第7節『試験に向かって』
どうも、もんたです。
お待たせしました。
それでは、どうぞ。
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結局目を覚ましたのは翌朝だった。
本当は事件があった日の夜にソラリア様の激励会(僕もついで)があったんだけど、出れず仕舞いだった。
これが屋敷の人たちだけの会ならよかったんだけど、ご近所様方を呼んでのパーティーだったので、正直でなくて良かったなとも思ってる。
ご近所様っていってもそのへんのおばちゃんたちなわけがなくって。
当然、領主様の娘の応援になる会だから集まるのは貴族ばっかり。
貴族の人たちとの接し方なんてなんとなくしかわからないし、何をしゃべればいいのかわかんない。
マリアンヌ様はせっかく衣装を用意したのに!とお怒りだったし、ソラリア様はソラリア様で僕がいなくてつまらないと愚痴っていたとシャンドラさんから聞いた。
そんな暴露を目の前でされたソラリア様は真っ赤になって反論してたけど。
そんな賑やかな朝を迎えた今日は学園の入学試験の日。
これまで準備してきたことを出し切って、合格しなくっちゃ。
みんなからは気負わなくていいとは言われてるけど、ここまでお世話をしてもらったわけだし不合格になるわけにはいかない。
屋敷からソラリア様とシャンドラさんと一緒に馬車で向かう。
「さて二人とも、今日は待ちに待った入学試験の日なわけだけど、準備はできているかな?」
「もちろんですお父様!必ず合格して見せます!」
「うん。期待してるよ、ソラリア。マルク君はどうかな?体調は戻ったかい?」
「はい。流石に本調子とはいかないですけど…魔法も問題なく使えましたし、平気だと思います。」
「そうか、いい返事が聞けてうれしいよ。もう少しで学園に着くし、今日の流れをおさらいといこうか。」
「まずは試験の受付をしてもらわないといけない。ソラリアは貴族コースと魔術師コース、マルク君は冒険者コースに魔術師コースだったかな?」
「はい。」
「二人一緒に魔術師コースに受付しに行くといい。一ヵ所で複数のコースの受付が出来るからね。受付を終えたら広場に集合。僕と学園長から簡単な挨拶がある。それさえ終わってしまえばあとは試験を受けるだけだ。受付の時に番号の書いてある板を貰うはずなんだ。係員がその番号ごとに案内することになるからそれに従うように。基本的には筆記と実技の二つ。貴族コースは礼儀作法とかもあったかな?まぁ二人ならなんなくこなせる内容ばかりだから心配してないよ。…っと、話してる間に到着だね。」
順番に馬車から降り、周りを見渡すとあちこちに同じ年齢くらいの子が見える。
種族もバラバラ。
割合的には人族7割、亜人が3割といったところかな?
フリオニール家の紋章が入った馬車からでてきた僕に視線が集まる。
すこし居心地が悪いなと思っていると、僕と周囲の間にセバスさんとシャンドラさんがすっと割り込む。
「ソラリア様、マルク様。我々はこちらにていったん失礼いたします。受付はあちらということです。」
セバスさんが伸ばした手の先にはずらっと並ぶ長い列が見えた。
「まぁ!人がいっぱいですね!」
「そうですね…少し時間がかかりそうだな。」
「魔術師コースの受付は一番奥となっているそうですが、式典までは十分に時間がありますのでご心配なさらず。後ほどお迎えに上がりますので、試験が終わられましたらお手数ですがこちらの乗車場までお越しいただけますか。」
「わかりました。セバス、連絡はどうしたらよいかしら。」
「早めにこちらに参るように致します。万が一迎えよりも早く終えられるようでしたら衛兵にその旨お伝えください。それと手筈は整えておりますので。」
「わかったわ!そうと決まれば早く受付を終えてしまいましょう!マルク様、行きましょう!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「お気をつけて。」
ソラリア様にぐいぐいと引っ張られていく僕を深々と礼をして見送ってくれるセバスさんと手を振るシャンドラさんの顔には苦笑が浮かんでた気がする。
「さて!列に着いた訳ですが、これってどれくらい待つんでしょうか。」
「えっと、受付って名前を書くだけでしたっけ?それならばすぐに順番が来そうですけど。」
「確か名前と希望のコースを書いて、簡単な魔力診断?があったはずです。」
「魔力診断?」
「はい。どんなのだったかは忘れてしまいました。すいません…」
「い、いえ!僕があらかじめ調べておくべきでしたね。」
しょんぼりしてしまったソラリア様を慰めてると後ろから声がかかった。
「魔力診断ってのは希望するコースに入るだけの最低限の力があるかどうかみるってやつだよ。」
「え?」
突然の声にふり返ると、日の光を浴びて輝く金髪を短く切りそろえた少年が眠そうな顔をして立っていた。程よく筋肉のついた肌は少々日焼けしていて、腰には護身用なのか木刀が刺してある。
「えっと…?」
「ん?あぁ、どこのどいつだって顔だな。俺はバックス。親父は街で鍛冶師をしてるんだ。【クァンテの金槌】って店よ。自分で言うのもなんだけどそれなりに有名なつもりだぜ?んでお前は…ってアレ?横にいるのはもしかして…」
「あ、えっと僕はマルクです。それから――」
「まぁ!【クァンテの金槌】ということはドーマさんの息子さんですの?ご存知かもしれませんが、私、フリオニール・ソラリアと申します。バックスさんのお父様たちにはいつも兵士たちの武具を整えていただいて感謝しておりますわ。」
スカートの裾を持って軽く膝を曲げて挨拶をするソラリア様。
自然とでてくるこういうそぶりを見るとお嬢様なんだな、って思うよね。
顔に出ていたのか、ソラリア様と目が合う。
「マルクさん、なんだか失礼なことを考えられてませんでしたか?」
「い、いえ?そんなことありませんよ。」
「怪しいです。」
ジトっとした目でソラリア様が覗き込んでくる。
助けを求めてバックスの方を見ると何やら慌ててる様子。
「な、な…し、失礼しました!ソラリア様と気づかなかったとはいえ不躾な態度をとってしまい…!」
バックスの変わりようにぽかんとしてしまう僕。
あぁ、そうもなるか。
領主様の娘に思いっきり友達に話すような感じだったもんね。
「あら、お気になさらないで。分からなかったのなら仕方ないですもの。後ろ姿だけでしたしね。それよりも、魔力診断のことご存知なら教えていただけませんか?」
この上目遣いのお願いを断れるのかな?
あ、無理そう。
「か、かしこまりました!え、えっと、魔力診断といいますのは…」
「ふふっ。」
「へっ、はっ。も、申し訳ごじゃいません。」
あ、かんだ。
「あははは!」
「あっ!いえ、あの、も、申しわけ――」
「あはは!大丈夫ですよ。」
「へっ?」
思い切り笑って目に浮かんだ涙をぬぐいながらソラリア様が言う。
「さっきみたいなしゃべり方で問題ありませんよ。少なくとも私は気にしませんし、こちらのマルクさんも特段丁寧な話し方なんてされませんし。ね、マルクさん。」
「え?いや、僕はそれなりに気を付けてるつもりなんですけど…」
「それなり、ですもの。」
「ま、まぁ…」
「ふふふ、冗談ですっ。そういうわけで、バックスさんも普段のままで構いません。」
「は、はぁ。ソラリア様がそう仰るのであれば…」
「それでは…えっと魔力診断は簡単に言うと、自分が希望するコースに入れるかどうかを確認するためのものになります。ただ、この診断の結果が悪いからといってそのコースに入れないってわけじゃないです。1~5までの5段階評価。4,5の評価が出れば、そのコースでの成功間違いなしって感じですね。まぁただ、魔力診断の結果がそこまで良くなくても最終的に選択したコースで上手くいくこともありますんで、そこまで当てにならないって意見もあります。うちの店のワイテとかもそうっすね。」
「ワイテさん?って人は結果が良くなかったの?」
「ああ。ワイテさんはうちの二番手なんだけど、学園の専門職コースに入るとき魔力診断の結果は2だったんだ。でも学園を卒業する時には同じように鍛冶師を目指してた中で一番腕がいいって評判になってさ。学生時代うちで修行してたのもあってそのまま雇われてくれてくれてるんだ。後輩たちの面倒もよく見てくれて、俺も何度もお世話になってるんだ。」
「へぇ。」
「素晴らしい方がいらっしゃるのですね。お世話になった、ということはやっぱりバックスさんは学園で鍛冶師専門ということですか?」
「あー、そのつもりだったんですけど、学園では魔道具作成の勉強をしようかと。」
「「魔道具?」」
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