第23節『最強の力』
どうも、もんたです。
第五人格にハマってます。
それでは、どうぞ。
「つまりじいちゃんは龍人?てきなかたちになるの?」
『そこは難しいところじゃなぁ…一般的に龍人、いや、竜人じゃな。竜人というようなのはリザードマンなんかを指すことが多い。というのも、彼らは龍の血を持っているわけではないからの。ドラゴンか蜥蜴かと言われれば、やつらは蜥蜴じゃ。ワイバーンはドラゴンよりじゃの。
まぁ、一応ドラゴニュートといって、龍種と人間に生まれたものを指す種族もあるが非常にレアじゃ。わしも生きているうちで一度あったかどうかというレベルじゃからな。』
「ふ~ん。じゃあ人間の僕は会うことはなさそうだね。」
『相当運が良ければ会うことはあると思うがの。』
「そうだね。それで、話を戻すんだけど、この龍になるのが魔法の神髄ってやつ?」
『おお、その話じゃったな。いや、これではない。これはそもそも魔法というよりも、契約している龍の本来の姿になっているだけじゃからな。マルクには、竜の魔法の一部を教えよう。』
ドラゴンの顔だからわからないけど、ニヤッと笑った気がした。
「竜の魔法なんて、普通の人間に使えるの?」
『無理じゃな。』
「え?」
『本当本物の竜魔法を教えることはできん。使えることには使えるじゃろうが、使うたびに魔力枯渇をおこして、数回のうちに死んでしまうじゃろう。
よって、竜魔法を模倣したものを教えることにする。主にマルクの自衛のためじゃな。』
「模倣したもの…自衛って?」
『先だってマルクが使えるようになっておるダマスカスの壁《ダマスカスウォール》、それにオルガから教わった調合術。加えて中位精霊であるディフィニアとの契約。
そのどれも普通の人間にとって身に付けるにはあまりにも貴重な技術と力じゃ。一つ一つが貴重すぎる。これから街で生活するのであれば、欲にまみれた阿呆どもが利用しようとして寄ってくるに違いない。これでマルクが大人であればよいんじゃが、まだまだ子ども。日々騙し合いをしておるようなクソジジイどもには敵うわけもなく、甘く見られることばかりじゃろう。もし、自分の身の危険を感じたらこれから教える魔法を使うと良い。
…マルクもオルガの家にあった古い書物で原初の魔法というものを見たことがあるじゃろ?』
「うん。それが読めるようになったのは最近だけどね。内容難しすぎるよ。」
じいちゃんはいつものようにため息をついた。
でも、今はドラゴンの姿。
ため息一つで中級魔法並みの風が飛んできてふらついてしまった。
『はぁ…あれがその年で読めるというだけで相当なんじゃがな。知識のない者に読まれて悪用されてはたまらんからの。難しく書いておる。』
「ん…?あれじいちゃんが書いたの?」
『そうじゃよ。この世の中に数冊しかない。わしがこの小屋に居を落ち着けてからまとめた研究の成果での。オルガの小屋とここ、それからわしが懇意にしておった魔術師の家にまだ残っておれば、というところじゃろうか。少なくとも本来10歳そこらで読める本ではない。』
「読めたと言っても、ずいぶんと穴あけだったけどね。あれが最後まできちんと読めるようになるまでどれだけかかるんだろ。」
『気になるのであればあの本の内容を教えてやろうかの?』
「いや、いいよ。魅力的だけどさ。自分で身に付けないとかあさんに怒られるよ。」
肩を竦めて言い返した僕をみて、じいちゃんは目を細めてほほ笑んだ。
『良い良い。それでこそじゃ。さて、それではわしも自分の仕事をするとしよう。まずはこの魔法を使えるようにしたら良いかの?』
そういってじいちゃんは姿勢を正した。
雰囲気が変わる。
周囲の空気がピリピリとしてきた。
『――跪け――』
「うっ!?」
じいちゃんの言葉のあと、とたんに身体が言うことを聞かなくなった。
まるで全身を押し潰されているみたいな重圧に膝だけでは耐えられずに両手をつく。
息をするのも苦しくなってきて、意識が朦朧としてきた。
『ふむ。流石にここまで魔力を込めれば耐えられぬか。』
じいちゃんの言葉が何重にも重なって聞こえる。
『これは《威圧》という竜魔法の初歩にあたる魔法じゃ。発する言葉と自分、更には相手の周囲にまで魔力で干渉することで相手を委縮させ、自分の言葉に従わせることが出来る。ここからずいぶんと西に行った先にある国では「言霊をのせる」というらしいが。本来、威圧とは、大きな身体や権力を持って、相対する相手をひるませることにあるが、そんなことが出来るのはどうしても一部の人間に限られ……』
じいちゃん…
説明はいいんだけど、魔法解いてくれないかな。
さっきから威圧されっぱなしでもう気がもたなくて…
僕はそのままて気絶してしまった。
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「うっ…」
目が覚めると部屋の中だった。
まだ頭がズキズキする。
徐々に体の感覚がはっきりしてくると自分の状況が分かってきた。
いつものようにデフィーが潜り込んでいるせいで右半身がひんやりする。
「デフィー。起きて。」
『んっ…まだ食べるぅ~。』
「はぁ…」
デフィーは一度寝付くと起こすの大変なんだよなぁ。
布団を出たいんだけどデフィーが抱きついているせいで身動きが出来ない。
引きはがしてもいいんだけど…
この状態のデフィーを引きはがすと、起きた時に拗ねて面倒なので却下。
おとなしく布団でぼーっとしていると誰かの足音が聞こえた。
「む。マルクよ、起きておったか。」
「うん。デフィーのおかげで動けないけどね。」
「仕方あるまい。一晩中マルクの様子を見ておってくれたからの。勘弁してやっておくれ。」
「そうなんだ。ところで、じいちゃん。一体なにがどうなったの?」
「それについてじゃが、まずは謝らんとの。すまんかったのぉ、マルク。《威圧》を放ちっぱなしでおったからその負荷に耐えられず、気絶してしまったんじゃ。それに気付いてすぐ小屋に戻り、ベッドに運んでの。様子がおかしいと出てきたデフィーにも手伝ってもらって簡単な治療をしたという感じじゃ。今はこっちに来た日の翌日の夜。今日はもうそのまま休んで明日の昼頃から再開しようかと思っておる。」
じいちゃんの話を聞いてると、布団の中でもぞもぞと動きだした。
『ふぁ…まる、く?』
「ん?あぁ、デフィーおはよう。もう夜だけどね。」
『!!マルク!起きたんですね!』
一気に覚醒したデフィーは目を見ひらいて僕の胸元を掴んできた。
顔、近い!
若干冷たい!!
「ちょっ!?」
『心配したんですよ!!マルクから魔力が流れてくるのが止まったからどうしたのかと思って出てきてみれば!マルクは倒れてるし!ゆすっても起きないし!』
「ご、ごめんってば!僕もこんなことになるなんて思ってなくてさ。」
「そ、そうじゃ、ディフィニアよ。今回の件はわしのせいなんじゃ。マルクを責めないでやってくれぬか。」
『ううっ…』
「「!?」」
デフィーは僕をつかんだまま泣き出してしまった。
どうしていいかわからず僕もじいちゃんも固まってしまう。
なんとか泣き止んでもらわないと…
「ご、ごめんデフィー。今度は気を付けるしさ!じいちゃんともきちんと相談して訓練するから大丈夫だよ。ね?だからさ、泣かないで?」
「うむ。今回のようなことは二度とないようにする。安心しておくれディフィニア。」
『……ぐすっ…』
「デ、デフィー?」
しばらくして、目を真っ赤にしたデフィーが顔をあげた。
『……条件が、あります。』
「う、うん。僕に出来ることなら。」
『修行期間中、毎日一緒に寝てください。』
「わ、わかった。……って、え?」
返事を聞いたデフィーはさっきまでの泣き顔が嘘のようににっこりと笑う。
『ふふふ。言いましたね?言質はとりました!腕枕は必須ですからね!一晩でも忘れたら一週間口きいてあげません!それから、オルガの代わりにマルクがクッキーを焼いてください。すぐには難しいでしょうからそれまでの間はマルクが隠し持っているクッキーで我慢します。ポーチのものもリュックに入れているものも、ですからね。
あとあと、訓練する時は常にわたしを実体化させておいてください、もし次倒れるようなことがあれば即座に修行は終了です。オルガの小屋に引っ張って帰るか、私の上級魔法で拘束監禁して反省させますからそのつもりでいてくださいね。まだありますよ?えっとですね…』
満面の笑みでこれでもかと欲望を爆発させ始めたデフィー。
「ちょちょっ!ちょっと待って!一体いくつあるの!?」
『まだまだありますよ?そうだ!一緒にお風呂に入るのも条件に入れましょうか!服の上からではわからないような怪我や疲労はそういったところで見極めないといけなくなりますから。修行を全力でやるためにもメンテナンスは欠かせませんよ?』
ニヤニヤ顔が漏れてますよ!!
「だっ、だめ!ダメだよ!!お風呂はダメ!いったん落ち着いてよデフィー!」
そのあとも暴走するデフィーを必死でなだめ…
まぁ、一緒に寝ることやクッキーを焼くことを含め色々と条件をのまされたのは言うまでもない。
お読みいただきありがとうございます。
やりたいこと(デフィーの暴走)が書けたので、満足です。
これからも、よろしくお願いします。




