第28節『思いつきは・・・』
どうも、もんたです。
おまたせしました。
それでは、どうぞ。
なにごともなく調合が終わったみたい。
「ふぅ。」
反応が終わった甕の中は透き通った薄緑色の液体で満たされている。
…無事、完成。
「何度となくやってきたことだけど、ちゃんとできるとやっぱりうれしいな。今回もいい薬ができた。」
鼻歌交じりに薬を入れるための瓶を用意していく。
15本分くらいの薬はできたんじゃないかな?
こぼさないようにおたまで慎重に瓶詰めしていき、結局18本の回復薬をつくることができた。
納品の本数は決まってないけど、せっかくだし端数の3本は手元に残しておく。
気が向いたら軟膏か錠剤にしてみようかな。
これは売り物だし、念のため≪物質鑑定≫で品質を確認してみよう。
≪物質鑑定≫
回復薬(高品質)…
丁寧な下処理と綺麗な水を用いて生成された高品質な回復薬。
飲むことで身体の傷と疲れをいやす。味は普通。
うん。
想像通り品質もいいものができた。
手順もいつも通り、色も透き通って見た目もきれいだったしね。
最近じっくりと作る時間なかったから腕が鈍ってないか心配だったけどいい感じ。
「この調子でいきますか!」
使用済みの容器や甕を一旦綺麗に掃除し、前の薬の影響がないことを確認する。
問題なし!
そのまま、回復薬と同じような手順を踏んで強壮薬と解毒薬を作っていく。
ただ、回復薬の時の鑑定結果が気になってるんだよな…
「味は普通」って…
強壮薬の作成途中、「調合」のタイミングで森で摘んでおいたハーブを何種類か入れてみた。
クランドさんに渡すために採取していたものの余りだしちょうどいいや。
これで味が変わったりするとまた面白いんだけど…
解毒薬は依頼分のものだし、変に手をつけるのはやめとこう。
「できた…。」
強壮薬(高品質+)…
丁寧な下処理と作成工程をふみ、アレンジが施された高品質な強壮薬。
飲むことで体内の魔力を回復し、自己回復の速度を早める。さっぱりとしたハーブ風味。
解毒薬(高品質)…
丁寧な下処理と作成工程をふんで作成された高品質な解毒薬。
飲むことで中程度の毒素を中和することができ、患部に塗り込んで応急処置が可能。味は普通。
うんうん。
良い結果がでたし十分な気がする。
昔に比べれば品質の高いものがつくれる確率がずいぶんと安定してきたし、高品質にするためのコツはしっかりと理解できたってことでいいと思う。
かあさんのような最高級品を作るのはまだまだ先の話かな。
もっと勉強しないと。
余った材料は暖炉に火をつけてきちんと燃やしておく。
材料の粉末が誤って別の薬を使っているときに交じってしまえば予想もしないものができたり、片づけをさぼると品質が落ちたり。
同じ薬を作るときでも、きちんと道具を洗って乾かして一から作るのが基本だと習った。
そうはいってもどうしたって道具は使い込むと傷がついたりして癖がついたりするので、丁寧に扱いなさいとかあさんには耳にタコができるくらい言われた。
まぁ、それでよい薬が作れるなら大変なんかじゃないし。
片づけを終え、自分用にする薬はポーチの中へ。
それ以外は木箱に詰めてカウンターに持っていくことになる。
部屋が綺麗になったことを再確認して部屋をでた。
札を未使用に戻してカチャカチャとにぎやかな音を立てつつ階段をくだる。
「イダさん。これ、納品します。」
「お、そろそろ出来る頃かなって思ってたんだ。いつもマルク君の薬はたのしみ…で?」
イダさんは薬の入った木箱をみて目をぱちくりとさせている。
「どうかしましたか?」
「いや…これ今作ったの?」
「はい。」
「全部?」
「はい。」
「…相変わらず手際がいいね。若い見習い薬師が見たら絶望するよ。心配はしてないんだけど、鑑定してもいいかな?」
「もちろんです。」
「何となく結果は見えてるんだけどね…。」
イダさんは≪鑑定≫の魔法が付与されている眼鏡を取り出すと、木箱から一本ずつ瓶を手に取って確認していく。
確認が終わったものは別の箱に種類ごとに入れなおしてる。
ずっとなんとも言えない顔をしながら鑑定してるのがちょっと気になるけど。
「ふぅ…。すべて高品質。しかも強壮薬には+判定までついてるじゃないか。街のベテラン薬師ですらできないことをさらっとやっちゃうんだもんなぁ…。マルク君、その技は誰から教わったの?」
「え?かあさんです。」
「お母さん?有名な薬師でマルク君くらいの歳のお子さんがいる人がいたかな…。まぁこれらの詮索はしないのが決まりだしこれくらいにしておくよ。これは全部納品してくれるってことでいいのかな?」
「はい。確か解毒薬は依頼がありましたよね?どこかの街の貴族様から。」
「おっ。そうなんだよ。できる限り品質の良いものをという依頼でさ、以前普通品質のものを納品したらダメだったんだ。それで高品質以上のものを探していたんだけど王都まで行かないとなかなか、ね~。」
「貴族様なら王都で依頼をだすこともできたんじゃないですか?」
「それが難しいところなのさ。マルク君はわからないとは思うけど、利権とか貴族同士の牽制とか面倒ごとが多いらしくて、王都で依頼を出すことが出来なかったらしい。だからってこんな辺境で出さないでほしいんだけど…。」
「でもこれで解決だし、ギルドの支部としても評価が上がりそうだ。ギルドに勤めるものとしてお礼を言うよ。ありがとう。」
「いえ、僕も一応、薬師ですから。」
「いやいや、一応だなんて謙遜だよ。マルク君はもう一人前の薬師さ。今回の件のあとCランクに上げられるよう推薦してみるよ。」
「本当ですか?」
「もちろん。次のBランクになれば薬師ギルドで素材を購入する時の割引が大きくなるし、自分の店を持てるようになるんだ。」
「え!そうなんですか!!」
「おっ!乗り気だね、マルク君。本当だよ。トーカの街ではBランクであることと領主様の認可があれば自分で店をもって薬を販売することが出来る。」
思っていた以上の収入が入り、さらにやる気アップな話も聞けて、上機嫌で屋敷へ戻った。
部屋に戻り、ポーチから皮袋と木箱を取り出す。
重みのある木箱の中にはジャラジャラと音を響かせて硬貨が詰まっている。
いったいいくらくらいあったっけな。
今回の報酬が入った皮袋を木箱の上にひっくり返すと、甲高い音が部屋に響く。
お金のために依頼をこなしているわけじゃないけど、こうやって頑張った証が目に見えるのは嬉しい。
薬師ギルドでBランクになればお店も開けるって聞いたし、せっかくだから自分のお店をもつことを卒業後の目標にしたい。
そうなるといくらくらい必要になるんだろう?
お店になる建物に、調合用の甕が必要。
調合室も別に作らないといけないし…
あ、寝る部屋も必要なのか。
じいちゃんやかあさんが来てもいいようにお客さん用の部屋もいる。
そもそも建物っていくらするんだろう。
今度セバスさんに聞いてみようかな。
ぼーっと考えながら、手はもくもくと硬貨を仕分けしていく。
えーっと、全部で…
「241,539オリン…。子どものお小遣いにしては持ってる方だよね、多分。」
内訳は、
中金貨が1枚、金貨が10枚
大銀貨が4枚、銀貨と小銀貨がそれぞれ12枚
大銅貨28枚、銅貨が71枚に小銅貨が29枚。
…銅貨たまりすぎだな。
今度買い物するときは銅貨たくさん使おう。
中金貨1枚と金貨5枚は元々母さんから預かっていたお金だ。
何かあった時のために普段使う財布や貯金用の木箱以外のところに隠してある。
街中で買い物するときはせいぜい使って銀貨くらいまでだしなぁ。
屋台で買い食いしても使うのは銅貨、まとめて大銅貨か小銀貨。
武器や防具とかをまとめて買えば大銀貨とか使うんだろうけどね。
家なんて建物だし、流石に金貨か中金貨くらいかな?
大金貨まで必要ってなるとちょっと難しいか な。
学園に通ってる3年間で溜まればいいんだけど…。
まだまだ先のことについてああでもないこうでもないと考えているとメイドさんが呼びに来た。
どうやら夕食の時間らしい。
気づけばまだ明るかったはずの窓の景色はもう薄暗くなっている。
机の上のお金をばたばたと片付けて夕食の席へ向かった。
10オリン=100円
小銅貨 1オリン
銅貨 10オリン
大銅貨 100オリン
小銀貨 500オリン
銀貨 1,000オリン
大銀貨 5,000オリン
金貨 10,000オリン
中金貨 100,000オリン
大金貨 1,000,000オリン
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お読みいただきありがとうございます。
次回、本章の〆です。




