第16節『試験がおわり』
どうも、もんたです。
おまたせしました。
それでは、どうぞ。
質問がないかとキョロキョロとするレイさん。
すると、前方からすっと手が伸びた。
「よろしいですか?」
「あっ、はい!もちろん!いかがしましたか?えーっと…。」
名前を呼ぶためか手元の資料をパラパラとめくる。
「ルグルール・ウィーンスと申します。ルグルール男爵家の次女でございます。先ほどのお話の中で一点、ご質問があるのですが、よろしいでしょうか。」
真っ黒な長い髪とすらっと背の高い見た目が視線を集める。
貴族なだけあって手入れとかもきちんとしてるんだろう。
首を傾げる動きに合わせて揺れる髪が光を反射してる。
後ろからみてるから顔とかはわからないけど…。
「もちろんです!何かご不明点でも?」
「えぇ。つかぬ事お聞きいたしますが、追加試験、とはいったいどういうものでしょうか。私は貴族コースの試験を受けに行かなくてはなりませんので、そちらは受けることができないのですが…。」
「あぁ!それでしたらご心配に及びませんよ。」
そういいながらにっこりとほほ笑むレイさん。
「追加試験とは、そもそも貴族コース以外の方が対象なのです。」
「はぁ…。庶民の方々向け、ということはわかりましたが、一体どういう試験なのですか?貴族が対象外になる試験というのは…。」
「ご説明いたしますね。貴族や騎士を目指す方々は幼少期より訓練されてますので、弓矢、魔法どちらかがお得意な方が多いですよね。」
「はい。最低限の勉学はもちろん、少なくとも魔法は必須ですから。私も4歳の時から教師を雇って毎日学んでおりました。」
「そうでしょうね。ですが、私たちのような…あ、私は貴族ではないのですけど。こほん、一般市民ではそうはいかないので、弓矢や魔法だけでは本人の実力を把握できないことが多いのです。隠れた特技があったりして、さらにそれがとても役に立つ、なんてこともよくありますしね。」
「そのため、通常の試験のみで判断した結果、実は優秀な方を在野に放逐してしまっていた、なんてことをなくすために特別措置として剣術や鍛冶、道具制作といった特技を加味して合否を判断することにしているのです。個々人の技量を確認する試験ですので、正直明確な合格基準等がなくって、難易度に関してはなんとも言えないのですけど…。」
「そのようなことが…確かに非常に有意義な試験だと思います。ありがとうございます。」
「いいえ。スッキリされたようで良かったです!他にご質問ありますか?」
「……ないようですね。それでは先ほどお話ししたように貴族コース受験の方は私に、追加試験希望の方は別の者が参りますので、こちらでお待ちください。」
レイさんの言葉を受けて、貴族コースを受ける子どもたちが前に進んでいく。
当然ソラリアさんはあちら側。
僕は追加試験を受ける予定はないので、解散組かな。
このあとどうするかを考えてると、ソラリアさんが話しかけてきた。
「マルクさん。」
「はい、何でしょうか。」
「私はこのまま貴族コースの試験を受けてきますので、馬車の乗り場で待ち合わせ、ということでよいかと思うのですが、いかがでしょう。」
「わかりました。試験、がんばってくださいね。」
「もちろんです!」
満面の笑みを浮かべ、貴族コースを受験する子供たちの集まりに加わっていった。
レイさんは深々と頭を下げると、ソラリアさんたち貴族コースを受ける子どもたちを引き連れていった。
「うし!それじゃあ俺は追加試験あるからここでお別れだな。」
「そっか。バックス、頑張ってね。」
「おうよ。俺が追加試験の項目に選ぶのは得意な鍛冶だからな。まぁ失敗はないだろ。マルクはこれからどうするんだ?」
「そうだな…。特にすることもないし、帰りの馬車が車で待ってるよ。」
「送り迎えなんていいねぇ。そうだ!せっかく仲良くなったんだしさ、今度うちの店に来いよ。」
「うん。えっと、【クァンテの金槌】だっけ?」
「ちゃんと覚えてんじゃん!場所はあの噴水から少し離れたとこなんだけど…。ま、正確な場所は屋敷の誰かに聞けばわかんだろ。それにどうせ馬車でくるんだろうからさ。俺の名前出してくれればいい。その時はサービスするぜ。」
「ほんとに?そろそろ手持ちのダガーをきちんと手入れしようと思ってたんだ。バックスにお願いすることにするよ。」
「おっ、それなら任せろ!ばっちり仕上げてやるから。」
バックスと話していると奥の方から人がやってくるのが見えた。
レイさんと同じ服を着ているから試験の係りの人なんだろう。
「おっ、試験官が来たみたいだな。それじゃ、行ってくるわ。またな。」
「うん。頑張ってね。また。」
差し出された手をぎゅっと握って、試験場を後にした。
そういえば初めての友だちだな…。
ふと気づいたことが案外嬉しくって口元が緩むのを止められなかった。
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試験場を出たはいいものの、どこに向かったらいいかわからず、周りにいた兵士の人に道を聞きながら乗降場までやってきた。
兵士の中には僕が良く一緒になってる弓兵の人たちもいて、そこそこお喋りもできた。
僕が教えてもらった乗降場は、貴族や商人といったそこそこの人たち用らしく、ここを利用するこどものほとんどは今は試験中なので結構静かだ。
一応、飛竜便といって、ワイバーンみたいな亜竜種に牽かれて空を飛ぶ移動手段もあるんだけど、それを使うのは公爵家や王族の人たち、緊急時には王都の一部の兵士の人たちが使うだけ。
お金次第なので、使おうと思えばだれでも使えるんだとか。
飛竜便用の乗降場は領主の館にしかないので、結局はそこまで馬車なんだよな。
シャンドラ様やライオネルさんは、飛竜便に一度乗ったことがあるらしい。
セバスさんは乗ったことないと言ってたけど、なんでライオネルさんだけだったんだろう。
執事のなかで、外にでて何かするのはライオネルさんが担当することが多いみたいだし、そのせいもあるんだろうか。
ちなみに街中や周辺の町村までの乗合馬車は別の場所で乗り降りすることになる。
ある程度の時間幅で学園、上層街付近、噴水広場、街のあちこちと走り回っていて、これが意外と便利。
馬車の都合上大通り沿いしか行けないけど、ギルドや商会みたいな大きなお店は中心地に固まってるし、困ることはない。
…貴族の馬車と乗合馬車で混雑してたりはするけどね。
目的地についたのはいいんだけど、特にすることもないので近くのベンチに座ってあたりを見回す。
試験がおわるだいたいの時間くうらいきいておけば良かったな。
いつ頃終わるかもわからないからあちこち歩き回るわけにはいかないし。
近くにいた係りの人に確認を取って、水の玉で遊んで時間をつぶすことにした。
兵士さんと一緒にいたし、レイさんと同じデザインの服を着てたから大丈夫なはず。
「もし?」
「えっ?」
頭の上でふわふわと水球を浮かべていると声をかけられた。
聞いたことがあるような、ないような。
流石に同じミスを何度も繰り返すわけにはいかないので、集中力は切らせてない。
浮かべていた水球を生垣の上に落として顔を上げると、翡翠色の大きな瞳が僕を覗いていた。
お読みいただきありがとうございました。
すでにお気づきかと思いますが、本作は展開まったりと進んでいきます。
サクッと強くなってサクッと美女を囲って、な展開をご期待の方は、
回れ右してお茶飲んでってください( ^^) _旦~~笑
こんなまた~りな作品ですが、よろしくお願いします。




