第20節『特別』
どうも、もんたです。
お待たせしました。
少し筆の進みが遅い…申し訳ないです。
それでは、どうぞ。
まぁ、じいちゃんのおっちょこちょいがありながらも、僕の魔法修行が決まった。
流石に何の準備もできていないので修行は明日からとなったんだけどね。
森を2時間程歩けばじいちゃんの山小屋に着くらしい。
それくらいなら一緒に住まないのかと聞いたけど、若い二人の邪魔するのは良くないとかなんとかでやんわり断られた。
あとはじいちゃんの従魔が結構サイズが大きいらしく、森の境目の方に近いと討伐対象になってしまうかもとも言っていた。
そんなに大きい従魔ってなんだ。
巨人系なのかな?
巨人系は人型かつ高位魔物のことが多いので、めちゃくちゃ従魔にする難易度が高いって読んだ気がするけど。
じいちゃんはすごい魔法使いみたいだしそれくらいできるのだろうか。
「まぁまぁ、なんにせよ、明日からみっちりと訓練、もとい修行を始めることにするからの。今日は早めに準備をしてゆっくり休むことじゃ。」
「わかった。今日は魔法の練習はしない?」
「うむ。わしも自分の小屋で色々と準備があるのでな。オルガ、マルク、明日の朝に迎えに来る。」
「うん。」
「かしこまりました。」
そういってお茶を飲み干すとじいちゃんは帰っていった。
これから2時間も歩いて帰るのだろうか。
その日の午後は特にすることもなく、まったりと過ごした。
「修行」と言い直していたくらいだし、いつもより大変なんだろうと思って回復薬を作ったくらいだろうか。
いつものポーチでは絶対に足りないので、遠出用にしている肩掛けのカバンと森に行くときに使っている背負子に必要な荷物を詰めることにした。
回復薬は勿論、強壮薬もたくさん作ったので、体力魔力は問題なし。
じいちゃんの小屋は山の方ということで、いざとなれば薬草は現地調達できそう。
本来、薬の調合は甕を使ってゆっくりと手順を踏んで抽出していくことが基本。
ただ、いつでもどこでもそれが出来るかというとそういうわけではない。
甕も使われている金属とかを選ぶし、調合室は勿論、諸々道具をそろえればそれなりの額になる。
一つ一つの道具の素材を拘ればそれこそ青天井だ。
なので、かあさんみたいにしっかりとした設備がなくても薬の調合が出来るように《調合術》というものがある。
これは名前の通り薬を調合するための魔法。
その魔法の一部はこのまえシャンドラさんに売る薬を作ったときに使ってたやつだね。
《調合術》を駆使すれば、薬を入れるためのものと材料、必要な魔力を用意して薬を作ることが出来る。
ただし、正規の手順で作った薬と比べて効能が落ちたりするというデメリットもある。
便利だけど、効き目は低くなる。
その分安くなる。
という流れなので、一般の人間が使うのは大体こっちらしい。
…粗悪品なんかも多いみたいだけどね。
修行にもっていく鞄には念のために各種状態異常にも対応できるような薬も作っておいた。
これは液体状だと使えなくなることが多い(麻痺状態で蓋を開けて口に傾けて飲みこんでとか無理じゃん?)ので錠剤にしたものを別にポーチの中、服の隠しポケットの中と分けていれてある。
噛めば効くとは言っても麻痺の状態で噛むのは難しい気もしなくはないけどね。
錠剤にするメリットは保管が楽ってこともある。
液体状だと入れ物が割れた瞬間におしまいだから。
準備はOK。
することもないし、今日は寝てしまおう。
ベッドの横にはグリムが丸まって寝ている。
奥さんと一緒に寝なくてよいんだろうか?
すやすやと寝ているので邪魔をしないように布団に潜り込むと肌にひんやりとしたものが当たる。
「デフィー、また出てきたの?」
いつもは先に布団に入っているデフィーがいなかったから、今夜は出てこないのかと思ったのに。
『ふふふ、いいじゃないですか。マルクだって、こんな美女と同衾できるんだから役得でしょ~?
そ・れ・に!……寝てる間なら何でもし放題ですよ♪』
「同衾って…デフィーと一緒に寝てもそんな風にはならないし、何にもしないよ。そもそも精霊と人間でこどもって作れるの?」
『さぁ?』
「さぁ?って…」
『でも、今の私であれば実体化しているわけですし、身体自体は人間の機能がありますよ?なので、例えば私がマルクの子を授かったとして、出産まで実体化を解かなければ問題なく産める気はしてます。
…試してみますか?』
そういってデフィーは僕の背中に身体を押し付けてくる。
僕も一応男だからこの雰囲気のなか、この柔らかい背中の感触は非常にまずい。
「デフィー。」
『はい。』
「…もう。わかってるでしょ。」
『ふふふ、ごめんなさい、マルク。
…でも、マルクとそういう関係になっても良いと思っているのは本当ですよ。
契約者としても男性としても好意を持っています。』
「それは単純に嬉しいんだけど…僕何か特別なことした?」
『さぁ?』
「えぇ、また?」
『んふふふ♪わからないでしょうけど、乙女にはときめく瞬間というものがあるのですよ?』
「乙女、ねぇ…」
既に背中からデフィーの感触はなくなっているので、ふと振り返る。
目の前にデフィーの顔。
そりゃそんなに広くないベッドに二人も入ればこの距離になるよね。
真っ暗な中、間近でみる彼女は優しく微笑んでいて、いつもとは違う雰囲気に思わずドキッとしてしまった。
『乙女ですよ?…ん?マルクどうしましたか?』
「い、いや、何でもないよ。」
『はは~ん?わたしの神秘的な雰囲気に見惚れちゃいましたか?いいですよ~?』
「はぁ…いいかげんもう寝るよ?明日から修行なんだから。」
僕のそっけない返事に少々むくれるデフィー。
『むぅ…ノリが悪いですね。』
「眠いんだよ。寝不足で修行に集中できなかったら元も子もないでしょ。」
『それもそうですけど…』
「そういうわけで、お休み。」
『あ、マルク。最後に一つだけ。』
「なに?」
『わたしはいつでもあなたの味方です。いつなん時でも力をお貸ししますから。
明日からの修行だって、一緒に頑張りましょう。』
言い終えたデフィーはふっとほほ笑んだ後、僕に背を向けた。
暗くてよくわからなかったけど、なんとなく耳が赤くなっていたような気がする。
「…そうだね。一緒に頑張ろう。おやすみ、ディフィニア。」
『はい、おやすみなさい。私のご主人様。』
―――チュンチュン…
「んんっ…」
鳥の鳴き声が聞こえる。
薄く目を開けると柔らかい陽の光が目に入ってくる。
少しまぶしさを感じて徐々に頭が覚醒してきた。
窓から入る日の光がいつもより多いので、どうやら少し寝すぎたみたい。
隣ではまだすやすやとデフィーが眠ってる。
床にいたグリムはもう起きて出かけたみたいだ。
外からは狼たちの鳴き声が聞こえる。
「デフィー、ほら、起きて。」
『ふっ、ん~…だめぇ。クッキー…』
「!?夢の中でも食べてるの…?食いしん坊は筋金入りなんだから。」
一応起こしてはみたものの、別に急ぎでもないのでそのまま放置することにした。
起こさないようにベッドを抜け出し、着替えて台所へ向かう。
かあさんもいないようで小屋の中に人の気配がしない。
顔を洗い、身支度を整えた後、小腹が減ったので簡単なサンドイッチを作って食べていた頃に、眠そうに目をこすりながらデフィーが起きてきた。
『うう~』
「デフィー、おはよう。身支度出来たら教えてね。サンドイッチ用意するから。」
『わかいまいた…ふぁ…』
少し遅い時間まで話してたしな。
なんて夜のことを思い出してたら少し恥ずかしくなってしまった。
『ふぁ~…おあようございまふ、マルク。ん?どうしたんですかぁ?熱でも?』
「い、いや、何でもないよ。サンドイッチ作るね。座って待ってて。」
『はぁい。あ、お茶入れておきますね。』
デフィーと一緒にサンドイッチを食べているとかあさんが台所へとやってきた。
背負子を持ってるから採取にでも行ってきたのかな?
「あら、おはよう、2人とも。今日は遅かったわね?」
「おはよう、かあさん。少しゆっくりし過ぎたよ。じいちゃん来てる?」
『おあようございまふ。』
「まだ来られてないわ。でもそろそろだとは思うから、マルクは準備してらっしゃい。帰ってこれないわけではないけれど、行ったり来たりするのは手間でしょう。」
「うん。わかってるよ。必要なものはまとめてるから大丈夫。ちょっと持っていくのが手間なくらいかな。」
「そうねぇ。こういう時のために空間魔法が付与された鞄の一つくらい買っておくべきだったわね。」
「まぁ、ないものはないで仕方ないよ。風魔法上手く使って少しでも身軽に出来るようにする。訓練だとおもってやるから。」
「ええ。頑張ってね。私もたまにドラコニア様の小屋へ行くし、その時は話を聞かせてちょうだい。」
「わかった。」
かあさんとデフィーとお茶を飲んでいると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
来たかな?
お読みいただきありがとうございました。
プロットではここで修行まで終えるつもりだったのに。。笑
見通しの甘さが際立ってますね(´・ω・`)笑
デフィー、、マルクとむすばれるかなぁ…?




