第24節『男気』
どうも、もんたです。
おまたせしましたん。
それでは、どうぞ。
カーテンの隙間から揺り起こしてくれるような光が部屋に差し込む。
「朝か…。」
(おはよう、マルク。)
うん、おはよう。
ペンダントが朝日を受けてキラキラと柔らかく光る。
夜中にデフィーと話していたとはいえ、ずっと続けてきた癖はそのまま。
いつも通りの時間に起きた僕は中庭で軽く訓練した後、近くにいたメイドさんにセバスさんへ今日一日の予定を伝言してもらうように伝えた。
森まで馬車で送るか聞かれたけど、丁寧に断った。
久しぶりに乗合馬車に乗っていこうと思う。
中央の広場から西側に少し歩いたところに大森林方面へ向かう乗合馬車の乗降場があって、冒険者や行商人といった利用者の多い朝と夕方は一定の間隔で往復してる。
そんなに待たないで馬車が来たはずなので、すぐに大森林にいけるはず。
この時間に行けば一番初めか、二番目くらいに出る馬車にのれるはずだ。
ただ朝早いやつは冒険者で埋まっちゃうことが多いから席があるかどうかなんだよな…。
なんとか縁に座らせてもらおう。
ちょっと駆け足で向かうと、南の方で大きな声が広がっているのが見えた。
トーカの街名物、朝市が広がっている。
屋台で焼かれ始めた肉のいい香りが風に乗って鼻に届く。
朝ごはん食べずに出てきて、森について木の実でも食べればいいやと思ってたけど、これは…
お肉、買っていこう。
一番強烈に匂いを飛ばしていた屋台にかけあしそのままの勢いで近づく。
マットさんとも大して変わらないくらい大きい体のおじさんがたくましい腕からは想像つかないほど繊細に串に刺された大ぶりの肉を焼いている。
よく見れば腕には切り傷のようなものが見える。
元々冒険者だったりしたんだろうか。
焼き具合をじっと睨んでいたおじさんが僕に気づいて顔をあげた。
「おう、らっしゃい!坊主はえぇな!」
「おはようございます。もう買えますか?」
「当たり前よぉ!3本で50オリンだ!」
「3本で?安すぎませんか?これ香草も使ってますよね?」
「お?わかるか、坊主。ちなみに安さの秘密は内緒だ。」
「えぇ。ガーリケとブラッパが使われてますよね。あとはいくつか森で採れるものを。」
おじさんは裂けるんじゃないかくらいに目を見開くと、焼き台越しに僕の頭をガシガシと乱暴に撫でた。
痛いです。
それから腕焼けちゃいません?
「いい鼻してんな!その見た目で実はベテラン冒険者か?」
「い、いえ、冒険者ですがまだEランクです。」
「はぁ!?おめぇみたいに鼻が利くやつがE!?」
「は、はい。まだ街にきて登録したばかりで…。」
おじさんは目をぱちくりとさせたあと顎髭に手をあててうなりだした。
空いた手で焼き台の肉をひっくり返すのも忘れてない。
器用だな。
「なるほどな…。んで、なんで香草やら薬草やらに詳しい?」
「もともと森の方で暮らしてたので、それで。」
「んん?エルフ…じゃあねえもんな。むむむ。」
「あ、あの。」
「まぁいいか。面倒なことはお役人に任せろって話だな。肉、買っていくんだろ?何本だ。」
「3本でお願いします。」
「バッカ野郎!!もっと食わねえと身体でかくなんねぇぞ!」
そういうとおじさんは6本まとめて皮に包んだ。
屋台で配られるものは魔物の皮や内臓を匂い取りしたものを縫った袋や葉っぱでくるまれてることがおおい。
ぐっと突き出されたお肉を受け取り、100オリンを出すと、半分だけ取って満足そうに頷いた。
「おし!毎度あり!」
「え?いえ、あと半分――「バッカ野郎!」うえっ!?」
「いいか坊主。しっかり食って、しっかり訓練して、そんでもってまたしっかり食え。それが坊主を強くする。」
「あ、はい。」
「その3本はお前さんへの俺からの投資だ。強くなれ。んで街を守ってくれや。ついでに大森林に行ったときに暇があったら香草を取ってきてくれ。それで十分だ。がっはっは!!」
そういって大口を開けて笑い始めた。
つられて僕も笑ってしまう。
「あはは。頑張ります。ありがとうございます、えっと…。」
「?あぁ、俺はクランドだ。この先の角にあるしがない肉屋の店主だよ。坊主、名前は。」
「マルクです。この後森に行くので、香草をもってきますね。ありがとうございます、クランドさん。」
「そいつはいいや!お前さんは鼻が利くからいいやつを取ってきてくれそうだ。気を付けて行ってこいよ!」
「はい、行ってきます!」
(マルク…どっかで聞いた名前なんだよなぁ。どこだったっけか?)
クランドさんに手を振って、改めて馬車乗り場へ向かう。
丁度馬車が出るところのようで、何人かの冒険者が乗ろうとしていた。
人数と馬車の大きさ的にギリギリな気がする。
乗れないかもと思い、急いで御者さんに声をかける。
「す、すいません!まだ乗れますか!」
「ん?縁でよければ乗れるけど…って、君も乗るのかい?大森林行きだよ?」
「はい。これ。」
子どもが森へ?と言われるのは慣れているので、いつものようにギルドカードをポケットから取り出して見せる。
御者のお兄さんはまじまじとカードを確認した後、名前を木板に書いた。
「マルク君、ね。乗車代は150オリンだよ。」
「はい。」
「ちょうど。これ、割符ね。帰りにも馬車を使うときはこれを御者に見せるように。お代がいらなくなるからね。乗る場所は下りた場所と同じ。大丈夫かな?」
「前にも使ったことがあるので、大丈夫です。」
「そうか。それならいい。わかっていると思うけど割符をなくさないでよ?お代また払わないといけなくなるから。」
「はい。」
ぺこりと頭を下げて馬車に乗り込む。
既に6人ほどが乗り込んでいて出発を待っている。
冒険者っぽい服装の人が5人に、残りの人は神官さんかな?
薄い緑色のコートの腕の部分に赤いラインが2本入ってる。
どこかで見た服のような気がするんだけど…
「よし!時間になったので出発する。揺れるので気を付けてくれ。」
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ガーリケ=にんにく
ブラッパ=黒胡椒
およみいただきありがとうございました。




