるけど、削って粉末にしちゃえば薬に使うこともできる。
内臓と合わせてとっとくことにしようっと。
取り出した内臓は魔法で丸洗いして、貴重な部分を除いて3匹にプレゼント。
お肉を食べるまでのつなぎにはなるかな?
親に負けないように小さな口を限界まで広げてパクついてるグリムは可愛いけど手を動かさないと。
肉だけになったバサラベアを部位ごとに切り分けて、木の葉と麻縄でまとめて縛って作業終了。
ちょこちょこ出た切り残しを食事中の3匹に渡していたのでそこそこおなか溜まったと思う。
切れ味のいいナイフのおかげでサクサク進んだけど、それでも結構腕がきつい。
おなかを膨らませたグリムをなでていると小屋からふんわりといい匂いが広がってきた。
たまらずおなかが空腹を知らせてきた。
「あー…。おなかすいたな。」
「マルク!オルガがご飯できたって!」
ちょうどいいタイミングでデフィーが呼びに出てきてくれた。
目の前の惨状をみて目をぱちくりとさせている。
「…熊の解体しちゃうってすごい手際よね。」
「あはは…。集中しちゃってさ。」
「まぁいいんだけど、まずは汚れを落としてきたらどう?ドラコニアも来るみたいだし。」
「じいちゃんも?」
「えぇ。もう少しかかるそうだから洗う時間はあると思うの。片づけは私がやっちゃうから行ってらっしゃい。」
「ほんと?ありがとう。デフィー。」
「どういたしまして!」
「これは豪勢じゃのぉ。今日はお誘いいただき感謝、感謝じゃ。」
「お忙しいところありがとうございます。今日はお酒も用意していますので。」
「おおっ!これはレベンテーレ製の赤ワインじゃな?良い酒じゃ。」
「えぇ。それも20年前のものなのでしっかり味わい深いものになっていると思います。」
「なんと!もう数本しかないと思うが…良いのか?」
「せっかくですから。」
「うむ。オルガの好意に甘えるとしよう。」
僕は良く分からなかったけど、大人組二人が盛り上がってるからとっても貴重なものなんだろう。
僕は森でとれた果物でつくったジュース。
これだって旬の果物100%だから美味しい。
テーブルの真ん中ではくり抜いて蝋燭を入れたカボンが部屋を明るく照らしてる。
カボンのクリームシチューに鹿肉のロースト、オーク肉を茹でたものと野菜をさっぱりとしたドレッシングで和えたサラダ。
焼きたての丸い白パンから小麦のいい香りが広がって、思わずごくんとのどが鳴ってしまう。
「ほれ、マルクも我慢できなさそうじゃの。」
「さっきからおなか減っちゃって…。」
「あら、ごめんね、マルク。冷えるのもよくないし食べましょう。みんなグラスを持って。」
デフィーもお酒を飲むのかと思ったら、ジュースみたいだ。
かあさんとじいちゃんがワインの揺れるグラスを持ちあげる。
「今日はハロウィンのお祝いだから、乾杯じゃなくてハッピーハロウィン、で乾杯しましょう。」
「うむ。」
「それじゃあ…」
4人でグラスを高く掲げる。
「「「「Happy Halloween!」」」」
お読みいただきありがとうございます。
11月に入りましたので、また週一更新に戻っていきたいと思います。
合わせて本編(第3章)を更新していきますので、お暇なときにでも読んでいただけると嬉しいです。
※ハロウィン、おそくなってもうた。




