第5節『事情聴取その2』
どうも、もんたです。
おまたせました。
それではどうぞ。
「はい、わたくしも初めはその可能性を考えたのですが、部下によれば詠唱は聞こえたそうなのです。ただ、聞こえ方も奇妙でして…」
「「聞こえ方?」」
シャンドラさんと疑問の声が被った。
「はい。」
「どうやら、マルク様が詠唱しているのは魔力の高まり等から確かであるのに、声はもっと違うところから、私の部下が聞いたものをそのままお伝えしますと、まるで頭の中に直接聞こえるようだった、ということでございました。」
「へぇ…?」
シャンドラさんはぼそっとこぼした後、続きを促した。
「私もそのような詠唱は聞いたことがなく…。いえ、正しくは人間では聞いたことがありません。」
「人間では…?」
シャンドラさんが面白そう、という顔で見てくる。
僕がぎこちなく首を横に振るとわかってると言わんばかりに頷いた。
「わかってるよ。セバスもそうだろ?」
「はい。無論にございます。私や他の使用人などにも心穏やかに接していただけるマルク様のことですから。」
いつも通りの優しい表情でほほ笑んでくれるセバスさん。
「いえ、そんな…それより、「人間では」ってことは人間以外ならあるってことですか?」
「はい。高位の精霊や龍種などの中には念話にて会話や詠唱を行うものがいると聞いたことがあります。大変昔ではありますが、私が若い頃龍種と対峙したとき、その龍は念話で会話をしてまいりました。」
あ、じいちゃんの感じかな?
それならわかるかも。
というかセバスさんは龍種と戦ったことがあるのか…
すごいな。
「その時のことを考えればマルク様も念話のようなものを使用していたのかもしれませんね。何故どのように、というのはわかりませんが…。」
「ですので、詠唱自体は聞こえたようですが、何分ほとんどの者がパニック状態で内容を覚えておらず。かろうじて判明したのは、『深淵』と『業火』というキーワードのみです。ただ、こちらも冒険者の聞き間違いということもありますので確実ではございません。…今現在分かっている情報は以上となります。お役に立てず申し訳ありません。」
「そんなことないです!ありがとうございます。」
「ふむ…聞き取れたキーワードは重要かもしれないね。僕も知り合いの魔法使いに聞いてみよう。」
シャンドラさんは以上、と言わんばかりに手を鳴らして立ち上がった。
「よし!少し話過ぎたね。ここらで切り上げよう。マルク君、起き抜けにすまなかったね。ゆっくり休んでくれ。明日は学園の入学試験だからね。」
その言葉を聞いてくらっときた。
今日は結局何もできなかったし…
「そうでした…!大丈夫かな…」
「大丈夫。マルク君なら心配ないよ。今日はとにかくゆっくり休むことが大切だ。何かあればベルを鳴らしてくれ。メイドかセバスが駆け付けるから。」
「はい。マルク様もお疲れだと思います。些細なことでも結構にございます。ご遠慮なく呼びつけてくださいませ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「それじゃあね。」
シャンドラさんは後ろ手に手を振りながら部屋を出て行った。
その後ろからセバスさんが出ていくのと入れ替わりでメイドさんが入ってくる。
軽く掃除をして、水差しの中を取り換えるということだったので、特に気にしない。
初めの頃はこういったことにいちいち反応してたりしたけど、なんとも思わなくなったし慣れたってことなんだろうな。
貴族の生活に慣れるっていうのもどうかと思うけど。
それより、『魔法みたいなもの』か…
全く記憶にない。
じいちゃんのおかげで魔法はそれなりに使えると思ってるし、さっきシャンドラさんとセバスさんに伝えた魔法も氷属性魔法の中でも難易度の高い部類の魔法だ。
…正直デフィーのサポート無しに使いこなせるかというと難しいけど。
そういえばデフィーが静かだな。
僕が気絶したのに慌てて出てこないなんて…
シャンドラさんたちには知られてもいいかなと思ってるけど、マズいと思って黙ってくれているならそれはそれで助かるんだけど。
ダリアさんは無事だっただろうか。
そういえば、もう一人殴られた人がいたような気もするんだよね。
どうだったっけ。
そんなことを考えているうちに眠気が襲ってきて、あらがう間もなく僕は目を閉じた。
お読みいただきありがとうございます。
本日は切りがいいところがなく短くなってしまいました。
次回皆様期待しているデフィーの登場です。
おたのしみに。




