第2節『一騒動』
どうも、もんたです。
続編の投稿です。
冒険者ギルドを出て行こうとする冒険者たちにぶつからないようにして中へ入っていく。
朝と言うこともあってクエストを受けようとする冒険者で大賑わいだ。
クエストの張り紙のある壁の方は冒険者がぎゅうぎゅう詰めになってる。
ちらっと右側を見ればダリアさんたちがテーブルに座って喋っているのが見えた。
向こうも気づいてくれたみたいでダリアさんがこっちにこようとするが――
「邪魔だクソガキ!!」
ドン!!
「でっ!!??」
突然後ろから突き飛ばされ、床に思いっきり身体を打ってしまった。
顔をおさえた手に血がついている。
どうやら口を切ってしまったみたい。
「いたたた・・・」
「ちょっ!!マルク君!?お前らにゃにするにゃ!」
「あぁん?このクソ忙しい時間帯に入り口付近でボーっとつったってるそこのガキが悪いんだろうが!」
「ガキはおうちでママのおっぱいでも吸ってな!」
「それともてめぇがママか?ガキには耳がねぇけどよ!」
「孤児院とかで拾ってきたガキなんじゃね?」
「「「ギャハハハ!!!」」」
「は、はぁ~!?ふざけるのもいい加減に・・」
僕をかかえてた手を離して腰の剣に手を伸ばそうとするダリアさん。
僕も今結構イラッときたけど、ダリアさんのそれはやばい。
冒険者ギルドに限らず、どのギルドでも建物内で武器を構えるのは罰則扱いになる。
勿論、警備兵や正当防衛との例外はあるけど、この場合は完全にダリアさんが悪くなる。
相手はまだ武器を抜いてない。
僕を突き飛ばした奴の後ろにいる男はそれが分かってるからニヤニヤしてる。
ムカムカするなぁ。
言葉は悪いけど、バカにされたから切りました、が通じるのは貴族だけだ。
それもひどいとは思うけど。
「ダ、ダリアさん。落ち着いて。確かに言い方はアレですけど早く脇に行かなかった僕も悪いですから。」
「マルク君!?」
「ほれみろ。ガキが平気だって言ってるじゃねぇか。関係ねぇやつはひっこんでろよ。」
「おい、グロー!」
「あぁ?」
僕を蹴飛ばしてきたグローと呼ばれた男は仲間の声に振り返った。
「言ってたクエスト、無くなってたぞ。受付に聞いたら他のパーティーが持ってったとよ。」
「はぁ!?他にもいくつかあったろ!いつも受けてたボア狩りもねぇってのか?」
「残ってたのはベアラビットだけだったな。そこそこ稼げるがちと手間だ。ボア狩りはこの時期肉が美味いから別クエストでも出てる。他の冒険者もがっつり狙ってくるからいつもより報酬下がってるぜ。昨日事前に言ったろ?忘れたか?」
ダリアさんのような斥候風の装備をした男が呆れた風に言う。
どうやら狙ってたクエストがあるらしい。
この時期は森でも薬草が良く採れるし、木の実とかも多い。
そうなるとそれを餌にする小さい動物や魔物が増えて、さらにそれを餌にする大きな魔物も当然増える。
当然、薬草採取や討伐系の依頼が増えるので、冒険者には稼ぎ時になる。
僕はまだランクが低いので討伐依頼は受けられないけれど、他クエスト実施中に仕方なく討伐した魔物に関しては素材の買い取りをしてくれるので、たまに活用してる。
「ちっ!おいクソガキ!てめぇのせいで稼ぎそこなったじゃねぇか!どうしてくれる!」
「え?僕・・・?」
「他に誰がいんだよ!てめぇがボーっとして俺らの邪魔をしたせいでクエスト余所に取られちまったんだぞ!お前のせい以外の何ものでもねぇ!損した分支払ってもらうぞ!!」
「おいおいグロー…」
「えぇ…」
なにそれ・・・
斥候風の男の人もびっくりした顔をしてる。
「馬鹿言ってんじゃにゃいにゃ!そんなに狙ってたクエストにゃらもっと早くギルドに来れば良かったのにゃ!おおかた昨日飲みすぎて寝坊でもしたんにゃろ!」
「ああぁ!!?関係ねぇやつはすっこんでろって言ったろ!女ごときが口出しするんじゃねぇ!」
グローは思いっきりダリアさんを殴りつけた。
不意な出来事に僕はもちろん、ダリアさんも反応できず、ガードもなしにもろに食らってふっとんだ。
その先にあったテーブルにおもいっきりぶつかり、テーブルは割れ、あたりに皿やコップが飛び散る。
視界の先でレオさんたちが駆けつけているのが見えた。
「きゃぁぁああ!!!」
「おいおい!!」
「やりすぎだバカ野郎!」
まわりが騒いでる。
――こいつは何をやってるんだ?
「うるせぇんだよ!外野は黙ってろ!おいクソガキ!!」
――なんでダリアさんが殴られたんだ?
「いっちょまえに無視してんじゃねぇ!金払えって言ってんだ!親でもなんでも呼んでこいや!!」
「おい!こんな小さい子に怒鳴り散らしてんじゃねぇ落ち着けよ!」
近くにいた冒険者がぼくをかばおうと前に出てきたがその人も問答無用で殴られている。
当たり所が悪かったのか倒れて動かない。
――どうしてこいつが偉そうにふるまっている?
グローが僕の胸元を掴んで叫ぶ。
「てめぇのクソ親つれてこいっていってんだよ!!聞いてんのか!!」
――――――
「―――た?」
「ああぁん?」
「―――言った?」
「ビビッて口もまともに聞けねぇか?きちっとしゃべれや!」
『今、何ていった?』
――こいつはダリアさんに手をだしただけでなく、かあさんまで馬鹿にした。
――許さない。
「なんっ・・・だっ・・・?」
「ひいぃぃぃっ!」
『聞こえねぇのか?もう一度問う。今、何ていった?』
さっきまで聞こえていたはずの周りの音が何も聞こえなくなった。
僕を掴んだままのグローの目を見つめて喋り続ける。
後ろで騒いでたグローの仲間の一人は座り込んでしまってる。
『邪魔だ。おろせ。』
「あ・・・」
顔から脂汗を流しながらゆっくりとグローが僕をおろす。
口は半開きのまま。
変な顔だ。
気持ち悪いな。
『ナゼ、ダリアさんを殴った?』
(マルク…?)
「ひっ・・・」
『答エろ。なぜだ?』
「そっ…がっ…」
『かあさんヲ馬鹿にシたナ?』
(ちょっと、マルク?)
「あっ・・・ああっ・・・」
――自分が何を言っているのかわからない。
何か声が聞こえる。
ただ、視界ははっきりしている。
今もグローが後ずさってるのが見えているし、後ろの男の股の辺りが濡れているのもわかる。
周囲を冒険者たちが囲っている。
――――目の前の男を殺さないと――――
そう思うのに指を動かそうとしても動かない。
――本当にそう思ってる?
ダリアさんが心配なのに首も回らない。
まるで自分の身体じゃないみたいだ。
『答えロよ。』
(!?誰よあんた!!)
「ゆっ・・・ゆるっ・・・」
後ずさりで逃げようとしてるやつがいる。
逃がすわけないダロ。
「――≪跪け≫――」
(きゃっ…)
「ガッ・・・!?」
「なん・・・だぁ・・・!?」
「身体が・・・」
グローとその仲間が膝から崩れ落ちる。
周りの冒険者の中にも何人か膝をついてるのがいる。
――面倒だ。
グローたちに向けて手をかざす。
―――コロセ。
――いいのか?
(だ、ダメよ!)
『罰ヲ与エル。裁キヲ。』
「雨土固まり氷天と化し――」
(ダメダメダメ!!)
魔方陣が広がる。
「な、なんだあれ!」
「しるか!やばいんじゃねぇか!?」
「ね、ねぇ、寒くなってない?」
「ん?そうだな、少し肌・・・寒い・・・?」
周りの温度がゆっくりと下がっていく。
―――コロセ。
(どうして止まんないの!)
「天地悉く凍土と化す。深淵に続く――」
自分の知らない詠唱がすらすらとでてくる。
頭がぼーっとしている。
――僕は何をしてるんだろう。
「い、今・・・深淵って・・・」
「なんだ?やべぇのか?」
「やばいどころか、みんな死んじゃう!早く逃げて!!」
「はぁ!?」
うるさい。
全員しんじゃえば良いんだ。
(お願い目を覚まして!!)
―――コロセ!!!!
「・・・・・・業炎、反転し――「失礼いたします。」」
「!?」
そこで、視界が真っ暗になった。
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