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竜の薬師  作者: もんた
第2章 学園編-前編
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第27節『薬師ギルドにて』

どうも、もんたです。


もちろん、冒険者ギルドに採取系の依頼がたくさんあるのは知ってるんだけど…



申し訳ないけど、薬草採取は薬師ギルドでこなしている。

理由は結構単純で、薬師ギルドの方が報酬が高いから。

あと、求めるものとかもきちんと書いてある。

冒険者ギルドのものだと依頼書の内容が毒草とか薬草とかひどく雑なことがあって、そのせいでトラブルもよく起きるって聞いた。

一部の貴族さんが出す依頼はそんな感じらしい。



冒険者ギルドをでて、そのまま薬師ギルドへ向かう。

ギルド前には守衛さんがいて、ドアの開閉や身分の確認をしていたりする。

この辺りは自分で自分を守れ、という冒険者ギルドとは違うところ。

それともう一つ。

薬師ギルドの中には危ない毒草や薬品が大量にあるので、不用意に人が出入りを禁止しているということもある。

普通子どもが近づけば追い払われるんだけど、何度も出入りしているし、守衛さんも知り合い。




「こんにちは。」

「おう、マルク君か。久しぶりじゃないか?俺じゃない時に来てれば別だけどな。」

「いえ、久しぶりに来ました。学園の試験があって。」

「あぁ、そういえばソラリア様もだったよな。結果は出たんだっけ?」

「明日です。」

「そうかそうか、まぁ二人なら問題ないだろ。今日は用があってきたんだろ?どうぞ。」

「ありがとうございます。」






守衛さんに開けてもらったドアを通ると、鼻の奥に刺激的なにおいがとどく。

いろんな種類の薬草や香草のにおいが混じりあって何とも言えないにおいだ。

正直、このにおいのせいでギルドに入りにくいんだよなぁ。

かあさんと使っていた調合室はいつも掃除してたし、アドラーがおかげでいつも清潔だったから、今でも慣れない。


冒険者ギルドにさらに輪をかけたように人のいないロビーを通り、カウンターへ向かう。

寝ぐせのついた髪を雑に後ろで結んだ男性がちょうど裏から出てきたところだった。





「すみません、薬草の納品と調合室をお借りしたいのですが。」

「はいはい、ちょいとおまちをー…ってマルク君か。」

「あ、こんにちは、イダさん。」





大量の資料をわきに置き、ずれた眼鏡をなおしながらイダさんは椅子に座った。

まん丸メガネ外したほうがかっこいい気がするんだけどな。

鑑定用の道具だし仕方ないと言えば仕方ないんだけど。






「うん。こんにちは。それで、薬草の納品だっけ。何を持ってきてくれたの?」

「えっと、ククリ草、マハラ草をそれぞれ20束です。それから調合室使わせてもらえたらイズン草があるので解毒薬を作って納品できます。」

「お!本当かい?じゃあさ、せっかくだから摘んできた薬草で回復薬と強壮薬も作ってもらえないかな。少し在庫が心許なくてさ。依頼は達成扱いにするし、薬草そのままより買い取り額も上がるし、どうだろう?」

「それで良いなら作っちゃいます。」

「助かるよ~。ここだけの話だけど。」






そういいながらイダさんがカウンター越しに耳元に寄る。





「他の薬師の作ったものよりマルク君が作った薬の方が出来がいいからお願いしたいんだ。可能なら製法やコツまで聞き倒したいところなんだけど…。そんなことしたらギルド長にあの人たちみたいに締め上げられちゃうから…。」

「ははは…。ちなみに、あの人たちはどうなったんですか?」



「知りたい?どうしても?」



「い、いえ、そんなには。」

「じゃあよしってことで。これ、調合室の鍵ね。部屋の札を使用中にしておくのを忘れないで。」

「はい。ありがとうございます。」






鍵を受け取り、二階へ上がる。

10部屋ほどある調合室のなかで、今日貸し出されたのは一番端の10号室。

最近いつもここを使ってる気がする。



いつものように扉にかけられた札を未使用から使用中にひっくり返し、中に入る。

今日は誰も使っていなかったようで部屋は綺麗なままだ。

たまに、前の人が片付けきれてなくて汚れがあったりするんだけど、ラッキーだったな。




小屋のものよりそこそこ、いや、結構質の落ちた甕を軽く水であらう。

個人用のものじゃないし、質の良さを求めるのは話が違うかな。

ざっと洗い、温風で乾かしたら再度水をはり、コンロのスイッチを入れる。

室内だから実際に薪とかを使ってるわけではなく、魔石を利用したコンロなのが便利。


(ふふん。私のおかげでこんなにきれいな水がでるんだからね!)

わかってるよ。ありがとう。




お湯になるまでの間に必要な道具を部屋のあちこちから取り出し机に並べ、こまめに甕の様子を確認しながら薬草の下処理をすすめる。

ククリ草とマハラ草は葉っぱのみを使うので、それぞれ丁寧に葉だけをちぎって軽く冷水にさらしておく。

そのままにしておくとどんどん色がくすんでいって、それに合わせて効果が落ちちゃうんだよね。


普通はこれで終わりらしいけど、かあさん流では茎も根も使う。

もったいないっていうのが一番の理由ではあるんだけど。


茎と根は一緒に細かく切り刻んで薬研で細かく擦りつぶす。

少しずつ水を加えてドロッとした液状になったら器にうつして…



そういえば、乾燥させて粉末にして調合するという手もあるみたいだけど、やっぱり効果はイマイチ上がらないみたい。

粉末からの作り方もかあさんには習っているけど一回も試したことない。

一回やってみたいな。

じいちゃんも何事も経験あるのみ、って言ってたし。





イズン草は素手で触るとかぶれるので、魔物の革でできた手袋を使う。

茎と葉っぱをわけたあと、切れ込みを入れる。

このナイフは後で丁寧に洗わないと。



切れ込みを入れたら、ヒーラスライムの体液からできた塗薬を薄く塗って容器の中に入れていく。

この塗薬は効き目が弱いのがデメリットだけど、いろんな毒に効く万能塗り薬。

デメリットの効き目が弱すぎて、草木や魔物から受けた毒にはほとんど効果はない。

せいぜいちょっと葉っぱで指を切ったとか、触ってしまったとかそれくらい。


塗り薬を傷口に塗ると、毒の成分を吸い出して治すんだけど、今回はその吸い出す効果を使う。

そのままイズン草で薬を作ると単純な毒薬ができてしまうので、何度か塗り薬で毒の成分を吸い出す。

そうして毒が弱くなった状態で薬にすることで解毒薬になる。

かあさんは身体の中のコウタイ?がなんとかって言ってたけど、よくわからなかった。

全部に塗り終わったので、このまま吸い出しが終わるまで待ち。

甕の水がふつふつとしてきたので早速調合にうつろうかな。




まずは回復薬から。

煮立ってきた甕にククリ草の葉を入れる。

甕の中の水が少し色づいたところで茎と根でつくったペーストを投入。


部屋中に薬草特有のなんとも言えないにおいが広がっていく。

甕の中は正直綺麗とはいいがたい色をしてる。

ぐるぐるとおたまでかき混ぜつつ「調合」を進めていき、全体に万篇無く広がったところで…






≪精製≫







甕の中の水がぼんやりと光り始める。



時々点滅しながら緑色の光が部屋を照らしてく。



まるで水が鼓動しているかのようにぽこぽこと泡立っていく。



この魔法を使ったときにしか見られない特別な光景。








反応はおわり、窓から入るあたたかな光が部屋を照らしなおした。




お読みいただきありがとうございます。


台風来ております。

風強すぎて…


飛ばされないように皆さん気を付けてくださいな。

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