第29節『薬師、再会する』
どうも、もんたです。
またまた間が空いてしまいました。
すいません。
それでは、どうぞ。
――――ザッ
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(かかったな。)
奥のほうでごそっと音がした。
じいちゃんにならった魔法が上手くいったみたい。
狼たちの警戒範囲は狭くない。
でもそれは大人の狼の話。
あの三匹はまだ子どもだし、そこまで警戒範囲は広くない。
万が一にと備えて準備をしていたのがよかった。
僕らの警戒範囲の少し先に、魔力をおしかためて作ったダミーを生成しておいた。
竜魔法《陽炎》
魔力を制御してぎゅっとおしかため、偽の魔力反応を一時的に用意することができる。
《サーチ》のような探知系の魔法をごまかすための竜魔法。
じいちゃんは竜の姿で偽物を作っていた。
偽物で動かないとはいえ、竜に全方位囲まれたのは全くいい思い出じゃない。
ちなみに僕は狼たちをモデルに魔法を使ってるので、ダミーは狼型。
《陽炎》の効果は単純で地味だけど、相手をごまかしつつこっちが索敵出来るというのは、森や洞窟という狭い空間ではとっても便利。
ただ、この魔法、一定以上距離が離れるとあっという間に霧散してしまうし、範囲内でも制御が下手だとダミーだとばれる。
使い始めた頃は制御が上手くいかなくて、作ったとたんに消えちゃったり、作ったは良いけどぐにょぐにょ動いてすごく気持ち悪かった。
じいちゃんが知らないところで練習をしてたから、
「マルクが正体不明の魔物に襲われようとしているのかと」
と慌てて駆け寄ってきたのはびっくりしたし、恥ずかしかった。
(バレたと焦ってつっこんでこない…的確に判断できる「人間」ってことか。)
向こうが下がるのならばこっちは木から降りて静かに前進。
狼たちはそのまま直進させて、僕は右方向から回っていく。
さっきのダミーに上手くひっかかってくれていれば、後からそっちを確かめにいくはずだから横をつけるはず。
予想通り、進んだ先で5人の集団を見つけた。
空が曇っているのと、木々の隙間から見てるのもあってイマイチはっきりしないけど、男女5人組ってところか。
一番前にいる人はめちゃくちゃがっしりしてる。
前にシャンドラさんの護衛できたマットさんといい勝負だ。
後ろにいる一人は尻尾?みたいなものが生えてるみたい。
獣人なんだろうか。
「ダリア、この先だったんだな?」
(ん・・・?)
「そうにゃ。この先5分ほど進んだところで反応あり。でも姿かたち一切見えにゃいし、気配も感じなかったにゃ。」
「は?それを確認してくるのが斥候の仕事だろ?」
「レナはいったん黙ってるにゃ。」
「な!!」
「まぁまぁ。」
(あー…聞いたことある声だな。あとはわからないけど…)
「それはいい。ダリアが一人で危険な目に合うよりはマシだ。お前が分かんないってなると誰もわからんな…十分に注意しよう。」
「それがいいにゃ。パラメに《強化魔法》かけてもらうにゃ?」
「う~む…それもありといえばありか?」
「いや、やめておいた方がいい。」
「シャンドラ様?」
(おっと。ははは…これは…)
「相手が何者かわからない以上、このタイミングでの魔法は控えたほうが良いな。ダリアの話だと相手は相当隠密行動が上手そうだ。どこかの暗殺者とか間者とかかもね。そうして索敵もこちらより上手だと仮定すると、向こう側の探知に一方的にひっかかってしまう可能性がある。遠距離からの魔法攻撃は対処できるし、近接攻撃なら僕らも対応できるだろう。このまま警戒、山小屋のほうに進んでいこう。いざとなればあちらの力も借りられる。」
(いやぁ…すごいこと考えるなぁ。うん。大事になりそうだね。声かけよう。)
音を立てないよう木から下りる。
弓にひっかけていた矢を筒に戻して、と。
「なるほど。承知しました。そしたら――」
「あ、あの~・・・」
「誰だっ!!」
「領主様危ない!!」
ヒュッ!!
「えっ、ちょっ!!」
僕の声に反応して一番後ろにいた人が走りこみ、切りかかってきた。
とっさにダガーを抜いて相手の剣閃を逸らす。
ガキンッ!!
「あっぶ!」
「ちぃっ!」
反動を使って後ろに飛び下がって距離をとる。
「「ガアアッ!!!」」
すると僕が攻撃されたと気づいた子狼たちがいっせいに駆け寄ってきた。
「なっ!フォレストウルフ!?臨戦!!」
「ちょっ、待った!ストップ!!攻撃しちゃだめ!!」
「レナ、レオ止まるにゃ!!敵じゃにゃい!!」
「レナ下がれ!!」
「へっ!?は?」
狼たちが飛びかかる寸前で止められた。
三匹は剣士さんと僕の間に入って壁になってくれてる。
「マルク君!」
「ダリア!知り合いか!?」
「知り合いにゃ!レオもレナも剣を下げるにゃ!」
「二人とも大丈夫だ。彼が話してた子だから。」
ダリアさんとシャンドラさんのおかげで空気が緩まった。
レオ、レナと呼ばれた二人も落ち着いた様子で剣をしまう。
レナと呼ばれた女性のほうはまだ僕を警戒してるみたいだけど…
僕もダガーを鞘に戻し、興奮してる三匹を撫でて落ち着かせる。
というか、若干腰が抜けちゃって立てない…
「はぁ…助かった……」
まだ心臓がバクバクいってる。
びっくりした。
死ぬかと思った。
初めて人に剣を向けた。
僕は剣士さんが踏み込んだ地面に視線を移す。
溜めに踏み込んだ箇所がごそっとへこんでいる。
この辺りは人がほとんど通らないせいで地面がやわらかい。
そのおかげでレナと呼ばれた剣士さんの動きについていけた。
これが固めて均された地面だったら首飛んでたと思う。
怖かった…
「大丈夫かい、マルク君。」
顔を上げるとシャンドラさんがすぐ近くにきていた。
伸ばしてくれた手をつかんで立ち上がる。
「ありがとうございます。シャンドラさん。」
「そうか、よかった。うちの護衛がすまないことをした。申し訳ない。」
すっと頭を下げるシャンドラさん。
こういうとき偉い人に謝らせたらだめだとかかあさんに習った気がするぞ?
「い、いえ!僕もいきなり声をかけてしまったので…こちらこそすいません。」
「マルク君は悪くないにゃ!このバカレナ!ほれ!!謝るにゃ!!」
「バ、バカとはなんだ、バカとは!!…オホン。マルク君と言ったか、いきなり切りかかってすまない。警戒中だったのもあって先走ってしまった。この通りだ。」
90度に腰を曲げて頭を下げるレナさん。
謝るのはいんだけど、勢いつきすぎて頭うちそうだった。
危ない。
「いえ、大丈夫です。こちらこそ警戒中にすいません。」
「そうだ!!この付近に正体不明の魔物がいるみたいなんだ!」
レナさんの言葉で、思い出したかのようにみんなの表情が変わる。
やばい、早く誤解を解かないと。
「あぁ、それなら大丈夫です。」
「「「ん?」」」
「どういうことだい、マルク君?」
みんなきょとんとした顔だ。
「たぶん、ダリアさんですよね?その魔物見つけたの。」
「そうにゃ。あぁ、でも見つけたと言ってもこの【魔払いの鈴】っている魔道具で魔力を感知しただけで、姿は見てないのにゃ。」
腰につけた銀色の鈴を指差しながら困った顔で教えてくれるダリアさん。
申し訳ない…
「その感知したの、僕の魔法なんです。」
「…にゃ?」
「えっと、魔力をぎゅっと押し固めて、偽物を作るといえばいいでしょうか。それを離れたところにおいておけば、魔力を探知するような魔法はごまかせるし、逆に僕はそれが攻撃されたり感知されたりすると分かるので、何か来たなってわかるんです。そういう魔法を使ったんですけど、ダリアさんが引っ掛かったということで…」
ぽかんとした顔してるけど、これ以外説明しようがないんだよなぁ。
「ふむ、正直よくわからんが…こんな森の中で立ち往生するのもなんだ。マルク君、まぁ見てわかるとは思うが我々は領主であるシャンドラ様をオリビア氏の小屋へ護衛している途中なんだ。もし知っていたら案内してもらえないだろうか。」
レオと呼ばれた人が声をかけてくる。
っていうかこの人…
「オリビア氏…?それに…豚人族…?」
僕が驚いたことに驚いたようで目を見開いたレオさん。
「あ~レオ、マルク君はほとんど他種族にあったことにゃいにゃ。それに、きっと「オリビア」の名前じゃわからにゃいにゃよ。」
「ん?どういうことだ?」
「まぁまぁ、時間の問題もあるし、歩きながら話そうか。マルク君、小屋まで案内してくれるかい?大体の位置はわかるんだけど、あまり遅くなるのも良くないしね。」
「あ、えっと、わかりました。」
そんな軽いドタバタがありながらもシャンドラさんたちを案内することになった。
お読みいただきありがとうございます。
新品にしたパソコンがさっそく不具合でメーカー修理となっておりました。
つら…
復活したので更新できます!
やったね(^_-)-☆
今後もよろしくお願いします!




