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竜の薬師  作者: もんた
第2章 学園編-前編
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第4節『事情聴取』

どうも、もんたです。

お待たせいたしました。

 

 シャンドラさんはその言葉に思いのほか驚いたのか、目を見開いた。





「おや、意外だったな。あの狼たちは従魔じゃなかったのかい?」

「えっと、一番大きなグランっていう狼だけ、かあさんの従魔です。あとはただ飼ってるだけなんです。懐いてはくれていますけど。」

「狼たちは頭が良いからね。グランがリーダーなんだろう?リーダーが従うのなら群れの仲間も従ってくれる。でもそうなると召喚魔法の線はないわけか。…マルク君、氷属性の魔法は使える?」

「使えます。それなりに訓練もしているので中級クラスの氷属性魔法なら問題ないです。」





 納得したように頷くと、シャンドラさんはセバスさんに目線を飛ばす。

 でも、セバスさんは軽く首を横に振った。





「いいえ。あの感じは間違いなく上級以上の魔法による圧だったと思われます。無論、マルク様が優れた魔法使いであり、オルガ様からの指導を受けられているということも踏まえておりますが、それでもあの圧力は中級魔法では出しえないかと。」

「僕もそう思うよ。現場にいたわけではないけれど、屋敷に着いた時のセバスの慌て様に先ほどの話。

 双方を含めて考えてもそうやすやすと使える魔法のレベルではなさそうだ。それにそもそも、魔法ではない可能性もあるわけだしね。…さて、どうしようかな?」


「どうしようかな、っていうのは…?」

「ん?あぁ、ギルドへの説明だよ。魔法を使ったとは言えない。()()()()()()ってレベルだしね。たとえ魔法だったとしても示威行為って具合だね。実際には魔法使っていないんだから。それに悪いのはどう考えても相手側。マルク君もダリアも手はだしてないんだ。そのあたりの証言は他の冒険者からも取れるだろう。」

「とはいえ、セバスが感じた寒気?圧力?の説明は必要になるだろう。マルク君がやった、ということになっているだろうからね。念のため確認なんだけど、その魔法のような力に関してわかることは?」





 さっきまでの真面目な表情からいってんして朗らかに笑って問いかけてくる。

 セバスさんもシャンドラさんの顔は見えないものの、声の雰囲気を感じ取ったのか表情が柔らかくなった。





「それが…話を聞いていて思い出そうとしてみたもののさっぱりわからなくて。」

「気絶で記憶飛んじゃった?」





 シャンドラさんはにやっと笑いながら僕とセバスさんを交互に見る。





「そうだと致しましたら処罰は如何様にでも。」

「ち、違います!大丈夫ですから!!」

「あはは。」




 冗談か本気かわからないほどに表情を変えずにセバスさんがいうのでびっくりしてしまった。

 シャンドラさんがにやにやしているので絶対からかってるな。





「マルク様の寛大な処置に感謝いたします。」

「い、いえ、本当に大丈夫ですから。…記憶はあるんです。ただぽっかりと穴があいている感じというか。」

「さっきダリアが吹き飛ばされたところまで話したっけね。そのあとはどんな風に覚えてる?」

「ダリアさんが飛ばされて、レオルドさんが駆け寄ってくるのが見えて。それからグローって人がダリアさんとかかあさんとかを馬鹿にするようなことを言ったのにイラッとしたんです。そこから先を全然覚えてなくて、気づいたらここに…」


「なるほど…その冒険者がオルガさんのことを知っているはずはないから、適当に悪口を言ったということだろうね。まぁ中身は最悪だろうが。」

「えぇ、会話内容に関しても周辺の冒険者に聞き込みをしておりますので、本日中にはわかるかと。」

「わかった。報告書になってくるんだろう?確認するよ。確認した所で処罰は変わらないけど。」


「処罰って…?」

「あぁ、そのグローって冒険者とその仲間に関してさ。ギルド内での暴行は重罪だからね。しかも相手はこの街を拠点にしている高ランク帯パーティーの一員ときた。さらに…」

「さらに?」




 シャンドラさんは口元をゆがめる。




「領主が預かっている人物に対する暴言に暴行未遂、さらにその親を貶めるような発言といくらでも積み上げられるよ。」





 そういった後肩をすくめてため息をついた。





「ま、今回の件以外にも他冒険者に対する暴力、店舗に対する代金の未払いにカツアゲ、喧嘩の常習犯と色々と報告が上がってきていてね。せっかくだからあちこちと聞き込みをして彼らの罪状を洗いざらいきっちりさせるつもりさ。おまけ、といってはなんだけどほかにもよろしくない冒険者たちをしょっぴくよ。僕の街にそういう輩は不要だ。」




 そう言い切ったシャンドラさんの表情は冷たく、なんの感情もないみたいだった。




「さて、そしたらマルク君の疑いは晴れそうだね。セバス、任せていいよね?」

「承知いたしました。」





 満足そうに頷く二人。

 ちょっと待って、聞き捨てならない会話だった気がするんだけど。






「ちょ、ちょっと待ってください。疑いって…?」

「ああ、その話していなかったね。さっきのセバスの話にあるように、『マルク君が魔法を使った疑い』がかけられているんだ。基本的に今回の件は相手が悪いでいいんだけども。ただ、ギルド内で意図的な無許可状態での魔法行使は規約違反。正当防衛とはいえ、魔法の規模が大きかったようなのでどうなのって感じだったんだけど…今の話を聞いて魔力の暴走ってことで片付けられそうだ。ダリアが暴力を振るわれ、さらに身内に対して暴言を言われたことで魔力が暴走。その魔力暴走をセバスが止めて、ちゃんちゃんって流れでいこう。」

「魔法か…セバスさん、僕は何も覚えていないんですが、何かわかったりしますか?」





 扉の鍵を開けていたセバスさんは振り返って首を傾げる。





「そうですね…私が見ていたのはほんの瞬間ですので細かいことはわかりません。先ほどの話と重複いたしますが、肌の感じ、周囲の状況から氷属性の魔法が使用されていると判断致しました。また、魔力の集まり具合からその魔法が大規模であることも予測できましたので、少々不安もございましたが即座に中断させるように致しました。ここから先は私の部下が事件時ギルド内にいた冒険者に聴取した内容となりますので、事実と異なる可能性も少なくないということだけご容赦くださいませ。」


「はい。」

「それでは。」


「話によれば、マルク様はダリア様が殴られたのち、グローという冒険者に胸倉を掴まれたそうです。その時にマルク様の雰囲気が変わった、とのことでございました。グローとマルク様は何か会話しているようだったが、周囲の冒険者には何も聞こえなかったようです。マルク様は解放されたあとで魔法の行使に踏み切られたようですね。長い詠唱を行われたようですが、詠唱が必要かつ氷属性の広範囲魔法を何か覚えてらっしゃいますでしょうか。」





 セバスさんの問いに何故かシャンドラさんが楽しそうな表情でみてくる。




「どうなんだい、マルク君。」

「えっと…。詠唱な必要な魔法はいくつか覚えてますけど、氷属性となると…≪ソフィリトス≫ですかね。ただ覚えてるだけでちゃんと使ったことがあるのは一度だけですし、じいちゃんにも使用は控えるように言われてるし…」




 セバスさんがいつもは細めの目をカッと見開いた。

 シャンドラさんは栓が抜けたように笑いだす。



「あはははははははは!!!さすがマルク君!我々の予想なんてあてにならないね!…あははは!」

「えっ、えっと…?」

「ははは…ごめんごめん。悪い意味じゃないんだ、セバス!」

「…ハッ!大変お見苦しいところを失礼いたしました。いえ、まさかその名前が出てくるとは思っておらず…おみそれいたしました。ですが、確かにその規模の魔法であればあれだけ魔力が集まることも理解できます。しかしそうなると何故パラメ様が分からなかったのかが気になるところではございますね。」


「パラメさんは氷属性の魔法が使えるんですか?」

「詳しくはわかりませんね…冒険者は自分の手の内を隠すのが常でございますので。ですが、少なくともパラメ様は上級までの魔法であればどんな属性の魔法であっても詠唱から効果まで覚えていると以前仰っていました。≪ソフィリトス≫であれば、詠唱を聞いたときにお分かりになるはずです。」

「なるほど。でも声が聞こえなかったのなら仕方ないんじゃないかな?さっきマルク君の声はグローって冒険者たち以外には聞こえていなかった様子だと言ってなかったかい?」


「はい、わたくしも初めはその可能性を考えたのですが、部下によれば詠唱は聞こえたそうなのです。ただ、()()()()も奇妙でして…」


「「()()()()?」」







お読みいただきありがとうございました。

プロットを大幅に修正したため、先の書き溜めていた分がパーとなりました。

頑張って書いてまいります。


評価ボタン、ブックマークもありがとうございます。

今後もよろしくお願いします。

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