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竜の薬師  作者: もんた
第1章 始まり
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わき道―その5

どうも、もんたです。

次回、第一章のまとめ(人物とか用語とか)をしようかなと。



それではどうぞ。

 


 ドラコニア視点




「ふむ・・・。」





 無事修行も終わり、マルクをオルガの家に送り届けた。

 小屋に戻ってくれば、ついさっきまで可愛い孫がいたことを思い出し嬉しくなる。

 まぁ…もうおらん、と思えば寂しくもあるが。





「まったく、この小屋で誰かと過ごすとは夢にもおもわなんだ。」




 元々この山小屋はのんびりと一人で暮らすために拵えたもの。

 人の街で暮らしたことも当然あるが…

 ややこしいことにばかり巻き込まれるのにうんざりしてしまった。

 初めの頃はオルガの小屋で一緒に暮らしておったものの、どうしてもわし目当てに小屋を訪ねてくるものが後をたたん。

 いったいどこで情報を得ておったのか…


 それを避けるべく、さらに大森林の奥地にきてやっと静まった。

 オルガの小屋にやってくる者は後をたたんかったようじゃが、わしに繋がらんとなると諦めていくやつが多かった。

 そうしてやっと平穏な暮らしを得ることが出来た。

 悠々自適な一人暮らしにも、もう慣れたもので片付けはすぐに終わる。

 といっても魔法で楽をしておるから当たり前なんじゃが。





「《ウィスクル》《クリーン》《ウォーム》」





 弱い風を起こす魔法で、埃を吹き飛ばす。

 水属性の魔法で汚れを落とし、風と火属性を合わせた魔法で温風を起こし、乾かす。

 あっという間に掃除終了じゃ。




「うむ。ばっちりじゃの。」





 面倒な掃除はさっさと終わらせるに限る。

「ちょっとばかし面倒じゃな。」と思ったことはすぐにやらねば、後々さらに面倒になる。

「ちょっと」と思った時が事を為すぎりぎりのタイミングじゃな。




「さて・・・」





 面倒事をさっと終わらせたのは大きい。

 今日という日を有効に使うことができる。


 とはいえ、することは特に無いな。

 小屋の本は読み終わっておるし、食料の調達もいらん。


 ひとまず茶でも飲もうと湯を沸かし、茶を蒸らす。

 ほどよい温度までならしてカップに注げば、ふんわりとした香りが鼻をくすぐる。






 マルクくらいの頃は魔法を学ぶことが楽しく、毎日が発見の連続じゃった。

 成人してからは気の合う仲間たちと各地を旅し、腕試しにとダンジョンにもぐり宝を見つけては喜んだ。

 何より時折見つかる魔道書は、いつも新鮮な学びを与えてくれた。


 しかし、ひょんなことから仲間たちを別れることになった。

 魔法への探求心が暴発していたわしは無謀にも一人で旅を続けた。

 その途中立ち寄ったとあるエルフの里でオルガを見つけた。


 であったときのオルガはまだまだ少女といったほうが良い雰囲気ではあったが、里の慣習である《龍の巫女》という役割を担っていた。

 生涯をかけて、里にある祠に封じられた龍の封印を守るという大役であり、素直に感心していたが、ふたを開けてみればただの生贄だったとは。

 わしが封じられていた龍と契約して飛び出したおかげ(せい、ともいうが)でオルガは巫女としての役割を解かれ、数年した後に里を飛び出した。




 その間、わしは身体に宿した龍の力を御すべく訓練と魔法の習熟に明け暮れながら、高難易度と呼ばれるダンジョンに潜り続けた。

 攻略したかったというのもあるが、一番は龍の力が暴走する危険があったから。

 なんのストッパーも無く龍の力が暴発すれば、おそらく小国の一つや二つは地図から消えていたじゃろう。

 あれは今思えば英断であったと思う。



 数年をダンジョンで過ごし、無事龍を御しきったわしが再び各国をふらふらといる時に、オルガに再開。

 オルガはわしを覚えておった。


 わしは・・・すまん、忘れておった。


 オルガは、巫女の役割、つまり生贄から解放してもらえたと言ってついてきた。

 二人で一緒に各地を転々とし、世の中を賑やかした事は話すに事足りん。

 ・・・なんど怒られたかのぉ。

 ほっほっほ。




 あるとき、オルガの願いを受けてちっとばかし遠出をしていた帰り。

 その日は久しくなかったほどに雨が強かった。


 ここ、サドニア王国は比較的雨が少ない。

 温暖期、雨期、乾期、寒冷期と大雑把にわけられており、雨が降りやすいのは雨期と寒冷期の期間。

 確かあの日はもうそろそろ雨期が終わるかといった時期じゃったか。



 その日、マルクを拾った。

 魔物に襲われそうになっていたところを救ったんじゃが、あれはほんに気まぐれ。

 さらにオルガが育てる、といったのも気まぐれじゃったろう。

 ああいったのも運命と呼ぶのかもしれんが・・・



 あの時、オルガはマルクに夢中じゃったからきっと気づいてはおらんかったろう。

 母親と思われる女の手元にあったペンダントの中には。

 そこにはマルクの父親と母親の名前、そして、その両親が名づけたであろうマルクの本当の名前が刻んであった。




 馬車の形式と母親、父親の服装からみて恐らく貴族の子。

 ただ、貴族の男が自ら剣を振ることは少ない。

 やつらの大半はペンと金しかにぎっておらん。

 口ばかり達者でなんの役にもたたん連中ばっかりじゃ。

 全く、日々の研鑽というものの大切さをなんにもわかっておらんのだ!

 んんっ。



 マルクの父親は魔物に大怪我を負わせていた。

 力及ばずではあったが、アレはジェノタイガーという高ランクの魔物。

 通常ならぱ騎士団がまとめてかかったり、冒険者も腕の立つものが複数でパーティーを組んで万全の環境で相手取る魔物。

 それを一人で相手どり、大雨で環境は最悪の中あれだけ追い込んだ腕は相当なものじゃ。



 マルクを拾った頃、人の街にでていろいろと情報を集めていた。

 そしてマルクの両親の名前を知り、冒険爵を授かっていたことを知った。

 小さめな領地ももっていたようだったが、親の死後、隣の領地に吸収されたようじゃった。

 位置としてはフリオニール領の北方にあるシサウ領に統合されておる。

 調べておるうちにいろいろと気になることはあったが…あえてマルクに言わずともよいじゃろう。

 これから新しい暮らしが始まるというのにわざわざ心乱す必要もあるまいて。

 とはいえ、ほかならぬ両親のこと。

 何かのタイミングでゆっくりと教えてやる必要はあるとは思うが…




 ぼーっと考えている間にせっかくいれた茶が冷めてしまった。

 カップの中身を飲み干し、まだほんのりと温かいポットから注ぐ。




「さぁて、今日は何をするかのぉ。」





お読みいただきありがとうございました。


前書きにも書いたように、次回簡単な登場人物紹介をしたのち第二章に入ろうかなと思います。

こうご期待、とさせてください。笑



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