第9節『試験その②』
どうも、もんたです。
お待たせしました。
それでは、どうぞ。
「きれい・・・。」
ソラリアさんの言葉に意識が戻る。
受付の人を見ると驚いているようで口が半開きだ。
「あ、あの・・・。」
「はっ!あっ、えっと、な、なんでしょうか?」
「まだ流す必要あります・・・かね?」
「あ、そ、そうですね。もう結構です。ええ。マルク様の属性適正は…恐らく水属性だと思います。魔力量も問題ありません。適正は5といっていいかと思います。」
結果が気になったのか、ソラリアさんが口を挟む。
「あの・・・。」
「はい。ソラリア様、どうかなされましたか?」
「えっと、マルクさんが5の評価なのは良いとして、青色から変化して、この色になっているんですよね?なのに水属性の適正なんですか?」
「はい。おそらくマルク様は水と土の2属性に適正がおありなのでしょう。この色は氷属性の魔法を使える方にでる特徴ですので。その中でも水属性のほうが土属性よりも適正が強いため、はじめは青色に変わったのだと思います。」
「なるほど。ありがとうございます。」
「いえ。それでは、お三方とも受付は終了となります。この後広場で簡単な式典の後、試験開始となりますので、左後方の通路を通って広場へ向かわれてください。途中途中で係りの者がおりますので、もし道に迷われた際は遠慮なくお尋ねくださいね。ソラリア様は観覧席の方へ向かわれますか?」
「いえ、お二人と一緒に式典に参加しますので。」
「かしこまりました。それではあちらから。次の方ー!」
観覧席というのは貴族や商人とかがお金を出して座る席のことで、いろいろと快適らしい。
一般の受験生やその保護者とかは基本式典中は立ちっぱなしだ。
さくさくと案内を聞いた後、二人と一緒に広場へと向かう。
「にしても、マルク。お前すげぇのな!」
少し前を歩いていたバックスが振り返り、後ろ向きで歩きながら話しかけてくる。
「バックス、危ないよ。それに凄いって何が?」
「何言ってんだよ!普通、属性適正なんて一つしかないんだぞ。俺は家柄もあってか土属性。ソラリア様は火属性だったしな。複数の属性適正を持ってるってのは凄いことなんだぜ!魔力量も多かったしな!」
「そういえばそんなもんだって本で読んだ気がするな・・・。でもソラリア様も複数適正がありますよね?」
「えぇ。でも、色は変わりませんでした。」
「ソラリア様も複数適正か~。流石は貴族様ってとこなのかね。すげぇ人らと仲良くなったもんだな。」
「ふふふ。マルクさん、凄いやつですって!」
「まぁ、ソラリア様は凄いですけど。――バックス前!」
「ん?っで!?」
「んおっ!?」
後ろ向きのままふらふらと歩いていたバックスはちょうど曲がり角から出てきた人とぶつかってしまった。
バックスは衝撃で前のめりで倒れてしまう。
相手は鎧をつけているみたいなので平気そうだけど・・・
「バックスさん!」
「あててて・・・」
「おいおい坊主。大丈夫か?きちんと前向いてあるかないとだめだぞ。」
ぶつかられた兵士の人が苦笑いをしながら手を差し伸べる。
バックスはその手を掴んで立ち上がると、勢いよく腰を90度に曲げた。
「す、すいませんでした!」
「お、おう?ずいぶん礼儀正しいな・・・ってバックスの坊主か?」
「今後は――って、え?」
「俺だよ。俺。いつも店にいってるやつ。」
「ん?あぁ!!タフィルさんじゃないですか!」
どうやら知り合いみたい。
「こんなとこで会うとはな。そういや、入学できる年になったんだったか。頑張れよ。と、後ろの二人はともだ・・・ち・・・か?」
タフィルと呼ばれた人はマットさんに近い体格をした、いかにも戦士といわんばかりの人だった。
マットさんの方が少し大きかったかな?
短く切りそろえた黒髪と顎鬚が特徴的。
装備は一般的なロングソードに小盾みたい。
そのタフィルさんは僕を見た後、ソラリアさんに目が移る。
それと同時に言葉が尻すぼみになったから気づいたんだろう。
「えっと、こっちはマルクで、こちらはソラリア様…って知ってるか。たまたま受付で一緒になってそのまま広場まで向かってるとこなんだ。」
「お、おう・・・。ソラリア様、ご機嫌麗しゅう?」
困ったようにあごひげをかきながら慣れてなさそうな言葉を言うタフィルさんに思わず吹き出しそうになる。
実際に吹き出したバックスは拳骨を食らっていたど。
タフィルさんと一緒に歩いていた女性の兵士さんもペコっと頭を下げた。
「お勤めご苦労様です。こちらの不注意でお手を煩わせてしまって申し訳ありません。」
「い、いえいえ!こっちも良く見てなかったんで良くなかったというか。怪我は無かったみたいなんで良かったというか。」
あたふたと受け答えしてる様子を見ているとタフィルさんたちが来たほうから聞いたことのある声がした。
「おーい、タフィルにイアルか?何油売ってんだよ。とっとと持ち場に移動しろ。」
「げっ。」
「なぁにが、「げっ。」だ。今年はソラリア様も入学予定ってこともあって、あちこちから貴族の坊ちゃん嬢ちゃんが来てんだ。いつにもまして気合入れろってさっき言ったろうに。」
「い、いや~。その対象がこちらにおわす、といいますか・・・。」
「は?」
「お勤めご苦労様です。マット騎士団長。」
「ん?」
曲がり角から現れたのは予想通りマットさんだった。
ソラリアさんの声を聞いて視線を下げると、鋭い目つきがいっぺん、まん丸と見開かれた。
「おっとお嬢様。こんなとこにいらっしゃいましたか。無事受付はおわったようで何よりです。」
「はい。マルクさんも私も良い評価をいただけました。バックスさんもですわね。」
「え。そ、そうですね。いや、そうでございますね?」
「お久しぶりです。マットさん。」
「おう。マルク君にドーマさんとこの息子か。試験、頑張れよ。・・・そうだ、マルク君、ちょっと耳を。」
「え?あ、はい。」
マットさんに手招きされて曲がり角の方まで歩いていく。
ソラリアさんとバックスは残っちゃうけど、タフィルさんたちがいるし大丈夫だろう。
「どうしたんですか?」
「いや、特にこれってわけじゃないんだけどな、さっき俺が言ったこと、覚えてるか?」
「貴族の~ってやつですか?」
「そうそう。どうやら、今回の試験にかこつけてなんとか御近付きになろうって魂胆のガキンチョどもが多いみたいでな。大人ならこっちで対応できるんだが、子ども相手となると俺たちが強く出るわけにもいかん。とはいえ、お嬢様に余計な虫が付くのは避けなくちゃならん。ということで、この際だし、きちんとマルク君に護衛を頼みたいんだわ。」
ガキンチョに虫って・・・
貴族に対してその表現はどうなんだろう。
まぁどこの誰って明言してなきゃいいのかな。
シャンドラさんもそこそこ口悪くなることあるし・・・
「それはシャンドラさんにもそれとなく言われているので気をつけていますけど・・・。何か起きますかね?」
「命の危険とかそういうのはいいんだ。俺らが身を挺して守る。ただ、お嬢様に近づいて政治の話に持っていこうとする家はそれなりにあるんだよ。シャンドラ様がこの街を上手く治めてるおかげで、利益も人気もある。その子どもと仲良くなって、あわよくば婚姻関係でも結べれば、おこぼれがくるんじゃないかって算段なわけだ。」
「うへぇ・・・。」
「な?面倒だろ?だからそういうがいち・・・ゴホン。胡散臭い男どもから守ってくれって話よ。マルク君ってばお嬢様の従者ってことになってんだろ?それなら上手く言いくるめてその場を退散したり、いざとなればお家の事ですから家主同士でのお話をとかなんとか言ってごまかせるはずだ。マルク君は知らないだろうが、そもそも異性の従者をつけるってのはそういった厄介払いの意味もあるんだぜ。」
「そうなんですか!?」
「ああ?・・・ちゃんと聞いてないのか?」
ぽかんとした後、にやっと笑うマットさん。
心なしか嬉しそうなのが納得いかない。
お読みいただきありがとうございました。
皆様GWは満喫されましたか?
先週は予約投稿していたはずが、設定日時を間違っていたせいで更新できていませんでした…
以後気を付けます(o_ _)o))




