第22節『ひみつ』
どうも、もんたです。
「こ、これ…」
廊下を抜けた先にはとんでもない大きさの空間が見えた。
大広間といっていいくらいのだだっ広い空間は丸く形どられていて、壁際に一定の間隔で置かれた燭台が魔法の光をゆらゆらと灯して広間を照らしている。
ただ、光量が足りないので、中央はかろうじて薄暗いなぁ程度だけど。
「驚いたかの?しかしまだ驚くには早いぞ。」
「え…?」
「マルクよ、そこにおれ。」
そういうとじいちゃんはゆっくりと中央へ向かっていく。
半球型のドームの中央に立ったじいちゃんは、いつものようにどこからか取り出した杖を頭の上にかざし、魔法陣を展開し始めた。
薄暗かった洞窟は色とりどりの魔法陣に照らされて不思議な雰囲気を纏っている。
「マルクよ、よく見ておくのじゃ。」
これまで聞いたことのないような重い声。
「これが魔法の深淵、魔導の神髄である。」
じいちゃんが杖を上にかざすとさらに複数の魔法陣がじいちゃんの周囲に展開される。
薄暗いドームの中でじいちゃんの発動した魔法陣がぐるぐるとまわり、光を放っている。
『――――我が名、エグゼ・インクラフ・フォン・ドラコニア。我が名の元に。我が身に宿せし王道の力よ。その真なる姿を現せ。聖を纏い、覇を唱え、天地を統べろ――――《フォールン・エンぺリーオル》』
魔法陣がまぶしいほどに発光する。
光は一瞬で収束し、そして広間全体が真っ白の光に包まれた。
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『……マルクよ、もう平気じゃぞ。』
ずいぶんと高いところからじいちゃんの声が聞こえる。
心なしかくぐもっているようで不思議な感じだ。
それになんとなくだけど、この声に従わないといけないような気がしてる。
じいちゃんの声に従って、顔をあげたいと思うけど、どうしてか身体が動かない。
『む…?おおっ、すまんすまん。久しぶりにこの姿になったもんでの、無意識で使ってしまっておったわ。』
そういってじいちゃんが笑うと、ふと身体から力が抜けて、ずいぶん気が楽になった。
いつの間にか地面についていた膝のほこりを払って立ち上がる。
目の前に広がった予想の範疇を振り切った光景に、僕はまた固まってしまった。
「なっ…」
『うむうむ。こういう呆けた顔というのはいつ誰の顔をみても面白いものだのう。ほっほっほ。』
「い、いや…えぇ…?」
『まぁ驚くのも当たり前ではあるか。頭には入ってこんじゃろうが一応説明しておくぞ。あくまでこれはわしの仮の姿。人間の姿が本来のかたちじゃ。
マルクは水精霊であるデフィーと契約したじゃろ?わしはドラゴンと契約したと思ってくれればよい。』
そう。
僕の目の前には全身真っ白の巨大なドラゴンがいた。
今はいわゆるお座りの状態でいるのに、まっすぐと伸ばしている首はめちゃくちゃひろいと思っていたドームの天井に届きそう。
折りたたまれた翼を広げて立ち上がったらどれくらい大きいんだろうか。
昔森で迷って【竜の尾根】の近くまで来てしまったときに空に見かけたワイバーンはこんなに大きくなかったと思う。
飛んでたから正確なサイズはわからないけど…
僕を見つめている翠玉色の瞳には優しげな光が灯っていて、ドラゴンの顔なのにじいちゃんの面影を感じる。
柔らかそうなお腹側の部分を除いて、その体は白銀の鱗に包まれており、よく見るとその一つ一つがぼんやりと光っているので魔力を宿しているのがわかる。
あれすべて合計するとなると一体どれだけ魔力量があるんだろう。
「ドラゴンと契約したって…
ちょっと待って。そしたら僕もデフィーと契約したから水の精霊になるってこと?」
『いや、それはない。デフィーとマルクは同位の契約をしておる。わしとこのドラゴン、名をエンぺリーオルと言うんじゃが、こやつとは主従の契約を結んでおるんじゃ。エンぺルが上、わしが下じゃな。契約した時エンぺルはずいぶんと衰弱しておった。わしと契約してもらう代わりにわしの身体を依り代として宿しておる。半人半龍という感じかの?』
「は、はぁ…」
『わしはジジイの見た目じゃが、実際はもっと長く生きておる。まぁ、それに関して言えばマルクもなんとなく感じてはおったじゃろ?』
「う、うん。かあさんがずっと一緒にいるって言ってたから。かあさんの年齢は知らないけど、エルフは長命種だし数百年くらいは生きてるのかなって。」
『うむ。良いか、マルク。オルガの前で年齢の話はしてはならんぞ。絶対じゃ。』
うん。真剣な声だ。
『…マルクにはまだ話せぬことも多いが、もう数百年程前の話になる。まだわしがエンぺルと契約する前に、エルフの里でオルガに出会った。わしは冒険者もどきで各地を旅して魔法の研究をしておっての、オルガの薬草の知識や調合技術を見て勉強したんじゃが、全くと言っていいほど才能がなかったわい。』
そういって大笑いするじいちゃん。
笑うのは良いんだけど、ドラゴンサイズなのでドーム内に響いて少々うるさい…
『わっはっは。そんなときに、里近くの祠にまつられている龍が弱っておるという話を聞いて、隠れて忍び込んだ。』
「は!?」
なにやってんのこのじいちゃん。
『そこの祠はエルフの巫女や里長しか入れないようになっておってな。竜の魔法にも興味があったわしは我慢できなくなって隠蔽系の魔法なんかを駆使して祠にはいったんじゃ。そこでエンペルと出会い、まぁ、色々と話しあった結果、わしと契約を行い外に出ることになったんじゃ。弱っていた原因は祠にかけられていた保護用の魔法のせいじゃった。魔法によって守られてはおったが、そのせいで外界から魔素が入ってこないようになっておった。』
「魔素が入ってこない…?」
『魔力の元となる魔素は自然界に当たり前のようにある。それらを大量に取り込むことでただの生物が魔物に変異したり、魔素濃度の高いところでは精霊が生まれるわけじゃな。竜種、特に位の高い龍種は魔素を取り込んで体内で精製することで命を繋いでいることが多い。エンペルは魔法によって完全遮断された空間に長く居続けたことで、人間でいうところの【魔渇症】になっておったんじゃよ。』
「なるほど…でも、まつられていたってことは食事とかは食べてたんじゃないの?」
『魂だけじゃからの。食事はできんし、そもそも調理されたものに含まれている魔力量なんてたかが知れておる。龍種の命を繋げるほどの量を補うことはできんよ。だからこそ龍種や妖精種は魔素濃度が高い場所を好むのじゃからな。龍種であれば尾根に、妖精種であれば鉱山や森の奥地などの自然豊かな場所で、といった感じじゃな。』
エンペルと契約したじいちゃんは当然のようにお尋ね者になり。
じいちゃんとの契約によって、仮契約のようなものをしていたエルフの里巫女がパスが切れたことに気付いたことで発覚したらしい。
あっという間に祠を出たところを包囲されたが、エンペルの姿になることで空を飛んで逃げ出せたということだった。
それから数10年ほど【竜の尾根】のとある場所に身を隠し、エンペルの力を回復した後、旅を再開しているうちにかあさんとたまたま遭遇。
かあさんも色々あって里と決別していたということでそこからは一緒に行動していたらしい。
二人であちこちを旅して回って、今の小屋に落ち着いたと。
初めはかあさんの小屋に一緒にいたけど、生活のために行商人なんかとやり取りをするとエルフに遭遇しかねないし、かあさんの小屋は比較的森の浅いところにあるので、魔素濃度がそこまで出なく、エンペルのことも考えてこちらに小屋を建て普段はこっちにでのんびりしているということだった。
およみいただきありがとうございます。
最近更新が遅れていてすいません。。
言い訳させてください。ゲーム楽しい。笑
いえ、本当にすいません。
草案はできているのでちょこちょこ修正しながら書き溜めは作っています。
もっと更新します。書くの楽しい。
これからもよろしくお願いします。




