第11節『試験その④』
どうも、もんたです。
お待たせしました。
それではどうぞ。
『指示に従えない方、不正をした方には、きつーいお仕置きが待っていますのでそのつもりで。それでは皆さん、頑張ってくださいね。』
にこっと笑えていない笑みを残し、学長は降りていった。
代わりにあがって来た男性が、マイクを使ってアナウンスする。
要は前から順番に案内するから大人しく待ってろって話だったけど。
その間に学長とシャンドラさんは、席に座っていた大人たちとともにどこかへ行ってしまった。
見て回る、みたいな話もしていたし、試験の様子を見学したりするんだろう。
「う~ん。前からということはほんの少しかかってしまいそうですね。」
ソラリア様が背伸びをしながら言う。
「そうですね。何人ずつで動くんでしょうか。」
「確か20人ずつ、とか言ってたと思うんですけど・・・マルク、聞いてたか?」
「うん。その人数であってたと思う。しゃべってればすぐだよ。」
とりとめのないことを話しているうちに僕らを含むグループが移動するタイミングになった。
「えーでは、ここまでの人は私が引率します。当トーカ分校の教員補佐をしているレイと申します。どうぞよろしく。」
ぺこっと頭を下げた女性は、短く切りそろえた金髪が特徴的な猫人族だった。
ダリアさんと同じようにおしりの辺りから伸びた尻尾がゆらゆらとゆれている。
見たところダリアさんの尻尾より短いみたいだけど、何か違いがあるんだろうか。
「まずは筆記試験の会場にお連れします。2列になってついてきてください。」
レイさんに率いられながら建物の間を移動していく。
僕らが参加する20人の内訳は男9人、女11人。
そのなかでも男2女4の計6人が亜人の人たちだった。
男の子の二人はエルフっぽい。
ただ、一人は耳がかあさんや学園長の半分くらいの長さしかないからハーフエルフなんだろう。
人間と亜人の間にうまれる子どもは、亜人側の血が強く出るか半々かの割合が多いんだと本で読んだ。
エルフと人間の子だと、エルフかハーフエルフが生まれやすいってことらしい。
ただ、エルフに限らず、「ハーフ」となると純血種からは疎まれやすいのだと本で読んだことがある。
中途半端だ、ということだったけど、どうなんだろうか。
僕がのぼーっと人間観察をしている間に、こじんまりとした部屋に付いた。
20人分の机が整然と並んでいるだけのシンプルな真四角の部屋。
名前を呼ばれた順に席についていく。
やっぱりというか当然というか、ソラリアさんの名前が出たときは僕とバックス以外の全員が驚いていた。
名前を読み上げたレイさんまで驚いていたのはなんでなんだろう?
教員とかであれば顔とか知ってそうなものだけど。
僕が案内されたのは、入り口の反対側で窓側の席。
僕の前にソラリアさん、僕の後ろにバックスが座っている。
部屋の窓からは先ほど集まっていた広場が見える。
さっきまでの喧騒が嘘だったかのように閑散としている広場では、何人かの大人が掃除中みたい。
「なんだ、マルク。面白いもんでもあるのか?」
「ううん。さっきまであそこに居たなと思っただけだよ。」
「まぁなー。・・・おっと。」
レイさんが咳払いをして注目を集める。
座って落ち着いたのか少しざわついていた部屋の中もまたシンと静まった。
「ありがとうございます。それでは筆記試験を始めますね。こちらにある問題が書かれた紙を机の上においていきます。私の持っているベルが鳴ってから、約半刻、30分程度が時間です。終了時間の5分ほど前に1度、終了のタイミングで2度ベルを鳴らします。ベルが鳴ったら紙をひっくり返して、机の上の筆で試験を始めてください。終わったら筆をおいてまたひっくり返すこと。インクが足りなくなったら言ってください。ここまで質問は?」
キョロキョロと部屋を見渡すレイさん。
特に質問も無いようで一度頷くと、また話し始めた。
「よかったです。えーとあとは・・・。この筆記試験が終われば次は実技の試験になりますので、試験の内容に関しては試験場についてからお話します。あ!!ごめんなさい!この中にかけない方はいますか!?」
レイさんは焦ったようにまたキョロキョロと部屋を見渡す。
確かに、文字かけないと試験受けられないよね・・・
幸い、この部屋には居なかったようで誰も手を上げることは無かった。
「はぁ・・・よかった。」
「あ、あの・・・。」
声が上がったほうに目を向けると、あのハーフエルフの男の子が遠慮がちに手を上げていた。
レイさんはチラッと男の子の顔を見た後、手元の紙をパラパラとめくって再び顔を上げた。
「は、はい!えっと・・・ミンクさん、で宜しかったですか?」
「あ・・・そうです。質問なんですけど・・・。」
「どうぞ!」
「も、もし、字がかけない場合は筆記の試験は受けられなくて評価されないんでしょうか・・・」
「いえいえ。文字がかけない、という場合は別室での試験になります。私たち係員が問題を読み上げるので、口頭で答えてもらうような形になるんです。ですので、他のこどもたちとは一緒に試験が出来ないので先にきいていたんですよ。ミンクさんは文字、かけますか?」
「か、かけます。それと、ありがとうございます。」
「はい。他に質問はありますか?・・・ないみたいですね。よしっ!それでは試験を始めます!」
***************
***********
******
――チリンチリン。
「はいっ。これにて筆記試験終了です。」
レイさんの合図を受けて、部屋中でほうっ・・・と息が漏れる。
僕もだけど。
無事終わったように思えるんだけど、あってるかあってないか不安な問題もいくつかあった。
「それではこのまま退室してください。私が皆さんの回答を集めてから外に出ますので、待っていてくださいね。」
ぞろぞろと席を立って外へ向かっていく。
部屋をでたところで後ろから肩をたたかれた。
「ん?」
「どうだった、マルク。試験の程は。」
「わかんないよ。でもまぁ、一応解けたほうだと思うんだけど・・・そういうバックスはどうだったの?」
「余裕!・・・といいたいところだけど俺もわかんね。」
「はは。なんだよそれ。」
おどけた表情で答えるバックスについ笑い声が漏れる。
「あら、お二人とも楽しそうですね。何のお話ですか?」
ほんの少し疲れた様子のソラリアさんがやってくる。
さっきまで同じ班の女の子たちに声をかけられていたはずだ。
「いえ、試験の出来はどうだったかという話をしてたんです。」
「そうだったんですね。いかがでしたか?」
「なんともいえないって感じですね。」
「右に同じです。」
「ふふ。私はバッチリですよ!」
胸をそらし自慢げなご様子。
「流石お嬢様ですな~。」
「バックスさん?バカにしてませんか?」
「いやいや!そんなことありませんよ~。」
「むぅ・・・」
ジトッと目を向けるソラリアさんをのらりくらりとかわすバックス。
なんというか、最初に話したときから思っていたけど、面倒見がいいというか慣れているというか。
いなし方が上手いんだよね。
年下のきょうだいでもいるんだろうか。
僕らのグループ以外もわいわいとしてきたところでレイさんが部屋から出てきた。
「お待たせしました。それでは実技試験の会場へ向かいましょう。ついてきてくださいね。」
お読みいただきありがとうございました。
先週は体調悪くてグロッキーでした。
明太子の聖地は5月末天気が右往左往したせいで暑かったり寒かったりと大変でした。
皆さんのお住いの地域はいかがでした?
これから梅雨シーズンですし、皆さんも体調崩さないようにしてください。
それでは、これからもよろしくお願いします!




