第25節『それから』
どうも、もんたです。
みなさま、メリークリスマス(一日遅れ)
おうちでのんびりと金麦呑みながら鶏皮チップスを食べていた主です。
それでは、どうぞ。
テーブルで舟をこいでいたデフィーをおこし、いつもの空洞へ向かう。
空洞についたらまずは静かに魔力制御の修行から。
布の袋に綿を詰めた敷物の上に座って目を閉じる。
右の足を左足の下にしいて、左足は右足の太ももの上にのっける。
背中を伸ばしてゆっくりと呼吸をしたら準備はOK。
じいちゃん曰く、「ざぜん」っていう座り方らしい。
海を渡って遠く西の方にある国に旅していた時に教わったもので、集中力を高めるのに効率がいいんだとか。
初めの頃はこの座り方がきつくって、訓練を終えるたびに足がしびれてたまらなかった。
しかもデフィーがニヤニヤしながらちょっかいを出してくるから本当につらかったんだ。
やめてっていっても気にせずやってくるので、いい加減怒ったけど効果なし。
ニヤニヤが止まらなくてイラっとしたので、そこから数日クッキーの量を減らしたら泣いて反省していたのでスッキリした。
その頃にはしびれもずいぶん落ち着いてきて修行ができるようになった。
慣れてくれば、呼吸を意識してゆっくりと座れるし、余計なことを考えずに集中はできてる。
代り映えのしない修行だけど、こういった基礎を疎かにすると後で痛い目をみる、というのは調合術を母さんから習ったときにさんざん言われたので手を抜かずにしっかりとやる。
魔力をおへその下の辺りからゆっくりと全身へ広げていくように意識を集中する。
色々考えたけど、湖とか池の湧き水みたいなものと僕はイメージしている。
デフィーとの兼ね合いもあってすごくやりやすい。
水がわきだすみたいに身体の中心から指先へ向かって魔力を広げていく。
指先まで届いたら、波が引くように中心へ戻していく。
この時に集中力が足りないと指先から魔力が漏れ出してしまう。
これが魔法を使う時の魔力変換のロスとなってしまうので要注意。
初めの頃はデフィー曰く、垂れ流し状態だったけれど、今では外に流す方が少ない。
それでもどうしても出ていくので今後も訓練しないとなぁ。
ちなみに、魔力制御を活用して身体強化もできるようになった。
実際に《パワーアップ》みたいな強化魔法をかけるのとは強化される度合いが違うかなって感じてる。
一時間くらいやったら、次は魔法制御の修行。
魔力制御は体内でのもの、魔法制御は体外のものという感じなので、似てるけどちょっと違う。
魔法制御は名前の通り、魔法を自在に操るためのやっぱり基礎的な訓練。
まっすぐ飛ぶ魔法を少しカーブさせるとかそういう力になる。
じいちゃんは学園でも魔法の授業を受けるなら必ずやるはずと言っていた。
「まぁ、マルクは既に中級魔法使いレベルくらいには操作できておるから授業を受ける必要はないと思うが。」
とも言っていたので、正直授業を受けるかどうかは迷ってる。
基礎訓練なら一人でもできるしね。
じいちゃんは学園のことを色々知っていて修行の間にも話を聞くことが出来た。
最低限取らないといけない授業はあるものの、それ以外は基本的に個人の自由らしい。
受けたい授業を受けられる、ということ。
専門のコースによるけど、年齢の離れた人が入学することもあるみたい。
例えば冒険者コースだと、遠くの町村から出てきた成人済みの人間がいることもある。
専門職のコースには弟子入り前に基礎を付けようとする人も入ったりするので結構雑多だと言っていた。
僕は専門職のコースに入ろうと思っているので大人と一緒になることも多そうだなと思ってる。
おっと。
思考がそれちゃった。
集中集中――
魔法で空気中から水の鞭を作り出す。
それらを一つ一つ蛇に変形していく。
細いけれど柔軟な身体、獲物を捕食する鋭い目つき。
獲物に食らいつく牙を伸ばし、ちろちろと敵を探り出す舌を再現する。
徐々に細やかなウロコが全体を覆っていく。一匹の蛇の額には六角形の文様を刻む。
デフィーと一緒に訓練して作り上げた新しい魔法―――
「――《水蛇》――」
僕の周りを八匹の蛇がぐるぐると泳ぎ回る。
空洞に設置された光を反射してキラキラとしている様子は何となく初めてデフィーの湖に行った時のことを思い出させる。
見てる分には綺麗なんだけど、操作するのは本当に難しい。
訓練のために最大数を作っているけど、現状負担なく動かせるのは半分の四匹。
リーダーとなる文様付きの蛇の動きを真似させるように他の七匹を動かす。
空中を縦横無尽に動かして、隊列を組んだりバラバラにしたり。
バラバラに動かしているときは集中していないと蛇同士がぶつかって数が減り、無駄になってしまう。
危ないところをデフィーにサポートしてもらいながら動かし続ける。
一通り動かし、魔力が残り三割くらいになったら終了。
とはいえ、ここまでが準備運動みたいなもの。
強壮薬で魔力を回復して、本番開始だ。
「…よしっ。じいちゃん、今日は何するの?」
「うむ。今日は…」
そうやって新しいことを学べる楽しさと身に着ける難しさを感じながら、修行に明け暮れていくのだった。
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「さて、マルクや。昨夜も話はしたが今日で修行は終わりじゃ。明日はオルガの小屋に戻ってしばし休憩といったところかの。もう2週間もすればシャンドラがやってくるじゃろう。」
「小屋に戻るのはいいけど、シャンドラさんが?」
「学園へいくんじゃろう?その前準備のために迎えに来ると手紙に書いてあったぞ。聞いておらんかったかの?」
あぁ、そういえばそんな話だったっけ。
シャンドラさんのお屋敷で試験を受けるための勉強をするとかなんとか。
「まぁ生まれてずっと山小屋暮らしで、友人と呼べるようなものもおらんしのぉ。」
「うっ・・・し、仕方ないじゃんか。」
「ほっほっほ。それもそうじゃ。狼たちがおるのが救いかの?」
そうそう。
グリムたちがいるもんね。
修行期間中もちょこちょこ遊びに来てくれた。
グランはこどもたちと一緒に。
子狼たちもしっかり走れるようになっていて、元気に駆け回っていた。
まだまだ狩りは上手くいかないようで、グランの獲物を分けてもらったりしていたけどね。
グリムは無事、奥さんが出産したらしい。オスメスの一匹ずつ。
狼のこどもにしては数少ないほうなんだろうか。
まぁでもグリムは一人っ子ぽいしそうでもないのかもしれない。
グリムの子供はまだまだ小さいので遊びにはこれない。
よくよく考えれば、グランの子はグリムからすれば弟妹になるわけで。
本人(狼だけど)はそれをわかっているのか本能なのか知らないけれどよく面倒をみていた。
暴れてた二匹をグランと一緒に咥えて小屋に帰ってきたときは笑った。
「それに街にでて、なにかと不便なことや不慣れなこともあるじゃろう。それになれる良い期間じゃ。」
「そうだね。街かぁ・・・一体どんな感じなんだろ。」
「人がたくさんおるぞ。シャンドラの治めるトーカは、国の端にあるせいか獣人や小人族も比較的多いが。」
聞きなれない種族だな。
「小人族?」
「うむ。あまりなじみのない種族だとは思うがな。ルーツとしてはドワーフに近い。祖先が妖精であるという説じゃな。
小人族は生来、流浪の民で、他の亜人族と違い固有の国を築いておらぬ。各地を転々としながら行商の類をしておることが多いの。
他には手先が器用じゃから雑貨を扱う店を持ったり鍛冶屋をしていたりと幅も広い。あとは魔法使いが多いのも特徴か。各地で優秀じゃといわれる魔法使いには小人族かそのハーフというのが多い。」
へぇ、結構あちこちで見かける機会がありそうだな。あれ?
「それならもっと本に記載があってもいいんじゃないの?」
「まぁ、誰しもそうだと思うじゃろう。しかしどうしてか小人族に関する歴史的な記述や特徴をまとめたようなものは存在しないんじゃ。
実際に住んでおるし、人と子を成すこともないわけではない。わしも昔気になっていろいろと調べたがイマイチはっきりとせんかった。」
「ふぅん。トーカの街で会えたら聞いてみようかな。」
「いや、それはやめておいた方が良い。」
「どうして?」
「よしんば仲良くなった相手であれば良いじゃろうが・・・前にも話したとは思うしマルクは本も読むから知ってはおるじゃろう。これまで人間と亜人族の間ではそれなり、とは言い切れない規模の闘争もあった。
もし小人族にそういった過去があったとして、果たしてあったばかりの人間に話したいと思うか?
マルクも自身の生い立ちを尋ねられることもあるじゃろうが、初対面の人間に全て話したいと思うかの?」
「ん~・・・そういわれると進んで話したいとは思わないかなぁ・・・」
「そうじゃろう?気になることを聞くというのは間違いない。『聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥』という諌言もあるくらいじゃ。しかし、時と場合を選ぶ。
たわいのないことならば止めはせぬが、個々人の問題、種族の問題となっていくようなところはデリケートじゃからの。何かを間に挟むと良い。
たとえば、今の小人族の問題ならば、多種族にさりげなく聞いてみるとかの。」
言われてみればそうだ。
僕も初めましての人に両親が魔物に襲われたんですよねなんて言いたくない。
まぁ、かあさんはかあさんだからそこは何にも気にしないけどね。
お読みいただきありがとうございます。
年末年始、PCを新しくします。新規PCで来年もぼちぼち更新していく所存です。
今年ももうあと少し、やり残したことはありませんか?
悔いのない一年にしませう。
今後も、よろしくお願いします。




